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2026/08/21

2026.8.21 国立国語研究所言語資源WS2026で教員とゼミ生が発表

「言語資源ワークショップ2026」で教員・学生が発表を行いました。


C3:BCCWJ および CEJC を用いた終助詞「ね」「よ」の全体頻度と機能別頻度の調査: 日本語教育への応用

発表者:原 里咲子(神戸大学 国際文化学研究科)

使用する言語資源:現代日本語書き言葉均衡コーパス (BCCWJ), 日本語日常会話コーパス (CEJC)

日本語では、聞き手や読み手への配慮を示す終助詞の「ね」や「よ」が幅広く多用される。日本語教科書にもこれらを含む用例は多数出現しているが、各々の出現傾向や、優先的に学ぶべき典型的用法についてはほとんど説明されていない。そこで本研究では、BCCWJとCEJCを用い、2語の出現頻度、および、主要な意味機能別頻度について調査を行った。分析の結果、全体として「ね」が頻出することや、書き言葉・話し言葉差に加え、「疑似的話し言葉」を特徴づける意味機能の存在も示唆された。得られた知見は、中上級の日本語学習者向けの教材開発などに活用が可能と考える。



C4:BCCWJ と CEJC を用いた「は」と「が」の出現状況調査: 外国人学習者のための日本語指導の指針を求めて

発表者:李 宏宇(神戸大学 大学院 国際文化学研究科)

使用する言語資源:現代日本語書き言葉均衡コーパス (BCCWJ), 日本語日常会話コーパス (CEJC)

日本語教育では「受容のための文法」から「発信のための文法」への転換の必要性がうたわれているが、発信の際には、文法的正確性に加え、書き言葉と話し言葉の差や、談話場面の差を加味した談話的適切性が求められる。「は」と「が」の使い分けについては膨大な先行研究が蓄積されているが、海外の日本語指導の現場ではそれらの成果が活かされることは極めて少ない。本発表では、海外教室学習者向けの「は」と「が」の指導指針を探るべく、BCCWJとCEJCを用い、両語の総体頻度と主要意味機能別の頻度調査を実施した。調査の結果、「は」は書き言葉において優勢となること、「は」の主題用法は話し言葉で増えること、「が」の機能別頻度は書き言葉・話し言葉の差の影響を受けにくいことなどが明らかになった。




D2:中間言語対照分析における話者背景情報の組み込み ―I-JAS for CIA Integrated Face Sheet および I-JAS for CIA V2.0 の開発―

発表者:石川 慎一郎(神戸大学)

使用する言語資源:多言語母語の日本語学習者横断コーパス (I-JAS)

統制的なタスクデザインに基づき、多様な参加者からデータを集めた「多言語母語の日本語学習者横断コーパス」(I-JAS)(迫田, 2020)は中間言語対照分析(CIA)に適した言語資源であるが、「中納言」上でもダウンロード版データを使っても、習熟度をそろえた対照研究は実施困難である。この点を解決するため、報告者は、I-JASに含まれる膨大な産出データを1枚のエクセルシート上に展開するとともに、習熟度・母語・タスクをキーとしたデータ抽出を可能にしたI-JAS for CIA V1.0(石川, 2024)をリリースした。ただ、I-JAS for CIAには学習者の詳細背景情報は内包されておらず、男女比較や、動機づけタイプ別比較などは依然として実施困難のままである。そこで、I-JASの「フェイスシート」データを精選・整理し、主要項目(動機づけ、使用教科書等)を0/1コード化したI-JAS for CIA V2.0を新規に開発した。本発表では、実施した作業の詳細と、新しいシートで可能になる研究実例について報告する。

 

2026/08/20

2026.8.20 新刊書が出ました

2026/8/20

「ベーシック学習者コーパス研究:英語・日本語学習者コーパスを用いた研究実践」(ひつじ書房)

A5判並製カバー装 定価2,800円+税 312頁

ISBN978-4-8234-1349-0

写真はひつじ書房サイトより。

☛迷走をきわめた汗と涙の(?)刊行記録はこちら。


第 1 部 学習者コーパス研究入門―研究の背景を学ぶ—

第 1 章 学習者コーパス研究の概要

第 2 章 学習者コーパス研究の準備

第 3 章 学習者コーパス研究と統計


第 2 部 個別語分析―個別語の振る舞いを探る—

第 4 章 KWIC 検索―特定の語の出現文脈を調べる

第 5 章 単語結合形検索―特定の語を含む一定長のチャンクを調べる

第 6 章 共起語検索―特定の語の近傍に出現する語群を調べる

第 7 章 プロット検索―特定の語の散在状況を調べる


第 3 部 テキスト分析―テキストの言語特性を探る—

第 8 章 単語頻度検索―テキスト内のすべての語の頻度を調べる

第 9 章 単語連鎖(枠)検索―テキスト内の一定長のチャンクを網羅的に調べる

第 10 章 特徴語検索―テキスト内で顕著に多く使用される語を調べる


第 4 部 統計分析―頻度から言語の特性を探る—

第 11 章 仮説検定―頻度の差の有意性を調べる

第 12 章 回帰分析―説明変数と目的変数の関係をモデル化する

第 13 章 クラスタ分析―ケースまたは変数を分類する

第 14 章 対応分析―ケースと変数の対応関係を調べる

参考文献

索引

分析実例関連語索引


 

2026/08/11

研究メモ インドネシア応用言語学会(CONAPLIN19)におけるコーパス関連発表

研究メモ:インドネシア応用言語学会(CONAPLIN19)におけるコーパス関連発表

Agustina Lestary: Multilingual Questioning Practices in Indonesian EFL Higher Education: A Corpus‑Assisted Analysis of Teachers’ Language Choices 教師発話コーパス

Devi Ambarwati Puspitasari:  Laughter Expressions in Indonesian Digital Communication: An N-gram Based Corpus Linguistic Analysis デジタルコミュニケーションコーパス

Dewi Nastiti Lestariningsih:  Disability Representation in Children’s Storybooks: A Corpus-Assisted Discourse Study 子供用ストーリーブックコーパス

Shinichiro Ishikawa: Does AI replace a learner corpus?: A study on the reliability of AI-generated "learner essays AI生成エッセイコーパス

Dina Wulansari: Building Trust Through Language: A Corpus-Assisted Appraisal Analysis of Comparative Cushion Battle Discourse in Tasya Farasya’s YouTube Beauty Reviews YouTubeコーパス

Yuka Ishikawa: Lexico-Grammatical Variation in Tense, Aspect, and Voice across Academic Disciplines: A Corpus-Based Analysis of Research Article Abstracts 論文アブストコーパス

GABRIEL ADITYA VIRGINIO: English Jargon in Competitive First-Person Shooter Games: A Corpus-Based Register and Multimodal Analysis 射撃ゲームコーパス

Nayla Izzatul Laili: The Representation of Padel in the National Media: A Corpus-Based Verb Analysis 新聞コーパス


※複数発表者は代表者のみ記載。


2026/04/30

2026.4.30 兵庫県立兵庫高校講演会

兵庫県立兵庫高校で2年生の皆さんに探究の講演を行いました。実父と義父の母校でもあり、自分にとっても母校に来たような気がします。

スライドより:水平方向ではなく垂直方向で拡張を目指したい


同校では、研究テーマの壁打ちにAIの導入を考えておられるとのこと、面白い取り組みで、成果が楽しみです。

高校生がアイデアだしにAIを使う場合、

(A)~について案を出してください

とすることが多いのですが、高校探究の場合、そうなると、生徒さんは、「わ、すごい、そのまま採用!」となりがちなので、

(B)~について3案を出し、それぞれ長所・短所を3点ずつあげてください

のような指示とし、どれを取るかは、生徒さんの合議で決める、その合議の過程を記録に残す(場合によって学校に提出する)、といったプロセスが重要かなと思います。AI活用では全部委任にするのではなく「人間の最終判断(とそれに伴う責任)」を意識することが不可欠です。

私自身は、高校探究を、生成AI等によって未来の仕事が脅かされる中での基盤的知性の開発の場ととらえているのですが、その探究の活動自体にAIを入れていくというのは、チャレンジングですが避けて通れないプロセスになってくるように思われます。

 

2026/04/26

2026.4.26 大学英語教育学会特別委員会

表記に参加しました。

私が関与している特別委員会は、学術交流の 拡大を目指すものですが、日本の学会は、今後、海外・国内の両面で連携をさらに強化していく(「大同団結」に向かっていく)必要があるのではないかと思われます。

財務省が「2040年までに私立大学250校を削減すべき」という立場を示して話題になっていますが、学会関係者は、同じことが学会にもあてはまる、という意識を持つ必要があるでしょう。少子化の中で研究者の人口も相当な勢いで減っており、加えて若手研究者の海外学会志向の高まりもあって、小~中規模の専門学会には苦難の時代となりそうです。

多くの学会が将来構想委員会的なものを設置していますが、将来というのは5年先、ぐらいを指すことが多いようです。30年先ぐらいにどうなっていたいか、どうなっているか、そういうことを考えるマネジメントも必要だろうと感じます(これは大学も同じですが)。

2026/04/25

2026.4.25 計量国語学会理事会

表記に参加しました。

計量国語学会では、昨年度の財務体制の見直しを経て、新しい試みが芽吹きつつあります。論文賞、理事会内部の委員会制、合評会などなど。また、次年度をめざして、研究会制度の導入の議論も進んでいます。

少子化の時代、学会はどこも大変ですが、運営をスリム化し、それによって学術活動の中身を充実化しようとしているところは強いのではないかな、と感じています。逆に、運営面が肥大化し、会員のエフォートの大半が組織維持に消費され、肝心の学術活動の中身が細っているという場合は危ないのでは・・・という気もします。


おしらせ

計量国語学会第70 回大会(対面開催)

2026年9月12日(土) に日本大学文理学部で開催します。

 

2026/04/24

2026.4.24 外国語教育コンテンツ論コース第1回集団指導でゼミ生が発表

M1にとってはデビュー戦でしたが、各自、よく頑張ってくれました。


D3 飯島真之 高等学校英語教科書コーパスの構築とスタンス使用の予備調査

これまで既存の現代英語コーパスや学習者コーパスにおける英語スタンス表現に関する考察を実施してきたが、学習教材においても調査の余地がある。そこで、事前段階として、発表者が勤務校で使用している高等学校英語教科書をコーパス化し、その過程を報告する。

D3 廉沢奇 コーパス調査に基づく現代日本語におけるオノマトペの用法解明と日本語教育への応用

日本語のオノマトペが、実際のテキストにおいてどのように翻訳され、どのように対応づけられているのかを明らかにすることは、言語学的に興味深い課題である。本発表では、過去10年の直木賞受賞作を対象に、日本語原文と中国語訳によるパラレルコーパスを構築する計画と、その進捗について報告する。

M2 Fu Gang 母語話者コーパスにおける対比型連結副詞の使用傾向

COCAとBNSという両コーパスを用いて、12種の対比型連結副詞の使用頻度、英米の差や使用場面などの使用傾向を調査した発表です。


M1 原 里咲子 日本語日常会話コーパスに見る日本語終助詞「ね」の使用実態の解明-日本語指導の指針を探る-

日本語終助詞の「ね」は同感・共感・確認などの機能を有するが、日本語学習者にとってその習得は容易ではない。そこで本研究では、「ね」の効果的な指導法を探る前提として、日本語日常会話コーパスにおける「ね」の出現状況に関する基礎調査を実施する。

M1 李宏宇 現代日本語の書き言葉・話し言葉における「は」と「が」の使用実態に関する基礎調査ー中国人学習者に対する効果的な指導法を探るー

助詞を持たない中国語を母語とする日本語学習者にとって、日本語の助詞は習得が困難な学習項目の一つである。本発表では、このうち、とくに使い分けの指針があいまいな係助詞の「は」と格助詞の「が」に注目し、書き言葉コーパス(BCCWJ)と話し言葉コーパス(CEJC)を用いて両語の使用頻度・使用環境の差を調査する。

M1 古本杏奈 現代英語の多様なジャンルにおける動詞の位置づけに関する基礎調査-高等学校における効果的な英語動詞指導の在り方を探る-

高校における英語語彙指導においては、様々な構文の核となる動詞を適切に扱うことが重要となるが、動詞の位置づけがジャンル間でどのように変化するかについてはいまだはっきりしていない。そこで本研究では、指導要領が強調する「場面別」に対応できる英語力の涵養の方針に沿い、大規模コーパスを用いたジャンル別の動詞頻度調査を実施する


M研 蘇開勇 中国人学習者の有対自他動詞の使用実態の解明 ー横断・縦断コーパスの二元調査ー

横断的・縦断的コーパスを用いた二元的なアプローチにとって、中国語母語話者の日本語学習者による有対自他動詞の使用実態を探索してみる。