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2019/12/22

2019.12.22 第二言語習得研究会第30回記念大会で招待シンポジウム発表

第二言語習得研究会(JASLA)第30回記念大会

日時 2019年12月21日(土)・22日(日)
会場  武蔵野大学有明キャンパス
全体テーマ:「学習」の多様化とSLA

シンポジウム(2日目)
 「多様化の時代に、SLAの研究手法を再考する―「質」と「量」をつないでひらく、新しい試みを求めて―」
シンポジスト
八木真奈美氏(駿河台大学)質的研究の観点から
抱井尚子氏(青山学院大学)混合研究法の観点から
石川慎一郎氏(神戸大学)量的研究の観点から
コメンテーター
小柳かおる氏(上智大学)

★三者三様の立場から発表を行いましたが,なかなか盛り上がった面白いシンポジウムになったのではと思います。石川は,量的研究には「NPO問題」,つまり,N問題(母集団に対して必要な標本数が確保されている場合が少ない),p問題(有意性検定におけるp-hackingに対する批判が強まっている),o問題(outlier=外れ値が多い学習者データを事前の枠組みで分類して差を見ることには論理的矛盾が生じうる)の3つがあることを指摘し,統計を検定の道具というより発見の道具としてうまく使っていくことが有益ではないかという趣旨で話をしました。

★武蔵野大学有明キャンパスは,ビッグサイトのすぐそばで,建物上階の会議室からは東京タワーがきれいに見えました(小雨模様だったのが残念)。



2019/12/14

2019.12.14 JWLLP(早稲田大/日英言語文化学会(和洋女子大)で講演

午前・午後,2つの学会で講演を行いました。

JWLLP-28 (2019/12): The 28th Joint Workshop on Linguistics and Language Processing

Dates: December 13th Friday afternoon through 14th Suturday, 2019
Venue: 8-303/304/305 on the third floor of building 8 in Waseda Campus of Waseda University

Day 2 11:00-11:40
[Invited Talk] Task Influence on Learner Speeches: An Analysis of the ICNALE Spoken Dialogue Module
Shin'ichiro Ishikawa


AJELC 日英言語文化学会 第73回定例研究会

日時 2019 年 12 月 14 日(土) 14:30-17:00
場所 学校法人和洋学園 九段スカイビル 2 階(開室 14:15)

15:55-16:55 講演
「L2 の発信力って結局なんなのだろう? ―学習者コーパス研究の 10 余年をふりかえって―」
石川慎一郎 (神戸大学教授)


2019/12/07

2019.12.7 九州英語教育@宮崎公立大 参加

表記に参加しました。

2019年度 第48回 九州英語教育学会 宮崎研究大会
日 時:2019年12月7日(土)
場 所:宮崎公立大学

聴講した主な発表

CLIL 型指導による SDGs 英語プレゼンテーション能力と汎用的技能の向上
岡田 美鈴(宇部工業高等専門学校)

Pros and Cons for Creating an Extensive Reading Program at a National University in Japan
Monica Hamciuc(鹿児島大学)

語彙サイズの異なる英語学習者の心内辞書構造の相違
折田 充(熊本大学)他

プレゼンテーション学習におけるメタ認知による学びの一考察-高等学校新学習指導要領英語編に基づいて-
長友 隆志(宮崎県立都城西高等学校)

日本の中学校における英語教科書のコロケーション分析
武末 俊光(熊本県立大学大学院生)

日本人高校生を対象とした英語論証文指導の検証
坂口 寛子(福岡県立香住丘高等学校)

History classes using English with an ALT
Junichi Okubora(長崎市立大浦中学校)

★実践を重視した意欲的な研究が多く,いろいろ参考になりました。

会場近くの宮崎神宮

2019/12/03

2019.12.3 兵庫県立津名高等学校インスパイア―特別講義

兵庫県教育委員会事業の一環で,津名高等学校を訪問し,英語プレゼンテーションに関して,生徒さんの発表聴講と指導助言を行いました。

当日は,まず,生徒さんによるポスタープレゼンを聴講しました。

生徒発表風景 (画像加工済み)

その後,指導助言では,各班の発表内容について以下の観点から評価を行いました。


いささか辛口のコメントもあったかもしれませんが,優秀な生徒の皆さんが,さらにステップアップしていくうえで,何かのお役にたてば幸いです。

この時期に津名にいくと,いつも神戸側に帰ってきたころに夕景を楽しめます。





2019/12/01

2019.12.1 日本ロシア語教育研究会での講演

下記で特別講演を行いました。

ロシア語教育研究集会2019
日時 2019年12月1日(日)11:00~17:30
会場 関西大学 千里山キャンパス岩崎記念館 4 階 F401

11:00-12:00 特別講演
石川 慎一郎氏(神戸大学)
「学習者コーパスの歴史:学習者の L2 使用を総体としてとらえるために」
かつて英語中心・欧州中心だった学習者コーパス研究は, 2010 年代には言語的・地域的に大きな広がりを見せている。本講演では,発表者の経験をふまえ,学習者コーパスの設計・構築・公開・分析にかかる諸問題について具体的に概観する。

★当日は,英語や日本語の学習者コーパス分析で明らかになってきた事実を示しつつ,こうした試みがロシア語を含む各種の外国語教育に展開していくことが期待されるといった趣旨でお話をいたしました。


2019/11/30

2019.11.30 ICNALE SD V1.0 リリース

3年間かけて構築を進めてきたアジア圏国際英語学習者コーパスICNALEの新モジュールSpoken Dialogue(ICNALE SD)が完成しました。(リリース日は2019.12.1予定)。

http://language.sakura.ne.jp/icnale/

アジア圏10か国・地域の学習者405人と母語話者425人による合計160万語のインタビュー発話データです。欧州圏学習者の対話コーパスLINDSEIと比肩しうる規模になりました。

ICNALE SDは,当研究室が手掛ける4つ目の学習者コーパスですが(作文→校閲作文→独話→対話),作業は難航し,これまでで最も大変でした。シンガポールでのデータ収集が進まず,やむなくマレーシアに調査地を変更する等,紆余曲折もありましたが,3年間で100万語超のデータを収集して公開するという当初のミッションがなんとか達成され,ほっとしています。


上記は,撮影時に協力者にかぶってもらったマスクです。各国に送付し,終了後,返送されてきたので,現在,研究室はちょっと不気味なハローウィーン状態になっています。

年度末までの3か月は,ICNALE SDのデータを使った分析を進めます。


2019.11.30 中国語話者のための日本語教育研究会@埼玉大 参加

中国語話者のための日本語教育研究会 第46回研究会
日時 2019年11月30日(土)14:00~17:20
会場 埼玉大学 教養学部棟 22番教室

聴講した発表

14:00~14:35 劉 璐瑶(埼玉大学大学院生)
「I-JAS コーパスにおける中国人日本語学習者の一人称代名詞の使用について
―会話における「ワタシは」の過剰使用を中心に―」

14:35~15:10 鈴木 靖代(国立国語研究所)
「中国語話者の限定を表す場面における限定副詞「ただ」の過剰使用に関する縦断的分析―とりたて詞「だけ」「しか」の使用傾向との比較から―」

15:10~15:45 高 琳(神戸大学大学院生)
「中国人日本語学習者の「慰め」行為の使用実態について
―日中母語話者も含めた質問紙調査の結果から―」

16:05~16:40 牛尾 佳子(今治明徳短期大学)
「中国語母語話者の副詞に関する使用傾向-YNU書き言葉コーパスを活用して-」

★どれも興味深い発表でした。この研究会は,院生さんの発表が多いので,研究手法や研究設問に関して最近の研究のトレンドがよくわかり,有益です。

★学会で全国の大学に行っていますが,埼玉大に来たのは初めてでした。正門前のロータリーに設置されたオブジェが印象に残ります。このオブジェは,「埼玉大学の学生が、この「地」から「社会」に飛翔していく様を表」すのだそうです(参考)。



2019/11/29

2019.11.29 神戸大学全学共通教育ベストティーチャー賞・同特別表彰授賞式

神戸大学国際教養教育院における2019年度前期の授業実践に関して「神戸大学全学共通教育ベストティーチャー賞」(外国語第Ⅰ部門)に選ばれました。また,今回の受賞で同賞受賞が通算5回目になることから,規定により「ベストティーチャー賞特別表彰受賞者」に同時に選出されました。

11月29日に表彰式があり,「ベストティーチャー賞」および「特別表彰」を授与されました。



私見では,大学の教育というのは,研究と理論に裏付けられていることが重要であると考えます。ELF(非母語話者間交流手段としての英語),CLIL(内容と言語の一体指導),DAL(批判的思考を重視したアクティブラーニング),CL(協働の学び)の4つの理念を統合した教授方針が学生に評価されたことを嬉しく思っています。


2019/11/28

2019.11.28 研究メモ:若き研究者と論文

 神戸大の国際文化学研究科では1月初旬が修士論文・博士論文の締め切りなので,現在,ゼミ生は研究室にこもって論文執筆の真っ最中である。慣れない論文を延々と書くのはつらい作業であろうが,書き続けることで見えてくるものもある。

 ちょっと前の文芸雑誌を読んでいて,気になる文章があったので,引用する。

…一時期,わけがわからないまま書きつづけてみてわたしが得たのは,時間と労力を傾注して何やかやを暗中模索するうちに,案外,小説めいた(※本文は傍点)何かがおのずと形をなしてくるものだといった,楽天的と言えば楽天的な認識であった(中略)たとえば,或る部屋で誰かがテーブルに向かって座っていると書き出してみる。では,それはどういう人物なのか,男なのか女なのか(中略)。作家は言葉を次々に繰り出し,重ね合わせ,人や物の存在の様態を「限定」してゆく。
松浦寿輝(2015)「黄昏客思 第18回 行路峻嶮」『文學界』69(6), 262-269.

 これは散文と韻文を両方手掛ける著者が,散文というのは「醸造酒的」な「雑」が持ち味であるのに対し,韻文は「蒸留の操作に似た何かを施した言語態」であると主張するエッセイの書き出し部なのだが,上の部分だけを取り出して,少し言葉を変えると,論文執筆に悩む若き大学院生に送る良い言葉になりそうである。

わけがわからないまま書きつづけ…時間と労力を傾注して何やかやを暗中模索するうちに,案外,論文めいた何かがおのずと形をなしてくるものだ…たとえば,或る部屋で誰かがテーブルに向かって座っていると書き出してみる。では,それはどういう人物なのか,男なのか女なのか・・。研究者データを次々に繰り出し,重ね合わせ,人や物の存在の様態を「限定」してゆく。

 学問分野によって違いはあろうが,記述的で探索的な分野の研究者であれば,みな一度や二度はこういう経験をしているのではないだろうか。「神が降りて来る」と言い切る蛮勇はないにせよ,黙々と論文を書いていると,何か吾知らぬところから吾知らぬものが「おのずと形をなしてくる」という瞬間が確かに存在する。

 若い大学院生の諸君には,在学中に,「わけがわからないまま書きつづけ」る経験をできるだけ多く積んでもらいたいと思う。執筆,頑張れ!
 

2019/11/09

2019.11.9 語彙・辞書研究会で招待発表

第56回語彙・辞書研究会

日時:2019年11月9日(土) 13:25開始(13:15開場)~17:00
場所:新宿NSビル 3階 南3G会議室

[シンポジウム]「国語辞書の文体・位相・語感の記述について」
基調講演
中村明(早稲田大学名誉教授)「空想の国語辞典—語彙・意味と文体・語感の周辺—」

発題
石川慎一郎(神戸大学)「コーパス調査に基づく「文体・位相・語感」の記述の可能性—日本語学習者のための発信型辞書の開発を見据えて—」

宇野和(お茶の水女子大学大学院生)「接尾辞ミと「味」の特徴—近代からTwitterまでを例に—」

東中竜一郎(NTTメディアインテリジェンス研究所)「対話システムの文体とキャラクタ性」

司会 山崎誠・柏野和佳子(国立国語研究所)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当日は,英和辞書の作成過程をふまえ,国語辞書開発において,文体・位相・語感をどうあつかうべきか,また,それを支援するためにどのようなコーパスシステムが必要か,といったお話をさせていただきました。

当日のスライドより


2019/11/08

2019.11.8 神戸大学国際文化学研究科「コロキアム3」でゼミ生が発表

神戸大国際文化学研究科では,D3の10月に「予備審査用博士論文」を提出し,講座の全教員が出席する公開試験(コロキアム3)に合格すれば,翌年1月に「博士論文」を提出し,最終試験を受けられるという制度になっています。

D3生にとって学位取得のための大きな関門である「コロキアム3」でゼミ生が発表しました。

2019 年度 神戸大学大学院国際文化学研究科グローバル文化専攻外国語教育系
予備審査用博士論文審査(コロキアムⅢ)

日時:2019 年 11 月 8 日(金)14 時より
会場:国際文化学研究科 D 棟 603 号室

14 時 00 分~14 時 45 分
張 晶鑫 外国語教育コンテンツ論
「現代日本語におけるオノマトペの用法解明と中国人日本語学習者のためのオノマトペ指導に対する提言―コーパス言語学の教育的応用の可能性をめぐって―」
司会:大和 知史教授

*判定会議
14 時 45 分~15 時 15 分 コース会議 (会場:D601 号室)
15 時 15 分~15 時 45 分 講座会議 (会場:D603 号室)

後日,無事に合格となり,ほっとしています。いよいよD論の提出です!




2019/11/07

2019.11.7 兵庫県立長田高等学校特別講義

人文・数理探究類型の1年生の生徒さんを対象に,探究活動のキックアップとして「リサーチメソッド」の講演を行いました。

演題:はじめての探究―社会と私を接合する―
講師:石川慎一郎(神戸大学大学教育推進機構教授)

講演では,探究の理念や,探究を通して社会への接合性を再確認することの重要性をお話させていただきました。

当日のスライドから

また,探究活動を行っていくうえで,文理を分離させず,融合していくことの重要性を強調し,学校に対しては,文理融合チームの結成や,文系チームと理系チームのバディシステムの導入による「相互聞きあい制度」の創設を提案させていただきました。優秀な高校生の皆さんによる3年後の探究発表が楽しみです。

2019/10/30

2019.10.30 神戸大学史展を観覧

下記を観覧しました。

神戸大学史・特別展「新制「神戸大学」の誕生-新制大学発足70周年記念-」
於:神戸大学百年記念館

母校に勤めることの愉悦の一つは,日々の通勤の道すがら,まったく同じ道を歩いていた18歳の自分と疑似的にリンクできることである。
なんだかんだで長いつきあいのある大学なので,たいていのことは知っているつもりになっていたが,こうした展覧会に出ると知らなかった発見がいくつもある。

今回の発見4つ

1)神戸大の前身学校はそれぞれに大学昇格を目指していたが,その際,京大に合併するプランと,阪大に合併するプランがあった
2)当初文部省は「兵庫大」という名称を主張してきたが,押し返して「神戸大」となった
3)各前身校の伝統がそれぞれ異なるので新生神戸大は長らく開学記念日が決められず,最後は執行部が「この日は晴れが多いから」という理由で決定した(しかも,にも拘らず翌年はどしゃぶりだった(笑))
4)正門の青銅の校名版は職員が退職金で作った

ふつう,大学史と言えば,天下国家を論じたり,人類幸福といった仰々しい話ばかりと思われがちだが,愛すべき母校の過去は「くすっ」となるような小粒なエピソードが多く,まあ,それもまた妙味。

下記は当日の展示から


2019/10/25

2019.10.25 国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース2019年度第4回集団指導でゼミ生が発表

研究科の集団指導でゼミ生5名が発表しました(D3は今回は発表対象外です)

<日時・場所>
2019年10月25日(金) 8:50-11:30(予定)
D615教室

<プログラム>
09:10-09:30 中西淳(D2)「前置詞の用法分析のサンプルとしてat・in・on の3 語を指定することの妥当性について」

10:25-10:40 王思閎(M2)「書き言葉コーパス・話し言葉コーパス・母語話者コーパス・非母語話者コーパスの四元分析に基づく日本語基本オノマトペの検討」

10:45-11:30 ポスター発表
肖 錦蓮(D1)「現代日本語における一人称複数代名詞の選択と書き手スタンスの表出」

鄧琪(D1)「コーパスに基づく漢語・外来語形状詞の「ナ」・「ノ」による名詞修飾節の調査」

石田麻衣子(M1)「小学校英語教育で扱うべき語彙̶現行の中学1 年教科書と新課程の小学校5・6 年教科書の統計的比較から̶」


2019/10/06

2019.10.4-6 英語コーパス学会第45回大会でシンポジウム発表@高知県立大学

理事会(4日)および大会(5-6日)に参加し,最終日に実施されたシンポジウムで発表を行いました。


Day 2 10月6日(日)
●シンポジウム:13:30–15:00(場所:A101)
Gazing into a crystal ball: what you can see in the future of corpus linguistics
Chair:Yukio Tono(Tokyo University of Foreign Studies)
Yukio Tono(Tokyo University of Foreign Studies)
Shin’ichiro Ishikawa(Kobe University)
Hitoshi Isahara(Toyohashi University of Technology)
Tony McEnery(Lancaster University)

シンポジウムでは,司会の投野先生から「6つの質問」が示され,各自がそれぞれの立場で回答を行いました。

コーパス言語学の未来を考える6つの質問
1) Are there any new types of corpora in the future? What kind of corpora would you like to create?
2) Any innovations in collecting, annotating, and analysing texts?
3) What are some of the new types of applications of corpora?
4) Can the term "corpus linguistics" still survive?
5) How can linguists or language practitioners benefit from future corpora?
6) Any other innovations or methodological breakthrough?

石川のとりあえずの回答
1) ICNALEの拡張と,新発想の日本語コーパス
2) 自動書き起こしはすでに実用化されているがその精度が高まり発話コーパス構築の垣根が下がる
3) 身近なところでは学校現場でのIR(教学分析)など
4) 意味を変えつつ現存する
5) コーパスは言語を見る「態度」を教えてくれるものでその基本的価値は(たとえばAI等で言語処理ができるようになったとしても)変わらない
6) 技術面・手法面よりはむしろ「テキスト回帰」の中でbreatthroughを探りたい

といったところです。

2019/09/29

2019.9.29 科研費よる学習者コーパス国際シンポLCSAW4 を実施@神戸大

当研究室の主催による科研シンポジウムLCSAW4を開催しました。

詳細は下記。
http://language.sakura.ne.jp/icnale/symposium.html#4



以下,大学の広報用に送った文章の控えです。

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神戸大学大学教育推進機構/国際文化学研究科石川慎一郎研究室で行っているアジア圏英語学習者国際コーパスInternational Corpus Network of Asian Learners of English (ICNALE) の構築プロジェクトの一環として,2019年9月29日(日)に,神戸大学百年記念館六甲ホールにおいて,国際シンポジウムLearner Corpus Studies in Asia and the World (LCSAW) 2019が開催されました。2013年,2014年,2017年に続く4回目の実施となります。

今回のシンポジウムは,英国と日本の国際共同研究の推進のため,英国ESRC(Economic and Social Research Council : 経済社会研究会議)とAHRC(Arts and Humanities Research Council : 芸術・人文科学研究会議)が実施している「日英研究協力グラント ESRC-AHRC UK-Japan SSH Connections grants」の支援を受けた研究プロジェクト(代表:Tony McEneryランカスター大学教授,日本側責任者:石川慎一郎/投野由紀夫[東京外国語大])との共催の形を取りました。

当日は日英からの招聘講師13名による口頭発表と,国際公募で選ばれた14本のポスター発表がありました。英国・日本だけでなく,タイ・マレーシア・韓国などから,総勢80名の参加者があり,盛会となりました。シンポジウムでは,ICNALEをはじめとする大型学習者コーパスを用いた第2言語習得研究(SLA)の展開について,また,異なる地域で仕事を行っている研究者間,分野を異にする研究者間での「協働」の促進の必要性について活発な議論が交わされました。

本シンポジウムは,科学研究費およびESRC-AHRCグラントの支援を受けて企画・実施されたものです。開催にかかる関係各位のご支援に感謝申し上げます。
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シンポでは,石川が基調講演を行ったほか,大学院ゼミ生全員が英語によるポスター発表に挑戦しました。

この国際シンポジウムも今回で4回目となり,これまでの参加者は延べ500名近くとなりました。海外においても,アジア圏の学習者コーパス研究の拠点の1つとして,「神戸」の名が次第に浸透しつつあると感じます。神戸の地でこうした行事を4度にわたって続けてこられたのは科研費の支援によるもので,改めて感謝申し上げます。

2019/09/26

2019.9.26 尼崎市立日新中学校教員研修会で講演

継続的に関わっている日新中学校で,講演を行いました。

当日は,国語(パネルディスカッションをやってみよう)・技術(AIについて考えよう)・英語(道案内をしよう)という3つの授業を拝見し,アクティブラーニングの観点から,授業のデザインや教授の方向性について講話を行いました。

2019/9/26
尼崎市立日新中学校公開授業・授業研究会
講師: 石川慎一郎(神戸大教授)
演題:その先に子供をどうやってつれてゆくか~DALの目指す地平~

講演では,子どもに討論や班活動をさせたり,体を動かしたりさせる等,目に見えるアクティブラーニングを「表層的アクティブラーニング」(superficial active learning:SAL),子どもの頭の中の認知的活動が活性化していることを「深層的アクティブラーニング」(deep active learning:DAL)と呼び分け,SALとDALの関係について説明しました。SALとDALは,体のアクティブ,心のアクティブととらえることもできます。


3つの授業は,それぞれよく工夫されたものでしたが,SALの活動をいくつか用意してそれで終わり,とするのではなく,そうした表層的活動が真にDALにつながっていくために,どういう手立てを用意するのか,そこにカギがありそうです。





2019/09/22

2019.9.22-23 統計数理研究所共同研究グループ夏季発表会@大阪大

表記のイベントが行われました。

今回は,「ポスターセッション」の時間が長くとられ,参加者との意見交換を十分に行うことができました。

ポスターセッション風景


石川ゼミからは,5人がポスターで,1人がオーラルで発表しました。下記はその一部です(初日発表分のみ)。

石川慎一郎 丁寧体否定文型の選択について

鄧琪 非和語系語彙に後接するナ・ノの選択について

張晶鑫 日本語オノマトペの中国語訳について

肖錦蓮 1人称複数代名詞の選択とスタンスの関係について


2019/09/21

2019.9.21 計量国語学会大会参加@国立国語研究所(立川)

表記に参加しました

プログラム
http://www.math-ling.org/Docs/poster2019.pdf

13本と盛りだくさんな内容でしたが,どれも興味深い発表でした。コーパス言語学は究極的には1つの手法なので,主として扱う言語が違っても,同じ土俵で考えたり議論したりすることができます。

下記は聴講メモより

1)S/Wの対比は難しい
話し言葉,書き言葉といっても,その中には膨大な多様性があり,1つのコーパスでそれを代表させることはきわめて難しい。とくに,現代日本語の「書き言葉」を代表するとされるBCCWJのデータ構造は複雑で,BCCWJの総体が何を表しているのかは自明ではないかも?

2)話し言葉コーパスの分析単位をどうするか
話し言葉コーパスの書き起こしはどの程度まで信頼できるものだろうか?たとえば,「はい」と「はあい」と「は・い」と「はああい」等の音声はどこまで正確に書きわけられるものだろうか?だとすると,それを分析単位にすることは可能だろうか?

3)多変量解析の複数実行
たとえば異なる手法でちょっと違う結論が出てしまった(ように見える)とき,どういう対応が望ましいのだろうか?

4)文体と編集
編集された(かもしれない)テキストの文体はどこに帰属するのだろうか?

5)TTR補正
RやCは知っていたが,typeのlogのlogを,tokenのlogのlogで割る「S値」というのを初めて知った(孫・金,2019)。たしかにHerdan Cよりもトークンの影響を殺していそう。

6)多変量解析によるグルーピング問題
結局,グルーピングの数を決める究極的な根拠とはなんだろうか?

などなど,盛りだくさんな一日だった。また,院生さんはじめ,若い発表者が多いのも,(英語コーパス研究の側から言うと)純粋にうらやましい限り。


2019/09/19

2019.9.19 尼崎市立園田中学校道徳科公開授業での指導講話

表記に参加し,講話を行いました。


中学校では2019年度から「特別の教科」としての「道徳」(道徳科)がスタートしました。

一般に,「教科」には,(1)免許,(2)教科書,(3)評価の3点セットが伴います。今回,道徳は(2)と(3)をクリアしたわけですが,(a)道徳免許というものは(現状では)ない,(b)道徳は教科内だけでなくすべての教科・課外活動を通じて総合的に教えるべきものである,(c)中学校においても担任が指導する,といった点で他の教科とは異なる特殊な位置づけにあるため,もって,「特別の教科」という位置づけが与えられました。

新しい道徳のあるべき姿を考える場合,今回の道徳教育の改革がいじめ問題への対策として始まったことは,覚えておかなければなりません。


私見では,カギは「自分事としてとらえる」点にあると思います。

その際重要になるのが多面的な意見の葛藤の中から自分の意見を選び取るという体験です。

たとえば,道徳の教材や教師から「いじめはダメ」という価値観を押し付けられた生徒が,そうした見解をオウム返しにして「いじめはしない」と感想文に書いたとしても,その意見は真の意味で自分事になっていない可能性があります。

むしろ,「いじめ」に関するさまざまな立場・意見に触れ,ひとりひとりの生徒が真剣に悩み,教師や友人や家族と対話を重ねることで,自分の意見を練り上げ,最終的に「いじめはしない」という意見を<自らの覚悟で選び取る>ことこそが,意識の変容につながり,ひいては,行動の変容につながるのだろうと思います。

私の理解では,新しい道徳が最終的に目指すところは,意見を選ぶ機会と権利を生徒に与え,あわせて,選ぶことの責任を負わせるというところにあるのではないかと。これは民主主義の本来の姿です。

この意味で,「考え,対話する道徳」の新しい展開は,高等教育を含めた日本の教育の改革に大きなインパクトを持ちます。



2019/09/17

2019.9.17 神戸大学附属中等教育学校SGH評価委員会出席

表記に出席しました。

この数年,いくつかのSGH(スーパーグローバルハイスクール)の運営に関わってきましたが,中でも,神戸大附属中等の取り組みは非常に意欲的で大きな成果をあげたものの1つであると言えます。

しかし,同校のSGHも最終年度を迎え,今後,財政支援がなくなる中で,これまでの成果をどう残し,来年度以降の教育の実践につなげていくかは大きな課題です。これからの中等のさらなる取り組みの発展に期待したいと思います。


2019/09/16

2019.9.16 学習者コーパス研究会@広島大学東京田町キャンパス

下記に参加しました。

(1) 学習者コーパス研究会(9月例会)
日時:9月16日(月)10:30~12:30 
場所:東京工大CIC(キャンパスイノベーションセンター)内
   広島大学東京オフィス 408号室

研究発表
「日本語学習者の能動態と受動態の使用傾向にみられる母語による違い-中国語とドイツ語での語りの比較から-」
奥野由紀子(首都大学東京人文科学研究科)

「日本語学習者のストーリー描写における名詞修飾の使用実態―母語の類型論的特徴に着目して―」
徐乃馨 (首都大学東京人文科学研究科大学院生)

(2) 学習者コーパスハンドブック編集会議
日時:9月16日(月)13:00~16:30 
場所:東京工大CIC(キャンパスイノベーションセンター)内
   広島大学東京オフィス 408号室



2019/09/14

2019.9.14 JACET東アジア英語教育研究会200回記念例会参加@西南学院大学

下記に参加しました。

東アジア英語教育研究会第200回記念大会
日時:2019年9月14日(土)14:00-17:35
会場:西南学院大学3号館403教室

プログラム (Program)
1.開会式 (Opening Ceremony)(15分)14:00-14:15
総合司会:志水 俊広(九州大学)
開会挨拶:原 隆幸(鹿児島大学)
挨拶及び祝辞:
1) 研究会代表:木下 正義(元福岡国際大学)
2) JACET会長:寺内 一(高千穂大学)祝辞代読
3) JACET 九州・沖縄支部長:石井 和仁(福岡大学)
4) 前JACET副会長:山内 ひさ子(元長崎県立大学シーボルト校)

休憩 (Break)(5分)14:15-14:20

2.特別講演 (Featured Lecture)(20分)14:20-14:40
「東アジア英語教育研究会の過去、現在及び将来」
東アジア英語教育研究会代表 木下 正義先生

3.Symposium 15:00-17:30
Title: Current Situation in ELES in Japan, Korea, and Taiwan: Teacher Training
and Future Prospects
Coordinator: Akihiko Higuchi (Miyazaki International College)
Invited speakers:
 Mae-Ran Park(Pukyong National University, Republic of Korea)
 Jenny Chen(National Taipei University of Education, Taiwan)
 Noriko Kawakami (Kagoshima Immaculate Heart University, Japan)

韓国と台湾における小学校英語をめぐる政策的変化や,現場の対応についての報告は非常に勉強になるものでした。日本を含め,どの国においても,英語教育は時の政治に大きく影響されます。


2019/09/10

2019.9.10 TOEICセミナー@大阪グランフロント

下記に参加しました。

2019年度 TOEIC® セミナー

学生の将来を後押しする大学の取り組み
~ 社会のニーズから考えるTOEIC Programの活用 ~

主催 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
後援 米国大使館、大阪商工会議所、公益社団法人 関西経済連合会、グローバル人材活用運営協議会

プログラム内容

13:50 基調講演 日本電産株式会社
「日本電産グループが求めるグローバル人材とは」
人事部長  平田 智子 氏

「TOEIC L&Rの可能性と限界を探る」
文学部長(外国語学部長就任予定者)  伊藤 彰浩 氏

「リベラルアーツカレッジにおける共通英語教育改革」
共通英語教育研究センター センター長  川越 栄子 氏

「情報理工学部における英語教育プログラム」
情報理工学部 教授  杉野 直樹 氏


3つの大学とも,工夫された英語教育を実施しておられ,大いに触発されました。また,どの大学も,TOEIC一辺倒にならないよう,外部試験を「賢く」使っておられることが印象的でした。

2019/09/04

2019.9.4 兵庫県立宝塚高等学校特別講義

宝塚高校で,特別講義を行いました。



講義は英語で行い,プレゼンテーションの根底にある<問題を探す><問題を発見する><解決策を作る>という知的な営みをどのように展開していけばよいのかについて解説しました。

宝塚の生徒さんは,こうしたことを考えるのは初めてということでしたが,どの生徒さんも大変意欲的で,今後の成長が楽しみです。

2019/09/03

2019.9.3 神戸大附属小学校英語カリキュラム会議

同校で実施されたカリキュラム開発会議に出席しました。

現在,附小に限らず,いくつかの小学校で,外国語活動の支援事業を行っていますが,新指導要領の下で小学校英語を推進する校内体制をどう作るかは,どの学校にとっても悩ましい課題です。

一般論ですが,仮に専科を置いた場合,次の3つの体制が考えられます。

(A)3~6年生すべて専科が担当
〇 系統的指導がしやすく,英語の知識や能力の高い教員の指導を受けやすくなる
× すべてを1人でやることになりがちで,他教科で行われているような授業案の相互検討や教科会議でのカリキュラム改善などがなされにくい

(B)中学年は専科が,高学年は担任が担当
〇 教科書がなく教えにくい中学年を専科教員が,教科書・指導書があって(相対的に)教えやすい高学年を担任が担当することで学校全体の指導負担を下げる
× 高学年児童が専門知識を持った専科教員の指導・評価を受けられなくなる

(C)中学年は担任が,高学年は専科が担当
〇 高学年児童が専門知識を持った専科教員の指導・評価を受けやすくなる
× 教科書がなく教えにくい中学年を担任が担当することで,担任の負担が拡大する

このあたり,どの体制にも長所・短所があり,学校の実態や子供の実態を見据えた議論を進めていく必要がありそうです。

2019/08/30

2019.8.28-30 JACET 58th International Conference (Nagoya)で研究発表

上記に参加し,2つのシンポジウムで発表を行いました。

8/28 公募シンポジウム
The JACET Wordlist: The Next Step
Shin'ichiro ISHIKAWA (Kobe U.)
Naoki SUGIMORI (Ritsumeikan U.)
Toshihiko UEMURA (U. of Nagasaki, Siebold)

石川は,昨年執筆した2本の論文をベースとして,JACET8000の改訂の歴史や,JACETのこだわってきた「日本人学習者のための語彙」の実相,また,今後の改訂の方向性について報告を行いました。

JACET語彙表の歴史(発表スライドより)

JACET8000シンポ風景

JACET語彙表は,初版から数えて40年近い歴史を持っています。石川はV4からの参画ですが,初めてこの仕事をやるようになってすでに20年近くになります。村田先生・金田先生・望月先生らから受け継いできたこの仕事を次の世代の方に受け渡す必要性を強く感じています。

8/29 中部支部企画シンポジム(招聘)
Deep Learning vs. Deep Active Learning: New Approaches to English Education in a Changing Society

はじめに,豊橋技術科学大学の井佐原均先生が,Deep Learningを中心とする最近の自動翻訳の現状などを報告されました。石川は,その後を受け,人間の語学教師がやれること/やるべきこととして,deep active learningを中核とした大学の英語授業デザインについてお話しました。




2019/08/26

2019.8.21-26 関西大学集中講義

関西大学外国語教育研究科(博士後期)で「コーパス言語学」の集中講義をおこないました。関大は,日本の外国語教育研究のメッカであり,学生さんもみな優秀で,楽しく講義させていただきました。

関大正門前のモニュメント

学生のみなさん,4日間お疲れ様でした。各位の研究の発展を祈ります!

2019/08/17

2019.8.17-18 全国英語教育学会弘前研究大会で研究発表

全国英語教育学会で研究発表を行いました。

2019/08/17(土)午後3:15-3:40  Room 404

Shin ISHIKAWA
"Japanese learners’ grammar control in L2 English writing and two modes of speaking ―A comparison with learners in Taiwan, Thailand, and Indonesia―"


本発表では,ICNALEのインタビューデータと作文データを用い,文法エラー数が各国学習者間でどう変化するのかを実証的に調査しました。


最近,メディア等では,「コミュニカティブ英語指導」の負の影響で,日本人学生の文法力が落ちているのではないか,といったことがしばしば指摘されています。そこで,タスク内容・英語習熟度を統制した上で,日本人学生の発話・作文をアジア圏の他国の学生の発話・作文と比較しました。その結果,日本人の文法誤用数は,他と比べ,とくに多いとは言えない(発話では比較した国の中では最も少ない)ことが計量的に示されました。

今回の研究では,誤用数の推定の道具として,文法チェッカであるGrammarlyを使用しました。分析に先立ち,ICNALEの(人間による)校閲済みデータを用いてGrammarlyの妥当性検証を行ったのですが,管見の限り,こうした検証研究は少ないようですので,今後,この部分は独立させて別の論文にまとめる予定です。


2019/08/11

2019.8.9 GloCALL 2019 で研究発表 (University of Da Nang, Vietnam)

アジア圏のCALL,コーパス系研究者が集まるGloCALLで研究発表を行いました。

石川発表 
Shin'ichiro ISHIKAWA
"Asian Learners’  L2 Oral Production In Monologues and Dialogues"


今回の発表では,開発中のICNALE Spoken Dialogueの特性を生かした研究の在り方を具体的に提言するという点も考慮に入れていました。この点に関して,Robinson (2005)のcognition hypothesisが本研究の良いきっかけとなりました。

Robinsonは発話タスクについては,双方向性(モノローグではなくダイアローグ)や,認知的な複雑性(単純なタスクではなく負荷の高い複雑なタスク)によって学習者の発話のCAF(複雑性・正確性・流暢性)が変化するという仮説を提唱しています。

(1) Task's complexity --> attention on language ---> CAF of outputs
If task’s complexity (i.e. num of elements, deixis, reasoning) increases,
C (syntax & lexis)(+), A(+), F(-)

(2) Task's interactiveness --> joint attention on language ---> CAF of outputs
If task becomes more interactive,
C(-) [due to interruption, asking for clarification, repetition], A(+), F (+)

また,Robinsonの検証研究も行われています。今回の発表では,こうしたSLA系の研究の流れを踏まえ,ICNALE Spoken Dialogueの各タスクを

Conversation(Dialogue/ Simple)
Role-play (Dialogue/ Simple)
Picture Description (Monologue/ Simple)

の3つに分割し,Robinsonの仮説の妥当性を再検証しました。
下記は得られた結果の一部です。


今後,ICNALEも,こうした理論的枠組みをふまえた研究に利用されるコーパスになってほしいと希望しています。


2019/07/27

2019.7.27 JACET東アジア英語教育研究会で研究発表

第199回東アジア英語教育研究会
日時:7月27日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「小学校英語の実践のための語彙の選定」 石田 麻衣子(神戸大院/神戸大附属小)/石川慎一郎(神戸大学)
〔要旨〕
小学校において英語が教科化する中で,少なくとも5~6年生の指導については,教科書が中心になっていくものと予想される。しかしながら,英語の指導に規定の授業時数以上を割り振っている学校では,教科書に加え,独自の投げ込み教材を用意する必要は残るだろう。こうした追加教材を作成する上で留意すべきことの1つは,語彙の多様性に配慮することである。
本発表では,まず,第1発表者(石田)が,小学校での指導経験をふまえ,中学校との連携を強化する上で,小学校側で重視すべき語彙について報告を行う。その後,第2発表者(石川)が,レキシカルシラバスの理念をふまえた小学校英語のための語彙選定について論じる。





 石川の発表では,附属小学校で実施した児童の英語語彙力テスト(当研究室で開発)の分析結果を報告しました。








2019/07/26

2019.07.26 国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース第3回集団指導

<日時・場所>
2019年7月26日(金) 8:50-11:30
D615教室

<プログラム>
※石川ゼミからは6名が発表しました。

(D発表)
08:50-09:10 鄧 琪(D1) 「コーパスに基づく漢語形状詞の「ナ」・「ノ」による名詞修飾節の調査」

09:30-09:50 肖 錦蓮(D1) 「現代日本語における一人称複数代名詞の選択と書き手スタンスの表出」

(M発表)
09:55-10:10 石田麻衣子(M1)「グローバルマインドと語彙力の拡充を保障する新しい小学校英語自主教材の開発」

(ポスター発表1)
   張晶鑫(D3) 「中国人日本語学習者のための教材開発」

   王思閎(M2)「日本語母語話者の日常会話におけるオノマトペ使用—性別・年齢・使用場面を注目して—」

   中西淳(D2)「L2英語学習者に向けた前置詞onの語義整理の試み—質的調査と量的調査の結果をふまえて—」


 これが終わると夏休み。論文執筆にがんばってほしいですね。

2019/07/25

2019.7.25 学術振興会ヒアリング

科研費等を所掌している学術振興会(学振)から委員の先生が来室され,小生とゼミの院生に,学振への要望などをヒアリングされました。我々教員は言うまでもなく,院生も,学振にはいろいろお世話になっております。

学振ヒアリング
10:00~11:00 張晶鑫(D3)
10:00~11:00 肖錦蓮(D1)
10:00~11:00 鄧琪(D1)
11:00~12:00 王思閎(M2)
11:00~12:00 石田麻衣子(M1)
10:00~12:00 石川慎一郎(教員)


2019/07/23

2019.7.23 検定教科書編集会議

新課程用の「英語コミュニケーションⅠ」の教科書を作成しています。

2月ごろから定期的に会議を重ねてきましたが,ようやく,ほぼ完成にこぎつけました。

従来以上に豊富な内容を学ぶことになる新課程。英語力をしっかりつけていただきつつ,あわせて,コミュニケーションへの肯定的なマインドセットを作るような授業が求められることになるでしょう。

参考:新課程における英語教育の変化について(4 skillsサイトより)
http://www.fourskills.jp/jpn-edu-reform3

高校の英語の科目は「英語コミュニケーション1~3」と「論理・表現1~3」に整理されます。

2019/07/20

2019.7.19-20 "New methods and data in second language learning research" で研究報告

下記の研究集会に参加し,研究発表・研究討議を行いました。

これは,ランカスター大学Tony McEnery先生を筆頭とするグラントプロジェクト(日本側責任者:投野由紀夫先生+石川)の一部として開催されたもので,2日間の討議を経て,9月の神戸シンポジムにつながるものとなっています。

New methods and data in second language learning research
Date: Lancaster, July 19-20, 2019
Venue: The Storey: Meeting House Lane (Lancaster, Lancashire, LA1 1TH )

Day 1
Short Presentation
9.50 to 10.00: Welcome, McEnery and Rebuschat: Setting the scene
10.00 to 10.15: Tony McEnery
10.15 to 10.30: Yukio Tono
10.30 to 10.45: Shin Ishikawa 石川発表(ランカスター大学ポスト)
10.45 to 11.00: Patrick Rebuschat
11.30 to 11.45: Akira Murakami
11.45 to 12.00: Mariko Abe
12.00 to 12.15: Yasutake Ishii
12.15 to 12.30: Dana Gablasova and Vaclav Brezina
14.00 to 14.15: Andrea Revesz
14.15 to 14.30: Emi Izumi
14.30 to 14.45: Masatoshi Sugiura
14.45 to 15.00: John Williams

Day 2
10.00 to 12.00: Group work
12.00 to 13.00: Group presentations



2日間かけて,SLAとコーパスがどう協力できるか,日英の研究者がどう協力できるかについて活発な議論が交わされました。

Day 2 ワークショップ(同上)

神戸カンファレンスの詳細
See here!