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2022/09/30

2022.9.30 【研究メモ】パワポ動画内の誤植を後から修正する方法について

パワーポイントを使って講義ビデオを作ることが増えましたが、60分や90分話し終えて、ビデオにしてから、元のパワーポイントの誤植を見つけることが時にあります。この場合、動画は触れませんので、修正が効かず、撮り直しとなると大変です。

動画加工ソフトで、「字幕」とか「タイトル入れ」というような機能を使えばなんとかなるのではと感じたのですが、そもそも趣旨が違うので、ほしい情報がありませんでした。

やりたいこと

→ ビデオ内に、一定時間表示されるパワポ画面(白背景、黒文字)の中の、特定の文字・語だけを、正しいものに置き換える(あるいは上に正しい文字・語をかぶせてしまう)


やり方、さんざん調べてもよくわからなかったのですが、さわっているとなんとなくできたので、自分メモとして記録します。


2023/1/10 追記(version upのため)

使用ソフト Wondershare社のFilmora(サイト)※ライセンス購入済み

1. 新規プロジェクト→ビデオをソフトに読み込む

2. 画面左上に表示されるビデオのアイコンを、左端によせながら、下の段にドラッグして移す。その際左端に落とし込むようにする。

3. 修正をいれたい箇所あたりを再生する

3. ソフトの画面上部にある「T](タイトル)のアイコンをクリック。各種のタイトルから好きなものを選び(※どうせ使わないのでなんでもよい)、下部画面(コマ写真がずらっと横に並んでいるもの)の、修正を入れたいコマの1コマ目の上あたりにドラッグしていれる。メインビデオの列に挿入するのではなく、その上の列に入れる(2列にする)

4. 下部画面、2列目に入ったタイトルアイコンをダブルクリック。ウィンドウの右下に出て来る「高度編集」を押す

5. 新しい画面が登場

6.3で仮に入れたものを削除

7. 画面の上部、テキスト(T+)の横のにある図形挿入のアイコンを押す

8. 長方形を選んで(デフォはグレー地に白文字)、誤植文字列にかぶせるように移動

9. ダブルクリックで文字を修正後の正しい文字に変更

10.デフォは白文字なので、ぬりつぶし→色のぬりつぶし で文字色を黒に変更

11. 文字塗りつぶし、不透明度・・・などの一番下までスクロール

12. 図形ぬりつぶしのグレーを白に変更(これで白背景、黒文字になる)

13. 画面の一番上、B 、I の横にあるボタンで図形内で左寄せに移動

14. OK (高度編集画面上では、どこからどこまでに効果を掛けるかの設定は不要)

15. メイン画面に戻る

16. 画面下部にある、追加図形の長方形の右端を伸ばしたいところまでのばす

17. OK

18. メイン画面の上部右端にある緑色の「エクスポート」を押す

19 完成・・・だけれど、2回実験した結果、元のファイルサイズが10倍程度に巨大化する。。。


もっと良い方法があれば知りたいです。。


 

2022/09/26

2022.9.26 尼崎稲園高等学校探究講演会

表記で、生徒さん向けの探究入門講義を行いました。

「高校探究の目指す地平:稲園版探究プログラムのために」


稲園は、自由テーマということなので、生徒のみなさんが、それぞれの関心に沿って面白いテーマを取り上げていただき、良い探究ができるよう願っています。講義でも申したのですが、高校探究には、なんというか突破点(K点のような)のようなものがあり、そこを超えると「探究って高校一おもしろい科目だ!」となりますが、超えるまでは「だるいなあ、時間の無駄だなあ、めんどくさいなあ」となりがちです。

過去数年にわたっていろいろな学校を見てきましたが、このK点を超えられるかどうかは、かける時間とかなり正確に比例するようです。早めのスタート、早めの予備実験、早めの中間報告、早めの(時に辛口の)フィードバックがそろえば、探究が面白くなる地平に必ずや到達すると思います。稲園のみなさんにも、ぜひ、がんばっていただきたいです。 

2022/09/20

2022.9.20 神戸甲北高校2年生探究活動中間発表会講話

表記で、生徒さんの発表を拝聴し、講話を行いました。


当日のスライドより


2枚目のサンプルにもありますが、探究に限らず、各種の研究では、数えにくい概念をどうやって数えるか、という部分が工夫のしどころです。たとえば、リラックス度の計量化について、多くの生徒さんは「アンケートで・・・」とおっしゃるのですが、現在の自分のリラックス度なるものを数字で回答するのは非常に困難であり、そもそも個々人のとらえ方が違うため、その数値をそのままリラックス度とするのは問題があるでしょう。

この点に関して、仮にリラックスするとα波が出るという仮説を前提にするなら、α波を計測することができますし、実験機器などがなくてそれは難しいということであれば、たとえば、リラックスの反対を考え、ストレスがかかっているとうまくできなくなるような作業課題(少し難しい目の暗算問題など)を与え、そのパフォーマンスを測ることで、間接的にリラックス度(というか、より厳密に言えば「作業を安定的に行うための精神的安定の度合」)を測るといったことができそうです。もとより完璧な答えはないのですが、関心対象が直接測れない場合は、似たものに置き換えて測ったり、あるいは概念を裏返して、裏から迫ったり、なんとかして、当該の対象にアクセスすることが必要で、研究のオリジナリティはこの辺に出て来るものだと思います。

甲北のみなさんの探究の更なる発展を願っています!




 

2022/09/17

2022.9.17 計量国語学会第66回大会で発表

表記大会で口頭発表を行いました。

石川慎一郎(神戸大) L2日本語学習者を対象とした中間言語対照分析における参照基準の拡張―「多言語母語の日本語学習者横断コーパス」(I-JAS)と「小中高大生による日本語絵描写ストーリーライティングコーパス」(JASWRIC)の連動分析の試み―

発表ビデオより


概要
本研究は,2 種の日本語母語話者(JNS)によるL1 産出データを比較することで,学習者コーパス研究(learner corpus research:LCR)における母語話者(NS)参照基準の問題を再考しようとするものである.LCR においては,中間言語対照分析(contrastive interlanguage analysis:CIA)(Granger, 1996)の手法が広く実践されている.これは,学習者間比較と,NS・学習者間比較(L1/L2 比較)の2 種で構成される.CIA は多くの成果を挙げてきたが,CIA が少量のNS データに依存していることは,NS 産出の質のばらつき・NS 多様性への配慮の欠如・誤った NS アイデンティティの強要・NS 主義への加担等の点から厳しく批判されており(Leech, 1998; Larsen-Freeman, 2014; Holliday, 2006),改訂版 CIA ではNS データにおける言語使用域や地域変種の多様性への配慮が示された(Granger,2015)。また,「全てを支配する単一基準」に代わる多様な参照データの必要性も模索されている(Gilquin, 2022).
本研究では,JNS 成人と,JNS 小中高大生による同一タスクに基づくL1 作文を比較し,その言語的差異を明らかにするとともに,2 種の JNS データを CIA の参照基準に選択した場合に,学習者の特徴語抽出にどのような影響が生じるかを概観する.


※参加者は約65名程度。当日の発表では、理念的背景というか、学習者コーパス研究におけるモデルをめぐる最近の議論について整理をしたうえで、JASWRICというコーパスの可能性を議論しました。質疑ではNSの大人の多様性にも配慮すればよいのでは、とくに高齢者の産出にも史料価値がある、というコメントをいただきました。多世代データという論点になっていくものと思いますが、高齢者の産出などはなかなか集めるのが大変そうで、このあたりも方法論的に可能かどうか検討してみたいと思います。さっそく、その日のうちに市内の老人ホームにコンタクトを取ってみました(まあ、なかなか良い返事は期待できないでしょうが…)。口頭発表の良さは、質疑やそれをふまえた内省から、次の研究のヒントが得られることだと再確認できた学会参加でした。


 

2022/09/15

2022.9.15 兵庫県立宝塚西高校で講演

表記で1年生対象の探究入門の講演を行いました。

演題:高校生のための探究入門:AI時代を生き抜く力

講演スライド

SDGをテーマにということでしたので、内容をその方向に修正して講演資料としました。


講演風景(宝塚西高校ウェブサイトより)

椅子の横にあるのは冷風扇!


会場は体育館。今年は異常な残暑で今日も体温近い感じでした。私も相当こたえましたが、生徒さんもお疲れ様です。。。 今年は淡路、宝塚と、猛暑の体育館パターンが続きます。


 

2022/09/10

2022.9.10 「中国語話者のための日本語教育研究会」ほか3学会参加

今日は3つの学会が重なっていたのですが、zoom学会の恩恵というべきか、(主催の方には申し訳ないのですが)自分の関心に近いものを選んで聴講させていただきました。

「中国語話者のための日本語教育研究会」

講演 曹大峰先生(北京外国語大学教授) 北京時間(10:30-11:35)

「中日対訳コーパスの特徴とその利用方略―対訳データの利点・盲点とその利用例―」

★北京でもお世話になった曹大峰先生のご講演を久しぶりに拝聴できました。学習者産出の比較だけでなく、それぞれの原典(例えば文学作品とか)と翻訳の比較を組み合わせるべきだ、というのは、Granger/GilquinのCA/CIA統合提案と非常に似ており(というか事実上同一)、学習者研究のフレームワークのコアになりうるものだなと実感しました。こうして考えてみると、自分の研究の中で、学習者コーパス研究と、最近つくった日本語小説コーパスJFIC、日本人こども作文コーパスJASWRICという自分でもばらばら感のあるコーパスが1本の線でつながることに気づきます。この点で言うと、後必要なのは、翻訳データということになりそうです。



「日本語教育方法研究会」

A07(7).小学校社会科教科書の語彙調査 ―社会科共通語彙の特徴を探る―山本裕子(愛知淑徳大学)・川村よし子(元東京国際大学)・鷲見幸美(名古屋大学)
★教科書語彙分析。専門JSPの入り口としての小学校の内容科目の教科書分析は興味深いアプローチです。英語でも「アメリカの小学校の教科書で・・・を学ぶ」のようなことがあったと思い出しつつ。

A08(8).日本語学習者・母語話者が考える多義動詞の基本的語義とは何か
大神智春(九州大学)・森田淳子(西南学院大学)・麻生迪子(四天王寺大学)・鈴木綾乃(横浜市立大学)・林富美子(明治大学)
★「ある」「きる」「でる」「つける」「する」について最も典型的だと思う意味で作文をさせ、それを分析者が語義タイプに分類するという興味深い調査。たとえば、「ある」だと、「物の存在」はNSが77%でNNSが54%でNS>NNS、一方「事の存在」は6%と11%でNNS>NSのように差が出る。手法面でもいろいろ面白いです。主要語義を書き出して典型的なものを選ばせる、3つ書かせてクラスタリングする、などほかにもいろいろできそう。

B05(22).日本語学習辞書の副詞記述に関する調査報告
関かおる(神田外語大学)・尾沼玄也(拓殖大学)・砂川有里子(筑波大学)
★「スーパーで買い物していたら(すぐ/今にも)大きな地震が起こってびっくりした」は、どちらもアウトが正解だが、NNS反応はそうでないとのこと。正直に言うと、やや不自然だが「すぐ」はありうるな、と思っていたのでいろいろ興味深かったです。AしてすぐBする、の場合、「すぐ」の前には動作の点のようなものが典型的なので、買い物をしているという状態的なものと相性が悪いのはわかりますが、なぜ自分が「すぐ」を非文とまでは感じないのかが興味深い(が今もよくわからない)。

C10(41).日本語学習者のための日常会話におけるオノマトペの語彙選定
伊藤萌夏(東京育英日本語学院)・北野朋子(関西大学)・森岡千廣(京都先端科学大学)・蔵本成美(別府溝部学園短期大学)
★ゼミ生の研究にも役立ちそう。

D05(50).中国の大学における日本語教育の変化とその対応 ―大学入試で日本語を選択する受験生を対象として―
王凌志(広州工商学院学部生)
★中国で大学入試で日本語選択をする人が増え、大学の日本語授業がやりにくくなっている(ゼロスタートでない)という報告。なるほど日本語が増えるとそうなるわけですね。英語だと小学校英語が入って中学英語の導入がやりにくくなったという話と似ていますが、受験のための日本語学習で、ガーっと知識なんかを詰め込んできた大学新入生に、また初級文法というのは確かにむつかしそうです(これ、大学の英語授業の問題ともにている)。


「日英言語文化学会」

講演「日英語の伝統色名に見られる多様な相違」
吉村耕治 (関西外国語大学短期大学部名誉教授)
★赤ん坊とはいうが、英語のbabyには色が出てこない、なるほど!


1日に3つ出てみての感想。

1)1時間などの枠を決めて、その中でパラレルでいろいろな発表があり、人が出入りすることで、参加者は2,3個好きなものを選んで移動できるやり方(日本語教育方法)が参加者には一番ありがたい

2)予稿集はやはり紙の冊子があると便利。こういう自分のメモを取るときにも有用

3)学び、という点ではオンライン学会のほうが高いという事実がある・・・


2022/09/08

2022.9.8 東京外大川口教授科研シンポ出席

オンライン開催された表記シンポジウムに参加しました(詳細)。


2022年度 第1回研究会 学習者言語分析Ⅰ:音声特徴と語彙特徴
日時:2022年9月8日(木)
形式:ZOOM会議による開催


13:10-13:50
日本人フランス語学習者の par exemple―学習者コーパスと母語話者コーパスの比較を通じてー
國末 薫(東京外国語大学博士後期課程)
★英語学習者のfor example過剰使用傾向とも合致する結果で興味深いです。「たとえば」というつなぎには、1)話のオンライン進行をいったんとめられる、2)単語の羅列などで、文法処理から逃げられる、3)話題を具象に強制的に落とす、などの効果があり、流暢性の欠如を補償する汎言語的な学習者傾向なのかもしれません。

13:50-14:30
フランスとカナダの留学経験者の自由会話における文化的特徴
時田 朋子(実践女子大学)、川口 裕司(東京外国語大学)
★英語留学などでは行くか行かないかは議論しても、どこに行ったからどうだったという議論はあまり聞かないので新鮮でした。

14:30-15:10
地域フランス語における談話標識bon, benの用法の一考察
清宮 貴雅(東京外国語大学博士後期課程)、
大河原 香穂(東京外国語大学博士後期課程)
川口 裕司(東京外国語大学)

15:20-16:00
フランス語を母語とする日本語学習者の日本語韻律特徴と母語話者評価への影響
布村 猛(山梨大学)

16:00-16:40
日本語を母語とする学習者によるフランス語口母音の知覚と産出:後舌狭母音/u/に関連した地域的変異による影響
神山 剛樹(パリ第8大学)

16:50-18:00
講演 日本語学概説書の翻訳から見える日本語学とフランス言語学の接点
中村 弥生(INALCO)

2022/09/01

2022.9.1 国立国語研究所研究会出席

国語研究所で進行中に「多世代会話コーパスに基づく話し言葉の総合的研究」プロジェクトの定例研究会に参加しました(online)。

報告は3本あり、いずれも非常に刺激的なものでした。南部先生のご講演から「主語につくが・の、の交代」の歴史的変化を学びましたが、最近構築したJASWRICで日本語の高大生&成人の特徴を調べると、その中の1つに、「犬が入ったバスケット」のようなものがあり、が・の、の観点で再分析できる可能性があるなと、気づきました。

国語研究所関連の研究会はいつも刺激的で、新しい研究のヒントをもらえます。