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2022/02/22

2022.2.22 神戸大学国際文化学研究科野谷啓二教授最終講義

野谷先生の最終講義「エピファニーを待ち望みつつ」にオンラインで出席しました。



わたしは,学部の1年生か2年生のときに,野谷先生の英語の授業を受けたことがあります。英文エッセイを課せられ,丁寧に赤字で添削をしていただきました。たしかエッセイのタイトルに私がThe Study on ...と書いていたのですが,先生が添削済みのエッセイを返しながら,こういときはA Study on...だろう,とちょっと笑っておっしゃった瞬間の光景(教室のイメージとか)がなぜか鮮明に記憶に残っています。

わたしが神戸大に赴任した当時,国際文化学研究科には,かつて直接授業で指導いただいた先生が相当数残っていらしたのですが,あれから18年たち,同僚の中の「元恩師」は野谷先生が最後となりました。野谷先生のご講義の中では,神戸大に関して,かくも美を欠いたキャンパスではエピファニーは起こらない,というちょっとアイロニカルなお話が出てきましたが,これは全く同感です。また,神戸大というのは結局どういう大学なのかついぞわからぬままだったというお話にも共感を覚えました。私など,勤務先であると同時に母校でもあるのに,なんだか得体(と言って悪ければ立ち位置とか,ビジョンとか,方向性とか)がしれない学校だなあという気が今もしています。近い将来来るだろう自分の最終講義をイメージして,残された期間で,この得体のしれない(しかしなんだかほっとけなくて愛おしい)学校に対して何ができるか,何をなすべきか,とふと考えたりしました。

2022/02/20

2022.2.20 学習者コーパス研究会で発表

表記で発表を行いました。

石川慎一郎 日本語学習者データと日本語時系列データが出会うとき:I-JASと6121JFICの統合分析の試み―終助詞をめぐって―


この発表があったおかげで,コーパスのリリース準備が進み,なんとか年度内の公開にこぎつけられました。科研(萌芽)の2年目の最後でリリースができてよかったです。


 

2022/02/18

2022.2.18 日本語経年的小説コーパス「6121-JFIC」v1.0 リリース

科研(萌芽)で構築していた日本語の小説コーパス「1961-2021 Japanese General Fiction Corpus」(略称6121 JFIC)がリリースされました。

★研究の記録はこちら

これは,同一サンプリング基準でイギリス英語・アメリカ英語等の時系列調査が可能なBrownコーパスファミリーから着想を得たもので,1961年,1971年,1981年,1991年,2001年,2011年,2021年という7つのサンプリングスポットを定め,それぞれの年に刊行された三大文芸誌に掲載された日本語一般小説サンプルを収集したコーパスです。

自動翻訳ですが英語のデータも入っており,日英2か国語で検索をかけられます。これにより,日英語の小説の言語の比較や,各々の小説に具現化された「マインドスケープ」の計量的比較が可能になると期待されます。

コーパスエントリ画面(6121とICNALEの共通エントリ)

「作る」のコンコーダンスライン

「create」のコンコーダンスライン








 

2022/02/10

2022.2.10 他ゼミ生博士論文最終試験

他ゼミ学生の博士論文審査を担当しました。

山内理恵氏 Connecting D. H. Lawrence to Emily Brontë: Adoration for Nature and the Shadow of "Death"(D. H. ロレンスとエミリー・ブロンテをつなぐ自然愛と「死」の影)

大昔の自身の博士論文以来のロレンスでした。今読み返してみると,昔,いいなと思ったところがあまり響かず,昔気付かなかったところに良さを感じたりします。読み手の成長(ないしは退化)に応じてテキストの意味合いが変わってくるというのは,読みという行為が読み手とテキストの相互作用ないしは共同作業であることの確かな証拠という気がします。しかし,ロレンスにとって自然というのはなんだったのか,今なおよくわからないところではあります。自分の昔の論文では,結局,ロレンスは自然やロマン派の伝統を都合よく利用しているだけで(あるいは体よく「隠れ蓑」にしているだけで),その本質は(ロレンスが嫌いだと公言している)非常に現代的・意識的なレトリック上の思考実験だったというような主張をしたのですが,今回の博士論文審査は,かつてよくわからないまま積み残してきた問題にふたたび向き合う良い機会となりました。


 

2022/02/08

2022.2.8 ゼミ生博士論文最終試験

表記を実施しました。

神戸大学国際文化学研究科外国語教育論講座博士論文最終試験

日時:2022年2月9日(火)0930~
会場:神戸大学国際文化学研究科D603会議室(zoom同時中継)


0930~1030 鄧琪氏最終試験
コーパス調査に基づく現代日本語における非和語系語彙の用法解明と日本語教育への応用



1035~1135   肖錦蓮氏最終試験
コーパス調査に基づく現代日本語におけるスタンス表出システムの解明と日本語教育への応用:一人称代名詞・文末詞・陳述スタイル・ヘッジの分析




審査委員会
柏木治美(神戸大教授)・李在鎬 (早稲田大学教授)・石川慎一郎(神戸大教授)


審査会後の記念撮影



2022/02/04

2022.2.4 大学院博士前期課程最終試験(ゼミ生3名が最終報告)

表記が開催され,ゼミ生3名が最終発表を行いました。コロナの2年と重なり,対面指導がほとんどできない学年でしたが,これまでの先輩たちに勝るとも劣らない論文を書き上げてくれました。お疲れ様!


9:20 M2 佐々木 恭子  Sasaki Kyoko
母語話者・日本人学習者の英作文における原因の表出:コーパスから得た知見の教育的応用
An Investigation into Causal Expressions in English Essays by Native-speakers and Japanese Learners of English: Pedagogical Applications of Corpus Findings



10:20 M2 堀家 利沙  Horike Risa
日本人高校生のための重要英語句動詞リストの開発:コーパスを用いた高校生の句動詞使用実態の分析をふまえて
Development of a List of Essential English Phrasal Verbs for Japanese High School Students: A Corpus-based Analysis of Students' Use of Phrasal Verbs 



10:50 M2 安 美 彦  An Meiyan
日本語母語話者および学習者による条件表現の使用実態の解明:コーパス言語学の外国語教育への応用を目指して
A Corpus-based Analysis of the Usage of Japanese Conditionals by Native Speakers and L2 Learners