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2017/11/30

2017.11.30 兵庫県立津名高校インスパイア―特別授業講話

表記にお伺いし,生徒さんの発表を聞いて講話を行いました。

特別講話 石川慎一郎(神戸大)「考える力と伝える力」

津名高校では,地域の課題の解決策を英語でプレゼンするという課題に取り組んでおられます。当日は,もうすぐ開通予定のコミュニティバスの運賃を下げるために近隣の商店のクーポンを配布する案や,廃校になって空いた小学校の校舎に商店を誘致する案など,ユニークな提案が並びました。

私のほうでは,それぞれに感心しつつも,たとえば,クーポン配布で商店側にどれだけのプロフィットが見込めるのか,それで運賃引き下げがどこまで可能になるのか,人口減少で小学校が廃校した地域に出店を希望する商店が本当にあるのか,地域の人口形態が変化するなかでスーパーやコンビニではなく旧来型の商店にどのような生き乗りの見通しがあるのか,といった指摘と質問を行い,問題を掘り下げて考える(深堀する)重要性を述べました。

英語を手段として,頭を使って物を考え,意見を戦わせる・・・この経験が優秀な津名高校生の諸君の将来に役立つことを願っています。



2017/11/28

2017.11.28 尼崎市立園田中学校職員研修会講演

表記で数学の授業を参観し,教員研修会でアクティブラーニング型教科指導の実践について講話を行いました。




参観した数学の授業はよく練られたもので,身近な課題(生徒会選挙のために用意された大量の用紙の束を男女用にうまく配分する)について,生徒が紙の重さ・厚みなどから枚数を推定する比例モデルを導出させるよう工夫がなされていました。こうした「新学力観」は,先般発表された大学入試センター試験後継テスト問題にも顕著であり,事例からルールを導出する力を育てることが今後の学校の課題になっていくと言えるでしょう。



2017/11/25

2017.11.25 JACET関西支部秋季大会参加

大阪樟蔭女子大学で実施された表記の学会に参加しました。

http://www.jacet-kansai.org/file/2017f-1.pdf

下記は同志社大学の植松茂男教授による特別講演「イタリアに於けるCLILの現状と課題」の聴講メモです(文責は石川)。日本でのCLIL型授業の実践を考える上で,示唆に富むご講演でした。

1.イタリアのCLIL教育体制
・学校制度:小(5年)+中(5年)の10年制
・このうち10年生をCLIL化。
・生徒にはB2+の英語力+達意の母語力の獲得が目指される
・トップダウンでの決定

2.教員養成
・小中校教員年収 2.5~3万ユーロ
・イタリア教員の英語力はEU中最も低い
・英語が堪能な人は他の職へ(教員は小学校の9割,中学7割,高校5割が女性)
・当初「CLIL教員養成コースの受講資格を英語力C1+に設定
・その後現職教員に限ってB2+に基準を緩める(コースを先に取らせて語学力は後で伸ばしてもらう)

3.授業見学(小学校)
・トレントの実験学校:小学校レベルで週7~9時間をCLILで(他からも入学希望あり)・専任イタリア人教師+1年間契約のNS(級)講師[東欧出身でイギリスで学んだ人etc]のTT中心
・体育,音楽,図工,地理,英語文化中心(希望により)宗教,(3年より)ドイツ語も・2年地理「トレントにはどんなものがある?」
・3年自然「森林限界(2,000m超えると植物変わるetc)」(話が抽象的になるとclass controlがくずれる)What's underneath the snow? Rock.
・4年算数「絵の描き方を通して空間・距離・深度などの概念を教える」(プロジェクタ使用。授業崩壊に近い姿も・・)

4.授業見学(中学/高校)
・7年数学「タイル使って図形つくる」
・8年生物「生得的か後天的か,DNA」
・10年歴史(調べ学習,グループで静かに)
・11年英語による論文の書き方指導(指示で作文。教員添削して返す。CUPのAdvanced Training使用)
・一部は英語が流暢になっているが,大部分は小学校以降さして伸びていない印象も

5.普及の制約
・教員待遇が悪い
・TTの準備の手間が大変(C1+なら1人で授業してよいが,内容側教師がC1でないとC1のALTを必ずつけないといけない。余分に手間がかかる)
・現地教員が自助努力でC1になるのは困難

質疑
1)ALTの教職資格(校長面接で採用。教員資格不問)
2)イタリア人教師の役割(騒ぐ子どものケア,遅れている子の通訳,何もしない)
3)児童生徒はどの程度L2で発表(発話)するのか? L1を使ってしまうことはどの程度起こりどう対応しているのか?(教師の英語力に比例する)
4)内容理解度はどうか?(イタリア人教師が内容理解をテストなどで確認している例もあった)
5)非母語話者教員の英語発音への社会的批判はないか?(基本的にない)


2017/11/24

2017.11.24 鳥取県立米子東高校「21世紀型能力を育むための講師派遣事業による教員研修会」

表記で講演を行いました。

鳥取県立米子東高校 21世紀型能力を育むための講師派遣事業による教員研修会
石川 慎一郎(神戸大教授)「向学心発進! 探究学習を核とする新たな学力の育成」

SSHでの取り組みで成果を挙げておられる米子東高校ですが,今後,その成果を文理癒合の形でどう広めていくか,探究指導と通常の進学指導をどう融合するか,講演後には,同校の先生方と有意義なディスカッションを行いました。

なお,講演前には島根に立ち寄り,待望のシマネッコさんと電車をご一緒しました。







2017/11/17

2017.11.17 神戸大学附属中等教育学校SGH校内研究会

日 時 平成29年11月17日(金) 16:20~18:00
場 所 神戸大学附属中等教育学校KPルーム
内 容 SGHアソシエイト指定(2014年度)以降、現在までの本校の教育実践研究を生徒対象の「グローバル意識調査」結果等から分析・検証し、今後の方向性について提言する。

SGHの2本柱は,1)グローバル体験学習と,2)探究学習です。当日は,これらと教科成績の相関他について分析結果をお話ししました。


SGHは短期的な効果を狙ったものではありませんが,SGHの主要事業,とくに,SGHでの探究活動や論文作成活動への取り組みの度合いは,一般学力とも高い相関を示すことがわかります。

2017/11/16

2017.11.16 兵庫県立伊丹高校SGH指導講話

表記の学校で,1年生の研究発表を聴講し,講話を行いました。

当日は下記の3種類の発表がありました。

A:リサーチ手法について報告した班
B:地元企業(味噌汁,酒)の商品宣伝を行った班
C:海外に日本食メニューを提案した班

なかなか立派な発表でしたが,一方,狙いがやや伝わりにくい部分もあるかなと思いました。一般に,「誰を対象に,どのような条件で,どうなることを理想として,探究・調査・提案をおこなうか」という基本線が全員に共有されていることがSGHの探究活動の成功のカギと言えるでしょう。優秀な生徒の皆さんの今後の成長が期待されます。

当日の発表風景


2017/11/14

2017.11.13 尼崎市立小田北中学校アクティブラーニング校内研修会

表記で講話を行いました。

当日は,国語授業(故事成語)と体育授業(サッカー)の実践を視察し,それらについて講評をさせていただき,あわせて,教科を超えたキーコンピテンシー志向型教育の開発の必要性についてお話させていただきました。

また,終了後は研究部の先生方と,1月の公開授業に向けて,どのように取り組んでいくか,実りある議論を行うことができました。

先生がたは子どものために自分の授業を変えようと非常に意欲的でおられ,伺うたびに強く感銘を受けています。

小田北中学校HPより

2017/11/11

2017.11.11 外国語教育メディア学会(LET)関西支部基礎理論研究部会主催2017年度公開講演

外国語教育メディア学会(LET)関西支部基礎理論研究部会主催2017年度公開講演

日時:11月11日(土)13:20-16:30 (13:00 受付開始)

会場:関西学院大学大阪梅田キャンパス (K.G.ハブスクエア大阪)14階 1402教室

内容:

講演
「教材コーパス・入試コーパス・学習者コーパスに見る日本人学習者の連語使用:インプットとアウトプットの差を探る」
石川慎一郎氏(神戸大学)

研究部会発表
日本人英語学習者のフレーズ親密度調査についての経過報告および今後の展望」
LET関西基礎理論研究部会第9次プロジェクトメンバー



講演では,当研究室で開発した,英語トライグラムに関して,自然言語・インプット言語・アウトプット言語を三元比較できるデータベースを紹介しました。

・2017/11/11 English Trigram Database for Japanese Learners of Englishリリース。 Here
日本人学習者用の英語トライグラムデータベースです。自然言語・インプット言語(教科書,入試)・アウトプット言語(大学生作文)に出現するトライグラムを三元比較できます。





2017/11/07

2017.11.7 尼崎市立日新中学校教員対象研修会

表記で講話を行いました。

尼崎市立日新中学校アクティブラーニング研修
1 と き  平成29年11月7日(火) 午後3時~午後5時
2 ところ  尼崎市立日新中学校
3 対 象 教職員 30人程
4 内 容  (1) 講話内容  アクティブラーニングの教科指導について  
       (2) 時  間  講話1時間半程度

講演では,新指導要領のポイントを整理し,アクティブラーニングが手段であって目的ではないこと,学びを深くすることの意義などについてお話しました。


参考
http://www.asahi.com/articles/ASKC36GYCKC3UTIL01K.html

2017/11/03

2017.11.3 神戸大学附属小学校研究発表会

表記で,講話・指導助言を行いました。


プロジェクト報告では,小学校の先生方と一緒に作り上げてきたグローバル英語教育の新カリキュラムについての発表を受け,我が国の英語教育の変遷,今後の小学校英語教育・活動の展望,応用言語学からの示唆等について講話を行いました。


また,指導助言では,下記の授業を見学した後,出席者と一緒に,小学校英語の「納得回解」について討議を深めました。