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2017/10/28

2017.10.28 日本文体論学会第112回大会特別講演

表記で講演を行いました。

日本文体論学会第112回大会
2017年10月28日(土)
近畿大学C館(法学部) 多目的室

演題:「L2学習者の『文体』―学習者コーパス分析からの知見ー」

講演では,文体研究のインパクトが弱まっている現状を概観した後,その活性化の1つの方向として,3つの方向で,対象を戦略的に拡張していくことを提案しました。

1. 【媒体】書き言葉から話し言葉へ
2. 【話者】 L1からL2へ,NSからNNSへ
3. 【射程】テキストから言語へ,そして人間へ

また,言語研究・テキスト研究・文体研究・学習者研究・SLA研究・学習者コーパス研究などを融合し,学習者スタイル分析と学習者の産出したテキストスタイル分析を同時に分析対象とする,新たな人間研究としての,「L1/L2産出の多層統合型スタイル分析(MIAO: Multi-level Integrated Analysis of L1/L2 Outputs)」(石川,2017)の構築の可能性を主張しました。これは,石川が以前より唱えていた「Multiple CIA(多元的中間言語対照分析)」に「スタイルの二重性」を組み込んだ概念です。








2017/10/27

2017.10.27 外国語教育コンテンツ論コース第4回集団指導

表記で,ゼミ生4名が発表を行いました。

神戸大学国際文化学研究科外国語教育論講座外国語教育コンテンツ論コース
2017年度第4回集団指導
日時:2017年10月27日 0850~1210
会場:D612


ゼミ生発表分
0850-0910
張晶鑫 D1 高頻度オノマトペの音素上の特徴:一般語彙との比較
一般語彙と比較しながら、音素の数、音素の種類、音素の位置、音素の結合型の4つの側面からオノマトペの特徴を明らかにする。

0925-0940
中西淳 M2 誤用に着目した日本人英語学習者の前置詞使用の問題点の解明
誤用タグ付き学習者コーパスを用いて,日本人英語学習者の前置詞使用における問題点を計量的に調査した。

1040-1055
隋詩霖 M1 中日広告言語の比較:化粧品広告の分析―日本語教育の視点から―
既存の教材に飽き足らない上級日本語学習者にとって,現代の日本文化を学ぶことができ,あわせて,日本語の効果的な使用法に触れることができる広告テキストは,新たな教材候補の1つとなる。今回の発表では,化粧品広告テキストを日本語語彙教材として使用することの利点について検討する。

1110-1125
鄧琪 M1 現代日本語外来語特殊表記4種に対する一考察―日本語調査から日本語教育への示唆―
4種の外来語の特殊表記について,中国人学習者の直感・日本語母語話者の直感と日本語母語話者の実際使用という3つの観点から,どのような個別特性と基盤特性が示されているかを考察する。

2017/10/26

2017.10.26 兵庫県立長田高等学校特色類型講演会

表記で1年生の生徒さん向けの講演を行いました。

こちらの学校はSGHアソシエイツとして,生徒諸君に探究活動を行わせておられます。

当日は,「私たちの社会と研究~誰のため,何のための研究なのか~」というテーマで話しを行いました。


はじめに,先輩学年の探求研究の資料を配布し,グループディスカッションによって,良い点,イマイチな点をあげていただき,さらにどう改善できるかを提案してもらいました。その後,研究とはなにか,というテーマについて話し,あわせて,私ならどのようにこれらの研究をreviseするか,という提案を行いました。

講演では,先輩の研究を批判するのは決して失礼ではなく,先輩への最大の敬意である,だから,先輩を批判して越えていけ,というようなことを申しました。

講演の終わりに生徒代表がお礼の言葉を述べてくださったのですが,その場で,代表生徒さんが,「まずは先輩の学年を越え,次に,大先輩である石川先生を超える研究者になりたいです」とおっしゃってくれました。うれしさと頼もしさを感じ,気持ちよく母校でもある同校を後にしました。



2017/10/21

2017.10.21 西大和学園SGH運営指導委員会

西大和学園において,SGHの生徒発表を聴講した後,運営指導委員会に出席しました。

昨年から継続して拝見していますが,年々発表のクオリティが上がっており,大変に感激しました。


「インドないしベトナムの抱える問題について日本の技術を使って解決を提案するビジネスプランを示す」というのが同校の課題で,生徒諸君は立派に課題に向き合っておられました。

一方,このテーマですと,どうしても,「上から目線」のような姿勢が出てしまいます(これは西大和諸君の問題ではなく,テーマそのものの性質です)。この点を解決するために,たとえば,

(A)「インドないしベトナムの抱える問題について日本の技術を使って解決を提案するビジネスプランを示す」
(B)「日本の抱える問題についてインドないしベトナムの技術を使って解決を提案するビジネスプランを示す」

というような二重テーマ設定にするのはどうだろうか,という提案を運営指導委員会では行わせていただきました。

2017/10/19

2017.10.19 兵庫県教育委員会英語指導力向上プロジェクト研修@兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス

県下の高校教員の方を対象にワークショップを行いました。

コーパス言語学の入門を兼ねて,身近な英文テキストから語彙表を作成し,指導に生かす方策について指導を行いました。



また,講義準備の段階で,作成した語彙表に自動的に訳付けを行うマクロAutomatic Word List Generatorを開発しました。近日中に研究室ウェブサイトから公開予定です。

単語リストを入れると,自動的に訳語と中学校の教科書6冊中のレンジ情報が表示される仕組みです。



2017/10/17

2017.10.17 兵庫県立伊丹高等学校SGH意見交換会

文科省による中間発表の結果を受けて,表記の意見交換会を行いました。

石川のほうからは,以下のような提案を行いました。

・1年次早期にグループを作って出来る限り早く研究に着手させる
・自分自身のキャリア設計や大学進路研究と同期して研究の分野を決めさせる
・自分自身の夢や将来の計画を友人に話し,仲間を見つけるアクティビティを導入する
・その際,学術領域(人文,社会,自然,生命)等の大きい枠組みでグルーピングを行う
・早期の段階で研究デザインのレクチャーを行う etc

高校での探究教育はまだ定型がないので,難しさもありますが,一方で,白紙に好きな絵を描ける面白さも存在します。


2017/10/15

2017.10.15 研究生の修了

春から石川ゼミで研究生として学んでいた留学生が,就職を決め,大学を出られることになりました。

大学院研究生制度は,一義的には,修士課程・博士課程の入学準備のために存在するわけですが,研究生をしながら専門分野の知見を深めるとともに日本語を磨き,結果として就職することは必ずしも悪いことではないとも(個人的には)思います。

彼女の今後の活躍を祈り,ゼミで恒例の色紙を送りました。


2017/10/14

2017.10.14 計量国語学会理事会@東京女子大学

表記の会に出席しました。

・大会発表の資格や規定
・紀要論文要件の規定

などについて議論を行いましたが,大小問わず,多くの学会で共通の問題を抱えていることを再確認しました。

なお,日本語研究の世界では,大会発表者への「慫慂」という制度があること,今回の会議で初めて知りました。隣接分野から学ぶことは奥が深いです。

参考 大辞林3版より

しょうよう【慫慂】( 名 ) スル
他の人が勧めてそうするように仕向けること。 「 -されて出馬する」 「彼れ君に仕官を-するの意ありて然るならんと/花柳春話 純一郎」


2017/10/08

2017.10.8 北海道英語教育学会参加

北海学園大学で開催された表記学会に参加しました。


主な聴講発表

3-① 13:10-13:40 (第3会場 D41)
実践報告 Ivy Chu-Hui Lin (Hokkaido University)
Goh Kawai (Hokkaido University)
TA-led in-class activities for an online English program

・北大ではオンライン学習科目につき,自由参加のTAによる指導セッション(15~30分程度)を15回中6回程度提供
・TAの仕事は,文化要素の紹介(花見の写真を見せて英語で話させる),ネット調査法の指導(ネットで尊敬できる偉人を見つけさせ,当該人物の情報を集めさせる),語用論的な指導(観光案内所でのやりとり練習等),発音指導(b/v聞き分けなど),方略や自分自身の英語学習経験の紹介,など
・40~50人クラスで15~20名程度が自主的に参加。セッション終了後は帰ってもよいし,残って(通常は個人で自宅でやる)学習をその場でやってもよい(会場はCALL)
・参加者の79%が(ある程度)TAセッションに満足
・参加者の41%がTAがこのクラスをより良くしていると回答

2-②13:40-14:10 (第2会場 D40)
研究発表 Masaki Kabara (Hokkaido University of Education)
Kiwamu Kasahara (Hokkaido University of Education)
What is the Appropriate Number of Words in a Small Vocabulary Quiz?

・単語学習で1回に学ぶ語数は何語が適当か?
・10語ずつ毎週学ぶグループと,20語ずつ隔週で学ぶグループ
・対象は全100語
・プレは10語群,ポストは20語群,ディレイは20語群のほうがややよい(テスト別で有意差はなし)
・20語群のほうがややよい?
・ただし隔週置いたことの影響もあるかも

3-③14:30-15:00 (第 3 会場 D41)
研究発表 田中 洋也(北海学園大学)
大西 昭夫(Version2 Inc.)
1日5分の英単語学習:スマートフォン・アプリ DoraCat の開発

・学習記憶理論に基づいて各種のタスクを組み合わせたLexinoteというとポートフォリオ連動型総合学習教材をすでに開発・運用(ビデオを見て,重要語について,音を聞く,意味を選ぶ,コメントを付ける,英作文を書くといった各種のタスクを実施)
・しかし,PC上の学習はどうしても休暇時にはやらなくなる
・そこでいつでもどこでも学べるスマホ上のアプリを開発中
・英検用語彙1万語をターゲットにして,英語例文,日本語訳,英語,日本語意味の多肢選択
・CATのエッセンスを加味し,成績によってレベル(英検の級)が上下して問題が出てくる仕組みを組みこむ



2017/10/05

2017.10.5 兵庫県立西宮北高校小学校・高校英語教育連携研究会講演

兵庫県立西宮北高校 平成29年度小学校英語活動担当教員と高等学校英語科教員との交流研修会

1 日 時    平成29年10月5日(木)16時00分~17時00分
2 場 所    兵庫県立西宮北高等学校 視聴覚教室
3 講 師    石川慎一郎先生 (神戸大学国際コミュニケーションセンター教授)
4 概 要    講演「小中高の連携をふまえた新しい英語語彙指導」

当日は,2年生の生徒さんの発表(12月に行う「高校生による小学校出前授業」の予行発表)を拝聴して助言を行いました。



その後,市内の小学校の英語担当教諭および近隣高校教諭を対象とした講演会を行いました。

生徒さんの発表(出前授業設計)はなかなか工夫されたもので,最初にクリスマスソングを歌い,そこに含まれる重要な子音を取り出して発音指導を行わせるというものでした。今日のデモでは,半母音の[w]が指導対象になっていました。[w]の発音では唇の動き(前方から後方に一気に引き戻す)が大事になりますが,この部分を小学生が体感的に納得できるようなタスクの開発が課題と言えるでしょう。


     「フォニックス教授の英語発音教室」出典:http://mymeet-up.com/

DMM英会話 出典:http://eikaiwa.dmm.com/blog/2155/


上記は,オンラインで読める発音のコツをまとめたページ内の記述ですが,これらで言うと,「唇をしっかり丸め」た位置から「唇を元に戻しながら」発声するという部分を子どもにどう体感させうるかが課題と言えるでしょう。

先生方への講演では,新指導要領における語彙指導の指針を示し,とくに小学校段階で指導していただきたい語彙の種類についてお話ししました。







2017/10/01

2017.10.1 英語コーパス学会第27回大会基調講演・シンポジウム発表

表記(2日目)で基調講演とシンポジウム発表を行いました。

http://jaecs.com/conf/CF_43P.pdf

●講演 12:30–13:30(第 5 別館 1 階 第 2 教室)
A Frontier in Learner Corpus Studies: For Better Understanding of L2 Learners
司会:投野 由紀夫(東京外国語大学)
講師:Shin’ichiro Ishikawa (Kobe University)

図:プロジェクトの展開
(すっかり忘れていましたが,今年はプロジェクト開始からちょうど十年目でした)


●シンポジウム 13:50–15:20(第 5 別館 1 階 第 2 教室)
話し言葉コーパスの構築と利用
司会:野口 ジュディー(神戸学院大学名誉教授)

The ICNALE:中間言語対照分析の精緻化とアジアにおける学習者コーパス研究の発展を目指して
 講師:石川 慎一郎(神戸大学)

International corpus of Japanese as a second language:日本語学習者の言語研究と指導のために
 講師:迫田 久美子(広島大学・国立国語研究所)

JECPRESE:JSL と EFL ユーザーのために
講師:野口 ジュディー(神戸学院大学名誉教授)

TED Corpus Search Engine:TED Talks を研究と教育に活用するためのプラットフォーム
講師:長谷部 陽一郎(同志社大学)