日時:7月28日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学1号館702教室
M1の王さんと石川が発表しました。
発表1-1:「コーパスを用いた新しいEAP語彙リストの開発:BABILONプロジェクトの背景と狙い」
石川慎一郎(神戸大学)
Academic Word List(Coxhead,2000)は,発表からすでに20年近くが経過しているが,コーパス頻度と内容的レンジの両面を考慮する語彙選定手法は手堅く,現在においてもなお有用な語彙表である。もっとも,AWLには,(1)元となるコーパスが非公開で検証できない,(2)コーパスに年代や地域の偏りが含まれている可能性がある,(3)語彙選定において頻度とレンジの両面を考慮している一方,最終的な重要度の決定は頻度のみで行っている,(4)英語学習者の多くは接辞について十分な知識を持っておらず,派生形を1語として扱わないのは不適切である,(5)頭字語や略号を一律に削除するのは問題がある,(6)学術英語で散見される語の中にAWLでカバーされていないものも少なくない,といった課題もある。そこで,本研究においては,(1’)検証可能な公開コーパスのデータを用い(OpeN),(2’)年代と地域的なバランスを考慮しつつ(Balanced),(3’)頻度とレンジを合成した学術語彙重要度指標を基準として(Integrated),(4’)派生形を除外したレマの単位で(Lemma-based),(5’)頭字語や略号も包含する幅広い語の定義を採用した上で(Broad),(6’)GSL+AWLを超えるレベルを対象に(Advanced),学術語彙の選定を行うこととした。本研究で開発した語彙表は,以上の6つの理念の頭文字を並べ替えてBABILONと称する。
発表1-2:「『現代日本語書き言葉均衡コーパス』のブログデータを用いた内容ジャンル別オノマトペ使用状況分析:コアオノマトペの抽出に向けて」
王思閎(神戸大学大院生)
オノマトペは日本語を特徴づける語彙要素であるが,従来の日本語教育では体系的な指導が行われていない。今後,中上級の外国人日本語学習者を対象としたオノマトペ指導を考えていく場合,はじめになすべきことは,現実の日本語を丁寧に解析し,様々な分野で広く出現する「重要オノマトペ」を計量的に特定することである。発表者は,過去に,日本語の現代小説の重要オノマトペの抽出を行った。本発表では,新たに日本語ブログデータを解析し,重要オノマトペの特定を行う。
研究会主宰者の木下先生と(木下先生との記念写真は石川ゼミの恒例儀式?です)