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2020/07/31

2020.7.31 大学院国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース第2回集団指導

日時:2020年7月31日(金)10:00~11:06
形式:zoomによるオンライン形式(質疑応答のみ)(D=8min, M=5min)

今回,石川ゼミからは下記4名が発表しました。

10:08~10:16 中西淳
学習者コーパスに見る日本人英語学習者の前置詞使用用法分析—at・in・onの語義別頻度に注目して―

10:24~10:32 肖锦莲
教育的に重要なヘッジおよび強意詞の抽出:7種の言語指標値の統計的合成

10:40~10:48 鄧琪
漢語名詞の連体修飾用法:異なる連体標識の選択が意味機能に及ぼす影響―漢語名詞「安定」を例にしたコーパス調査―

11:01~11:06 石田麻衣子
小学校英語教育を見据えた基本名詞の用法の検討:コロケーションの観点から―小・中教科書コーパス,段階別読解教材コーパス,JEFLLコーパス,COCAを組み合わせた検討—

発表自体はあらかじめ動画でとってアップロードしておき,当日は質疑のみリアルで実施という形態で進めました。

2020/07/30

2020.7.30 兵庫県立兵庫高等学校「総合的な探究の時間」特別講演会

 表記で講演を行いました。

講師:石川慎一郎
演題:「はじめての探究:世界と地域と私の接点」

兵庫高校は,文科省より「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の指定を受け,ローカル(神戸)とグローバル(SDGs)の架橋を目指す意欲的取り組みをなさっています。

講演では,テーマの選定に関し,SDGsの細かい目標をいったん4つの学問領域に整理し,将来の進路希望もふまえながら研究内容を設定していくというアプローチを紹介しました。

講堂に学年の生徒さんが集まったのは今年度初だったとか。コロナ禍の中でも学びを止めない姿に感銘を受けました。

下記は同校HPの記事より転載。




2020/07/29

2020.7.29 神戸大学国際文化学研究科博士論文最終試験

 審査委員として下記に出席しました。

日 時   令和2年7月29日  13時20分~
場 所   神戸大学国際協力研究科棟6階 シミュレーションルーム
受験者   末澤 奈津子

対象論文は,英語教育とunconscious biasを絡めた意欲的なものでした。

2020/07/22

2020.7.22 兵庫県立伊丹高等学校学校評議員会・ひょうごSH運営指導委員会

表記に出席しました。

県立伊丹高校では,これまで文科省指定SGH(スーパーグローバルハイスクール)事業の指導をしていましたが,SGHは2019年度末で終了し,2020年度から,同校は新たにHSH(ひょうごスーパーハイスクール)に指定され,新プロジェクトを始めることとなりました。

評議委員会・運営指導委員会の様子(同校HPより


HSHの新プロジェクトは「SAKURA」と命名されており,以下の6点が眼目になっています。

Science = 理数
Autonomy = 自主
Kotobabunka = ことば文化(固有名詞)
Universe = 国際
Research = 探究
Activity = 活動

人文数理融合型の取り組みということで今後の展開が楽しみです。





2020/07/20

2020.7.20 親和中学校・親和女子高等学校AL委員会

オンラインで開催された表記の会に助言者として参加し,同校の今年度の教員研修計画について議論しました。

私が関わり始めた昨年度はDeep Active Learningの理論面について共有理解を始めました。今年度はそれを日々の授業実践に落とし込んでいく段階となります。熱心な先生方の実践のさらなる発展が期待されます。

2020/07/17

2020.7.17 兵庫県立長田高等学校人文数理探究類型発表会 講話

 表記の会に参加し,昨年に引き続き,審査委員長として審査を担当しました。高校生ばなれした圧巻の英語による発表で,類型の生徒さんの2年半の成長を強く感じました。

講話
石川慎一郎 「終わりから始まる ー長田高校探究最終発表会2020講評ー」


本年度はコロナ禍で生徒さんの準備時間も限られていたとのこと。個々の研究は立派なものでしたが,ストーリーの組み立てやAim/ RQ/ Method/ Finding/ Discussionの流れについて,もう一息,ブラッシュアップの時間があればなお良いものになったでしょう。



たとえば,つらい運動も好きな音楽を聴いてやれば楽にできるのでは,というのは研究テーマとしてよい着眼ですが,「好きな音楽を聴いて運動した群」vs「音楽なしの群」を比較して結果を比較した場合,本来やりたかった比較ができていない可能性があります。<比べたいものを比べる>というのは,簡単なようで実は意外と難しいものです。このことに気づいていただければ,文系に進むにせよ,理系に進むにせよ,今後の学修や研究はさらにうまく進むものと思われます。もっともこれは我々研究者にとっても難しいことですが…





2020/07/15

2020.7.15 河合塾グループ×QS社 世界大学ランキング2021 日本地区セミナー参加

表記のセミナー(Zoom)に参加しました。


勤務先を含め,日本の大学は,どこも頑張っているのに,にもかかわらず,じりじりランクが下がっているという印象を持っていましたが,それはQSのデータからも裏付けられます。

出典:QS社プレゼン資料より:日本の大学の観点別平均ランキング推移(過去7年)


観点別では,「教員・学生比率」だけが比較的良好で,それは過去数年間ほぼキープ。一方で,そのほかの観点はどれもかなり大きく低下しています。この間,SGUの試みもあったはずなのですが‥‥

QSは世界の大学関係者に聞いた評判調査(例:あなたの分野でいいと思う大学名を10個あげて)の比率が4割ということで,要はその調査で自大学の名前がメンションされないとなかなか上位にはなれないようです。

ただ,評判調査の妥当性には賛否両論あるでしょう。たとえば,私自身が同じ質問をされたとして,自分の専門分野で活躍している各国の研究者の顔は何人か浮かびますが,それらは大学というよりもあくまでも個人です。そんな中で,あえて「大学名をあげろ」と言われれば,はっきりした確信のないまま,なんとなく,オックスフォードとかハーバードとか,有名どころの名前を列挙するかもしれません。もしそうなら,評判調査というのは既存の大学のイメージを再生産しているだけであって,何かの新しい情報を取り出しているものではない,という見方もありそうです。(もちろんそういうイメージこそが大学の価値の源泉だという見方にも一理ありますが)。

本日の聴衆にはメディアの関係者も多く,彼らの質問には鋭いものが多かったです。「香港の大学にいる中国籍教員は外国人教員比率でカウントされる外国人に入るのか?」とか「大阪公立大のランキングの見通しは?」などの質問は,おっ,と思いましたが,残念ながら,その場で明確な回答はなかったです。

なお,THE(Times Higher Education)はベネッセと提携,QSは河合塾と提携,ということで,国際大学ランキングは一大教育ビジネスになってしまった感じです。しかし「世界ランキング200位以内の大学の修士・博士学位保持者にのみ特別なビザを出す」(オランダ)といった政策もある以上,大学関係者としては,無視もできず,悩ましいところです。

2020/07/07

2020.7.7 兵庫県立津名高等学校インスパイアー事業特別講演

ここ数年関わっている津名高校の表記行事で生徒さん向けの講演を行いました。

講師:石川慎一郎
演題:英語でつなぐ世界と私ーロジカルプレゼンテーション入門ー


いつもは講堂で学年の生徒さん全員を対象に行うのですが,今回は,コロナ対策で,40人ずつにわけて2回の講演でした。生徒さんはほぼ全員がマスクをしていたものの,高校はすっかり日常を取り戻しておられ,いまだに閉鎖が続く大学との差を実感しました。

津名高校ウェブサイトより

電車に乗って移動し,人前で講義をしたのは,4月以来,丸3か月ぶりでした。1日が終わると困憊しており,これまでどうやってこんなことを毎日やれていたのかまったく不思議な思いです。在宅もあまり長くなるとまずい…と感じる1日でした。

梅雨の中日であいにくの小雨模様の津名港

2020/07/02

2020.7.2-4 Korea Association of Teachers of English (KATE) 2020 Int'l Conferenceに出席・発表

オンライン開催された表記の学会に出席・発表しました。

発表: Day 2 1500-1530 Room 4 
Shin'ichiro Ishikawa (Kobe Univ., Japan) Language and Body Language: A Learner-Corpus Study
※当日は前撮りのビデオの上映形式でした。
発表ビデオより

発表中 on Zoom

いわゆる流暢性を議論する場合,verbal performanceのみを問題にしがちですが,non-verbal performanceを含めて評価すると全く違う「流暢性」像が浮かび上がる,という趣旨の報告を行いました。私自身の長い間の関心事ですが,実にゆっくりですが,知りたいことの核心(英語が話せるって,いったいなんだろう?)に近付いている感覚があります。

さて,いろいろ聴講しましたが,とくに面白かったのは下記の発表です。

Taejoon Park (KICE) Examining the feasibility of using text-to-speech technology in listening comprehension tests
・3人の英語教師が5種のTTS合成音声を評価し(comprehensibility, naturalness, accuracyの3観点で5点評価),良いものを選ぶ
・2群(人間の声で聴く/TTSの合成音声で聞く)を用意
・聴解テスト(KICE開発,テキストに直接書いてある内容,推論する内容,含む20問)で聴解力に差がないことを確認
・人間の声と,TTS音声で,5種のアカデミックテキストの音読を聞き,その後に内容読解テスト
・2群間で差はなかった
・事後アンケートによるよると,TTS群の31%が合成だと気づかなかった,また84%が合成音声であったことが聴解に影響しなかったと回答
・TTSを見抜いたポイントはセンテンスの間のつなぎ,イントネーション,発音,toneなど。
※実際に2種の音声を流すデモもありましたが,ほとんど差が分からなかったです。

もうひとつ,中国の英語教育学会の代表者の講演より。
Jinju Wang
New Developments of English Education Reform in China
・最近の動きとして高校用指導要領策定(2017),国家英語力基準(CSE)策定(2018),英語専攻学生用指導要領策定(2020)
・キーワードはアウトカム中心,学習者中心,コアコンピタンシー,全人教育
・高校指導要領では,言語・文化・思考力・学習能力(方略使用)を統合
・英語専攻学生用指導要領では,卒業研究?を,論文,翻訳レポート,創作作文,翻訳実作から選べるように。
・CEFR風の独自の英語能力基準(China's Standards of English Language Ability:CSE)を2018年に策定。
・1500の学校から16万人の学生のデータを収集
・9段階で,IELTS/TOEFLスコアとの関連づけも実施済み
・小1~中3:Basic (3段階)
・高1~大4:Intermediate(3段階)
・大学上級(英語専攻)~大学院~専門家:Advanced(3段階)。
・これらを規定したcan-doは107ページ分。
・印象に残ったのは冒頭のスライド:「中国の英語学習者数は4億人。アメリカの人口を上回る」

 また,3日間の学会では,ざっと見た限り,約10本のコーパス関係の発表がありました。以下,簡単なサマリーです。

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韓国英語教育学会(KATE)2020年国際大会 コーパス言語学関係発表のまとめ

(1) Chae Kwan Jung (Incheon National Univ.)
A Study on the Use of Biotechnology in English Literature
・文学作品は未来社会を予想させ,科学技術をわかりやすく提示する一面も。
・英文学作品コーパスを構築。
・バイオ工学(biotechnology)の表象を概観。

(2) Woo Ri Jeon (Cyber Hankuk Univ. of Foreign Studies)
Corpus Using Gamification in High School English Classroom
・パターン文法“have you ever V-pp?"を教える実践
・DDL(コーパスデータ駆動型言語学習),語彙アプローチ(lexical approach)
・英語力に問題がある高校1年生24人に,高校2年生程度の内容をやらせる
・使用素材:Lextutor,Longman英韓辞書,Quizlet,Padlet Dashboard
・プレタスク(10分):ビデオクリップを見てhave you ppを探し,Quizletのカード学習で意味と表現を確認。
・メインタスク(30分):教師のPPT解説でhave you ppを聞き,Lex Tutorと辞書を使い,文完成問題をグループで行う。また「インタビュー活動」としてその質問をお互いに行う。完成物をPadletに公開。
・仕上げタスク(5分):Quizletの"Live Group Battle Game"で表現と意味のマッチング。
・学習者は楽しく習得できた。

(3) Nguyen Hong Anh (Vietnam Maritime Univ., Vietnam)
Target Needs for ESP Course in Marine Navigation Safety Engineering – A Case Study at Vietnam Maritime University
・複数語コロケーションや,分野特化コロケーションの研究は不足
・海洋工学(Coastal and Offshore Engineering :COE)分野のコロケーションリスト作成を目指す。
・当該分野の教科書・論文・専門雑誌掲載ニュースを集めた940万語の分野コーパス。34の小分野をカバー。
・まず,COE分野で特徴的な中心語(1語+複数語)を抽出。次いで,それらの±4語範囲の共起語を抽出。
・計量手法(素頻度,レンジ,LL,MI,tスコア)+質的手法(構成語の意味充足性(semantic completion)と文法関係をチェック)を組み合わせ。
・WordSmith 7.0 とSketch Engineを使用。
・COEコロケーション(2-5語)を抽出。

(4) 【ライブ聴講】Mee-Jee Kim (Seoul National Univ.)
Phrasal Verb Use in Korean EFL Learners’ Expressions: A Corpus-Based Study
・韓国人英語学習者の句動詞(PV)使用
・先行研究から24の重要前置詞(paritcles:不変化詞)をまず抽出。
・ICNALEの発話データと,韓国で広く使われているヨンセイ大学YELC作文データを比較
・Sketch Engineにコーパスデータをエントリして分析
・韓国人学習者はSWともにPV過少使用
・SW間でPV使用パタンは酷似
・意味別ではアスペクト>方向>イディオム

(5) 【ライブ聴講】Yong-Hun Lee (Chungnam National Univ.)
An Analysis of Error Types in Korean EFL Learners’ Writings: Based on the ACCESSS Error-tagged Learner Corpus
・韓国人英語学習者コーパスにはいろいろ:Yonsei English Learner Corpus (YELC), Learner corpus of Kyungpook National University(テグの慶北大学校), the Gachon English learner corpus(嘉泉大学校)など
・エラータグはない
・Academic Center for Corpus-based English Studies and Statistical Solutions (ACCESSS; accesss.or.kr)において,ACCESSS Error-tagged Learner Corpusを作成
・1,100の作文(3レベル)
・第1段階:手作業と,Grammarlyなどの自動ソフトでスペルと文法のエラーをタグ付け
・第2段階:Deep Learning(word/ document embeddingを使って,単語選択と文体のエラーをタグ付け
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石川補足
Word/ document embedding
語の出現する文,出現しない文を0・1コーディングして巨大な0・1頻度表を作り,語の情報を空間ベクトルとして表現する(One-hot→Bag of words)。Word2Vecなどの基幹技術。
参考 https://ishitonton.hatenablog.com/entry/2018/11/25/200332
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・タグ付けデータを見ると,語彙の数はレベルがあがっても線形的に減るわけではない(石川注:逆Uモデルが見られた)

(6) Eun Sun Kim (Hanyang Univ.)
Lexical Diversity and Metadiscourse in TED Talks
・大学でのEMI広がる→英語講義を理解する必要
・TEDの語彙分析(語彙プロフィール,語彙多様性,メタ談話標識使用)
・ RANGE,COCA-BNC 25000, AntConc, Coh-metrix使用

(7) 【ライブ聴講(というか)】Shin'ichiro Ishikawa (Kobe Univ., Japan)
Language and Body Language: A Learner-Corpus Study
・CEFの中で,ELFでは,流暢性がとくに重要
・非言語流暢性に注目する必要性
・ICNLAE Spoken Dialogueを分析
・アジアの学習者の非言語流暢性について概観
・日本人学習者は言語流暢性は低いが,実は非言語流暢性は相対的に高い→流暢性の議論にはverbal/ non-verbalの組み合わせ視点も必要

(8) Geonha Kim (Pusan National Univ.)
Implementing Teaching of Collocations in EFL Classes: A Corpus-based Approach Using Original and Translated Literary Texts
・コロケーション学習の重要性
・先行研究は構成要素の意味特性やテキスト内での分布に注目するが本研究は教育面重視・コロケーション習得の難しさはL1干渉とコロケーションのあいまいな性質による
・文学テキストを素材に。ストーリーがはっきりしているのでターゲットとなるコロケーションの性質や作者の使用意図を文脈の中で正確にとらえやすい
・Antconc, COCAも使用
・学習者のコロケーション習得を評価(recall/ recognition test)
・学習者の認知的・情意的側面も調査

(9) Hong Anh Nguyen (Vietnam Maritime Univ., Vietnam)
A Corpus-based extraction of Technical collocations in Coastal and Offshore Engineering
---> (2)とほぼ同様だが基準が少し違う?
・EMI(英語媒介教授)のために
・300万語のコーパス構築
・±3語で共起語抽出(※(2)では4語だった)
・ 21,760種のコロケーションを抽出

(10) Min-Chang Sung & Kitaek Kim (Gyeongin National Univ. of Education & Seoul National Univ.)
What do English-language Animated Movies Teach us about Vocabulary Education?
・韓国の小学生は英語のアニメが好き(Frozen, Shrek)
・3人の国際的アニメ映画作家による25本のアニメ映画コーパス作成。
・高頻度500表現を抽出
・韓国の指導要領(MOE, 2015)で定められた小学生用800種の英単語と比較
・まず使わせる,語用論機能を示す,語彙的意味を教える