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2019/07/27

2019.7.27 JACET東アジア英語教育研究会で研究発表

第199回東アジア英語教育研究会
日時:7月27日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「小学校英語の実践のための語彙の選定」 石田 麻衣子(神戸大院/神戸大附属小)/石川慎一郎(神戸大学)
〔要旨〕
小学校において英語が教科化する中で,少なくとも5~6年生の指導については,教科書が中心になっていくものと予想される。しかしながら,英語の指導に規定の授業時数以上を割り振っている学校では,教科書に加え,独自の投げ込み教材を用意する必要は残るだろう。こうした追加教材を作成する上で留意すべきことの1つは,語彙の多様性に配慮することである。
本発表では,まず,第1発表者(石田)が,小学校での指導経験をふまえ,中学校との連携を強化する上で,小学校側で重視すべき語彙について報告を行う。その後,第2発表者(石川)が,レキシカルシラバスの理念をふまえた小学校英語のための語彙選定について論じる。





 石川の発表では,附属小学校で実施した児童の英語語彙力テスト(当研究室で開発)の分析結果を報告しました。








2019/07/26

2019.07.26 国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース第3回集団指導

<日時・場所>
2019年7月26日(金) 8:50-11:30
D615教室

<プログラム>
※石川ゼミからは6名が発表しました。

(D発表)
08:50-09:10 鄧 琪(D1) 「コーパスに基づく漢語形状詞の「ナ」・「ノ」による名詞修飾節の調査」

09:30-09:50 肖 錦蓮(D1) 「現代日本語における一人称複数代名詞の選択と書き手スタンスの表出」

(M発表)
09:55-10:10 石田麻衣子(M1)「グローバルマインドと語彙力の拡充を保障する新しい小学校英語自主教材の開発」

(ポスター発表1)
   張晶鑫(D3) 「中国人日本語学習者のための教材開発」

   王思閎(M2)「日本語母語話者の日常会話におけるオノマトペ使用—性別・年齢・使用場面を注目して—」

   中西淳(D2)「L2英語学習者に向けた前置詞onの語義整理の試み—質的調査と量的調査の結果をふまえて—」


 これが終わると夏休み。論文執筆にがんばってほしいですね。

2019/07/25

2019.7.25 学術振興会ヒアリング

科研費等を所掌している学術振興会(学振)から委員の先生が来室され,小生とゼミの院生に,学振への要望などをヒアリングされました。我々教員は言うまでもなく,院生も,学振にはいろいろお世話になっております。

学振ヒアリング
10:00~11:00 張晶鑫(D3)
10:00~11:00 肖錦蓮(D1)
10:00~11:00 鄧琪(D1)
11:00~12:00 王思閎(M2)
11:00~12:00 石田麻衣子(M1)
10:00~12:00 石川慎一郎(教員)


2019/07/23

2019.7.23 検定教科書編集会議

新課程用の「英語コミュニケーションⅠ」の教科書を作成しています。

2月ごろから定期的に会議を重ねてきましたが,ようやく,ほぼ完成にこぎつけました。

従来以上に豊富な内容を学ぶことになる新課程。英語力をしっかりつけていただきつつ,あわせて,コミュニケーションへの肯定的なマインドセットを作るような授業が求められることになるでしょう。

参考:新課程における英語教育の変化について(4 skillsサイトより)
http://www.fourskills.jp/jpn-edu-reform3

高校の英語の科目は「英語コミュニケーション1~3」と「論理・表現1~3」に整理されます。

2019/07/20

2019.7.19-20 "New methods and data in second language learning research" で研究報告

下記の研究集会に参加し,研究発表・研究討議を行いました。

これは,ランカスター大学Tony McEnery先生を筆頭とするグラントプロジェクト(日本側責任者:投野由紀夫先生+石川)の一部として開催されたもので,2日間の討議を経て,9月の神戸シンポジムにつながるものとなっています。

New methods and data in second language learning research
Date: Lancaster, July 19-20, 2019
Venue: The Storey: Meeting House Lane (Lancaster, Lancashire, LA1 1TH )

Day 1
Short Presentation
9.50 to 10.00: Welcome, McEnery and Rebuschat: Setting the scene
10.00 to 10.15: Tony McEnery
10.15 to 10.30: Yukio Tono
10.30 to 10.45: Shin Ishikawa 石川発表(ランカスター大学ポスト)
10.45 to 11.00: Patrick Rebuschat
11.30 to 11.45: Akira Murakami
11.45 to 12.00: Mariko Abe
12.00 to 12.15: Yasutake Ishii
12.15 to 12.30: Dana Gablasova and Vaclav Brezina
14.00 to 14.15: Andrea Revesz
14.15 to 14.30: Emi Izumi
14.30 to 14.45: Masatoshi Sugiura
14.45 to 15.00: John Williams

Day 2
10.00 to 12.00: Group work
12.00 to 13.00: Group presentations



2日間かけて,SLAとコーパスがどう協力できるか,日英の研究者がどう協力できるかについて活発な議論が交わされました。

Day 2 ワークショップ(同上)

神戸カンファレンスの詳細
See here!


2019/07/16

2019.7.16 神戸大学附属中等教育学校卒業研究優秀者発表会での講評

下記を聴講し,講評を行いました。

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神戸大学附属中等教育学校
令和元年度卒業研究優秀者発表会

日時:令和元(2019)年7月16日(火)9:40~14:40
場所: 神戸大学出光佐三記念六甲台講堂 

研究発表1 「虫除け剤を使用せず蚊に刺されないには-安全性からみた代替成分・最適温度の提案-」

研究発表2 「高等学校における児童虐待に関する教育プログラムの開発-ロールプレイングの有効性の検討-」

研究発表3「女子中高生の痩せ傾向の原因検討とその解決法-本校女子生徒を対象とした調査から-」

研究発表4「中高生が学校生活においてグループに所属する理由とは-日本国外へ視点を広げて-」

研究発表5「ユーグレナと他の原生生物の栄養素としての可能性-原生生物 Chlorogonium elongatum は Euglena gracilis よりも優れた栄養食品で有ることを示す基礎的研究.」

研究発表6「セルフメディケーションは国民の医療費削減に寄与するか-兵庫県を事例に-」

研究発表7「日本人高校生の「辞書観」-解釈学及び現象学的手法を用いた探索的研究-」

研究発表8「『走れメロス』における〈理想の「勇者」像〉と「反美談」的要素についての一考察-太宰治文学「中期」の〈共通理解〉との関連性を通して-

研究発表9「ディズニー映画はジェンダー問題を助長しているのか-ジェンダー問題の数値化から見えるもの-」
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附属中等教育学校では,中高6年間かけて探究活動を実践します。その集大成にふさわしい充実した内容の発表を聴講しました。生徒のみなさんは,発表もよく練習されて非常に立派でしたが,「伝わる発表」や「心に残る発表」という点では,さらなる改善の余地もありそうです。




2019/07/12

2019.7.12 兵庫県立長田高等学校人文数理探究類型成果発表会で審査

兵庫県立長田高校人文・数理探究類型「英語プレゼンテーション大会」
日時:201/7/12(金)1300-1700
会場:新長田勤労市民センターピフレホール

高校生のみなさんの3年間の探究の成果をうかがい,審査を行いました。

◎小学生向けの主権者教育の構想と実践
◎「障碍者歓迎マーク」を地元商店街に普及させ,障碍者の社会進出を支援
◎地元で働く外国人人材へのインタビューに基づく必要な施策の提案
◎幼児期の遊びと成長後の認知能力の関係性の解明
◎LINEのプロフィール写真のタイプと理想自己の関係性の解明
◎雨天時にできるだけ雨に濡れない歩行パタンの解明
◎流体力学を参考にしたコーンポタージュスープのコーンを残さず飲み干す方法の解明
◎磁石による空気抵抗軽減策の実用性の検討
◎絡まりにくいイヤホンコードの条件の解明
◎小型風力発電機に最適の羽の形の解明
◎粘菌の最短経路発見能力が3次元迷路でも発揮できるかどうかの実証研究

いずれも力作で,興味深く聞きました。この審査には4年近く関わっていますが,とくに下記の点で大きな進歩が見られました。

1)文理とも,社会的なニーズから研究テーマを立てるという態度が確立されてきた
2)文系においては,単なる文献調査や提案に終わらず,提案を実際に実施し,効果を検証するところまで射程に入れた研究が増えてきた
3)理系においては,いわゆる専門家コミュニティの狭い枠の中での議論を超えて,広く社会との架橋を重視する研究が増えてきた。


3年間「探究」に取り組んだ高校生諸君,また,指導にあたられた先生方のご尽力に経緯を表します。あわせて,このような先導的教育を受けた高校生を,今度は自らの「学生」として受け入れる大学側の責任を強く感じた1日でした。

2019/07/06

2019.7-4-6 韓国英語教育学系学会連合大会招聘講演@ソウル

大学英語教育学会(JACET)からの派遣で,下記の学会で招聘講演を行いました。

2019 Joint International Conference on English Teaching and Learning in Korea
Theme: Creating New Values Through English Teaching and Learning: Creativity, Innovation and Adaptability
July 4 - 6 (Thursday - Saturday), 2019
Hankuk University of Foreign Studies, Seoul, Korea

Organized by
Korea Association of Teachers of English (KATE)
Global English Teachers Association (GETA)
Korea Association of Multimedia - Assisted Language Learning (KAMALL)
Korea Association of Secondary English Education (KASEE)
Korea English Education Society (KEES)
Modern English Education Society (MEESO)
Pan - Korea English Teachers Association (PKETA)

講演題目等
Day 2 1130-1200
Featured Speech Ⅵ (Small Auditorium)
(Moderator: Jaeseok Yang, Daegu National University of Education)
Learner Corpus Studies and TESOL in Asia: The ICNALE Project
Shin'ichiro Ishikawa (Kobe University, Japan)

今回はFeatured speechだったのでICNALEの総括的な紹介をさせていただいたあと,とくに日本と韓国の学習者のL2使用傾向の違いについて具体的な事例を議論しました。



上記は,ICNALEの作文データを特徴語分析にかけて日本人・韓国人大学生の特徴語(対NS)を取り出し,それらを再構成して作成した両国大学生の"typical passages"です。we, people, must(青字)など共通して多用されるものもありますが,赤字の語はそれぞれの学習者に固有の過剰使用語となっています。この分析をしてから,韓国と日本の研究者の発表を聞いていると,日本人は"a lot of"を好み,韓国人は"lots of"を好むという傾向がたしかにありそうに思われました。このあたりの違いが何に由来するのか興味深いところです。

学会では,また,以前より研究交流を持っているランカスター大学のTony McEnery先生の講演を聴講しました。コーパスの価値だけでなく制約についても吟味されたinformativeなお話でした。

Tony McEnery教授(ランカスター大)の基調講演風景

McEnery教授講演メモ(※その場での聞き書きのため誤りがあればお許しください)
・コーパスは言語の特徴を明確に示す(例:goodとgreatのそれぞれの共起ネットワークを比較すると後者はきわめて狭い)
・広義の「学習者コーパス」の起源は1920年代にまで遡れるが,体系的に電子化されたのはGrangerらがICLE/LINDSEIを構築した1990年代後半以降。
・Lessard(1999)の学習者コーパス批判は今でも通用する(Brezina 2019)
(1) 小さすぎる
(2) アノテーションが部分的
(3) overuse/underuseを論じるだけで言語理論を援用していない
・サイズに関しては条件統制をするだけで使えるデータが一気に減る
・Longman Learner Corpus(一般には非公開)は900万語で巨大だが,L1(18種)・習熟度段階(8種)・学習している英語変種(3種)・タスクタイプ(9種)をすべて統制すると,データは3,888種に小刻みに分割されることになる
・たとえばL1アラビア語話者のデータは14万語あるが条件を絞っていくと2万語未満に減り,基本語でも出ないものが多くなる
・アノテーションについては語用論的なタグ(笑い)等を付与して研究の幅を広げる余地もある
・理論との関係においてはSLAとの連携の深化が望まれる

学習者コーパス研究を進める上で示唆に富んだお話でした。




2019/07/01

2019.7.1 2019年度第2回科研研究会(UCL 斉藤一弥先生ご講演)@神戸大

神戸大学石川科研 2019年度第2回研究会「第2言語習得研究(SLA)とコーパス」

〇日 程: 2019年7月1日(月)1040~1210
〇会 場: 神戸大学国際文化学研究科D603会議室
〇主 催: 神戸大学国際文化学研究科 石川慎一郎研究室
〇参 加: 学内・学外を問わず,どなたでもご自由に参加いただけます。会場までの経路案内はこちら(※会場は石川研究室と同じフロアです)。




プログラム

1030 会場・開会

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第1部:発表
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《発表1》
1040~1100
石川慎一郎(神戸大)
学習者コーパス研究の展開:L2 speech研究を中心に

《発表2(招待発表)》
1110~1140
斉藤一弥先生(University College London准教授)
SLA研究の最近の展開:L2 speech研究を中心に

◎斉藤先生ご略歴(文責:石川)
早稲田大学,シラキュース大学を経て,マッギル大学でPh.D(第2言語教育)。早稲田大学講師,University of London (Birkbeck)講師を経て,現在,University College of London准教授。

◎斉藤先生のおしごと
斉藤先生研究室ウェブサイト
斉藤先生業績リスト(ダウンロードして読めるものも多数あります)
斉藤先生が開発中のスピーチコーパスの概要説明

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第2部:インタビュー
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《今後のコーパス研究とSLA研究に関する斉藤先生へのインタビュー》
1150~1210
聞き手:石川慎一郎


★第1回研究会の報告はこちら
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(実施報告)

平日の開催でしたが,神戸大の教員・院生をはじめ,20名近い参加があり,盛況でした。斉藤先生のご講演は,豊富な研究の蓄積をふまえつつも,初学者にもわかりやすいもので,SLAの研究のねらい,特性,意義について,多くを学ぶことができました。

また,後半のインタビューも主催者には意義深いものでした。SLAとコーパス研究という近いようでいて,微妙に壁もある2つの分野が,今後どのように協力していけるのか,多くの示唆が得られたように思います。


講師の斉藤先生,また,ご参会の各位に御礼申し上げます。(7/2 記)

(※お写真の公開については許諾を頂いております。)