「言語資源ワークショップ2026」で教員・学生が発表を行いました。
C3:BCCWJ および CEJC を用いた終助詞「ね」「よ」の全体頻度と機能別頻度の調査: 日本語教育への応用
発表者:原 里咲子(神戸大学 国際文化学研究科)
使用する言語資源:現代日本語書き言葉均衡コーパス (BCCWJ), 日本語日常会話コーパス (CEJC)
日本語では、聞き手や読み手への配慮を示す終助詞の「ね」や「よ」が幅広く多用される。日本語教科書にもこれらを含む用例は多数出現しているが、各々の出現傾向や、優先的に学ぶべき典型的用法についてはほとんど説明されていない。そこで本研究では、BCCWJとCEJCを用い、2語の出現頻度、および、主要な意味機能別頻度について調査を行った。分析の結果、全体として「ね」が頻出することや、書き言葉・話し言葉差に加え、「疑似的話し言葉」を特徴づける意味機能の存在も示唆された。得られた知見は、中上級の日本語学習者向けの教材開発などに活用が可能と考える。
C4:BCCWJ と CEJC を用いた「は」と「が」の出現状況調査: 外国人学習者のための日本語指導の指針を求めて
発表者:李 宏宇(神戸大学 大学院 国際文化学研究科)
使用する言語資源:現代日本語書き言葉均衡コーパス (BCCWJ), 日本語日常会話コーパス (CEJC)
日本語教育では「受容のための文法」から「発信のための文法」への転換の必要性がうたわれているが、発信の際には、文法的正確性に加え、書き言葉と話し言葉の差や、談話場面の差を加味した談話的適切性が求められる。「は」と「が」の使い分けについては膨大な先行研究が蓄積されているが、海外の日本語指導の現場ではそれらの成果が活かされることは極めて少ない。本発表では、海外教室学習者向けの「は」と「が」の指導指針を探るべく、BCCWJとCEJCを用い、両語の総体頻度と主要意味機能別の頻度調査を実施した。調査の結果、「は」は書き言葉において優勢となること、「は」の主題用法は話し言葉で増えること、「が」の機能別頻度は書き言葉・話し言葉の差の影響を受けにくいことなどが明らかになった。
D2:中間言語対照分析における話者背景情報の組み込み ―I-JAS for CIA Integrated Face Sheet および I-JAS for CIA V2.0 の開発―
発表者:石川 慎一郎(神戸大学)
使用する言語資源:多言語母語の日本語学習者横断コーパス (I-JAS)
統制的なタスクデザインに基づき、多様な参加者からデータを集めた「多言語母語の日本語学習者横断コーパス」(I-JAS)(迫田, 2020)は中間言語対照分析(CIA)に適した言語資源であるが、「中納言」上でもダウンロード版データを使っても、習熟度をそろえた対照研究は実施困難である。この点を解決するため、報告者は、I-JASに含まれる膨大な産出データを1枚のエクセルシート上に展開するとともに、習熟度・母語・タスクをキーとしたデータ抽出を可能にしたI-JAS for CIA V1.0(石川, 2024)をリリースした。ただ、I-JAS for CIAには学習者の詳細背景情報は内包されておらず、男女比較や、動機づけタイプ別比較などは依然として実施困難のままである。そこで、I-JASの「フェイスシート」データを精選・整理し、主要項目(動機づけ、使用教科書等)を0/1コード化したI-JAS for CIA V2.0を新規に開発した。本発表では、実施した作業の詳細と、新しいシートで可能になる研究実例について報告する。




