尼崎市立武庫東中学校第2回アクティブラーニング研究会(防災道徳)
表記において,授業視察を行い,その後,研究会で講話を担当しました。
同校では,本日防災授業を行い,明日,阪神大震災のあった1月17日に避難訓練を行われるということです。
視察した授業は,様々なグッズの中で,避難するときにどういうものを持っていくべきか,まず,個人で考え,次に,グループで議論させるスタイルで組み立てられていました。
良く工夫された授業でしたが,思考の深化を目指すDAL(ディープアクティブラーニング)の観点から言えば,
1)リアルで厳密な設定
2)選択のハードルをあげる
といったことが重要になるでしょう。
たとえば,一口に「避難するとき」と言っても,季節,時間,予想される避難期間,家族と一緒かどうか,必要あれば不足品を自宅に取りに戻れるのかどうか。。。。など,さまざまな条件により,持っていくべき品も変わっていきます。ここをクリアにしないで,グループで討議させても,いっけん議論が盛り上がっているように見えて,実は,意見がすれ違っているということになりかねません。
また,物を選択するというのは,考えさせる授業でよくある例ですが,ここで重要なのは,「n個の中からm個を選ぶ」という設定の中で,nとmをどう設定するかです。
極端に言えば,10万個の中から1万個を選ぶという課題ならば,事実上,頭を使って考える必要はないでしょう。少ないプールの中から極端に少ない数(典型は1)を選ぶからこそ,考えるという営みが不可欠になってきます。
拝見した授業では,50個以上のアイテムから10個ほど選ばせていましたが,これだとかなりなんでも選べてしまうので,プール,選択数ともに,もう少し絞ってもよかったかもしれません。上記の右側は,日赤の作った同様の課題ですが,ここでは,「スーツケースの枠に入る」という条件があり,より,頭を使うよう工夫があります。
日赤
http://nisseki-jrc-bousai.com/common/pdf/web_01-4_2.pdf
ALの講話で,私がよく言うことですが,遠足のお菓子をもっていくときに,
(A)制限なし
(B)500円まで
(C)300円まで
(D)100円まで
4つの設定があったとして,頭がいちばんアクティブに働くのは(D)なのです。「制約なく自由に考えてごらん」というのは,ALを促すように見せて実は阻害します。
この意味で,子どもたちがうまく乗ってくるよう,リアルでかつ厳しい設定をどう作るか,これが教師の腕の見せ所となります。