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2024/08/07

2024.8.7 PLIJ STEAM Curator合同会議に出席

表記に出席しました。

日時 2024/8/7 1600-1800@東大駒場、生産技術研究所


PLIJとは?
・一般社団法人「学びのイノベーション・プラットフォーム」(Platform for Learning Innovation - Japan)こちら
・2021年9月7日発足
・STEAM教育を柱に、初等中等教育のイノベーション加速を目指す
・企業25社が正会員として参加
・その後、正会員30社、特別会員211に
・役員&curatorのリストはこちら

STEAM Curatorとは?
・探究活動などに使えるビデオリソース等を集約した、STEAM Learning Communityにおけるインタフェース改善や今後のコンテンツ収集の助言を行う 

石川の報告内容



もともとは、高校の探究に関わっている関係で参画した者ですが、当日は、現状のアーカイブをふまえ、言語学分野のコンテンツの整備状況と今後の展望について報告しました。


おまけ:東大生産研のトイレ

トイレを探してまん前まで行きながら、ここが男子トイレとわからなかった。
なにか「infomation center」的なところかと・・・
(トイレの場所が男女分かれていて、突然、上記だけが出現するので余計にわからない)




2024/08/05

2024.8.5-9 神戸市外国語大学で集中講義

神戸市外国語大学でコーパス言語学の集中講義を担当しました。外大は、これまで毎週開講形態でやっていたのですが、本務校の時間割の関係で今年は夏季の集中となりました。

 

講義風景(匿名加工済)

わたしは神戸大に着任後、20年ぐらい、毎年、コーパス言語学の講義を行っています。本務校以外に、他の大学でも集中講義や非常勤講師で教えているので、もしかすると、半年のコーパス言語学のコースを累計で30回ぐらいは教えているような気がします。

これまでは日本語と英語を取り交ぜて、ということでシラバスを組んでいましたが、教える側としても、消化不良というか面白さが出ないうちに終わってしまうという印象がありました。昨年夏の北京外大での集中講義で、はじめて日本語だけに特化して授業を組み立てたところ、明らかに反応がよく、本年度前期の神戸大学の授業も日本語だけにしました。神戸市外大は英語専攻の方が多いので、今度は英語だけの内容で15回分を組み立ててやってみましたが、演習などに取り組める時間が倍増し、明らかに、手ごたえが良かったです。

日本語・英語を両方扱うというメリットを生かすか、1つに絞って演習を増やすか、悩ましい判断です。今月はもう1つ、別の大学で集中講義がありますが、そちらは日本語onlylでやってみる予定です。

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神戸学園都市での外大の集中講義は8/9で終わりましたが、ちょうどその同じ日、明石で「NHK全国学校音楽コンクール」があり、高3の時以来、40年近くぶりに覗いてみることにしました。母校はまさかの金賞! うれしいサプライズです。私が高1のときは、この同じ会場で負けて、泣きながら、近くの喫茶店でかき氷かなにかを食べた記憶があります。

学園都市~舞子駅までのバスの中から。絶景。

38年たっても変わらぬ会場の独特の雰囲気・・・







2024/08/04

2024.8.4 2024年⽇语偏误及⼆语习得研究国际学术研讨会(online)で基調講演

福建師範大学で開催された表記のイベントで講演を行いました。この学会は、誤用(error)研究から習得を考えることをテーマにしておられ、わたしは、学習者コーパスの観点からこの問題を議論しました。


学会開催通知

会場風景


講演スライドより


学会の事務局を担ってくださった福建師範大学の陈燕青先生ですが、陳先生の教え子が、今、石川ゼミにいる牟虹妮さんです。また、この学会で発表された張晶鑫さんは元ゼミ生でもあります。さらに、基調講演者である費暁東先生は北京外国語大学の集中講義でお世話になり、かつ、先月の神戸大・北京外語大合同シンポでもお世話になった方です。私自身は大したことはやれていませんが、日々の地道な活動を通じて、研究と友情のネットワークが徐々に広がっていることをうれしく思います。





 

2024/08/02

2024.8.2 計量国語学会理事会に出席

表記に出席しました。2025年度からの「科研費等の公的研究資金を使った研究成果の即時オープンアクセス義務化」の動きを受けて、学会としてどう対応するかを審議しました。

この議論の背景になったのは、国立国語研究所名誉教授の横山詔一先生らと進めている研究です(Jxivプレプリント) 

研究成果のオープンアクセス(OA)というのは、いいことづくめのように聞こえますが、実際にはいろいろと考えないといけない問題があります。

下記は想定される中で、最も悲観的なワーストケースです。


1)即時OAが義務化される

2)国内の学会などが刊行する非電子誌、エンバーゴ誌(会員だけが先に読めて、その後、全面無償公開まで一定期間を置く)に論文が集まらなくなる

3)上記への対応として、学会は、(望んでいないものの)完全電子化・ゼロエンバーゴ化に踏み切る

4)「論文が読める」という学会員の最大の特権が消失し、会員数が減少し、やがて学会として研究活動が維持できなくなる

5)印刷版紀要の作成が止まることで、これまでの緻密な編集作業が形骸化し、結果として論文の質が下がる

6)上記4)と5)の結果として、学会紀要の刊行自体が維持できなくなる

7)結果として、国内での論文の投稿先が減り、(AI英訳なども駆使して)海外の有力ジャーナル(のうち比較的掲載されやすいもの)に国内の論文が流れる


この場合、海外プラットフォームによる研究成果の独占を打ち砕くはずだった施策が、結果としてそれを助長する結論になってしまいます。こうならないようにどうすべきか、どの学会も、これから真剣に考えていかないといけないでしょう。また、動くなら早く動く、これも鉄則かな、と思います。

2024/08/01

2024.8.1 文化審議会国語分科会第2回言語資源小委員会

表記に出席し、報告を行いました(@虎ノ門、文科省)。

詳細はこちら

私の報告では、今後の言語資源整備を考える上で、下記の3点が大切ではないか、といった問題提起をさせていただきました。

1)継続

コーパスを作って終わり、とするのではなく、作り続けていく、データを取り続けていく、ことが重要。それによって言語変化を観察することが初めて可能になる。

2)普及

同じく、コーパスを作って終わり、とするのではなく、集めたデータを(言語学者だけでなく)一般の人が気軽に使っていただけるよう、わかりやすい検索システムなどを作っていくことも重要。それによって一般の方に言語資源の価値が伝わる。

3)社会実装

言語学者にとっての価値ある資料、というだけでなく、一般の社会課題の解決にコーパスを活用していく方途をしっかりと考えていくことが重要。教材開発、テスト開発などの教育面はもちろん、海外で行われている医療系でのテキストマイニングなども参考に。

石川報告資料より

基本的に、上記の3点を支えるのは継続的な国の支援ということになります。コーパス開発はしばしば属人的で(誰か個人の作業となりがち)、その人が退職するとノウハウも失われる、ということになりがちです。この意味で、3年、5年の競争的資金だけでなく、10年、20年のスパンでの息の長い支援が不可欠だと思われます。そうすることで、研究機関は人を長期にわたって雇用し、その中でベテランから若手へとノウハウを継承していくことが可能になります。あわせて、コーパスを調べることだけでなく、コーパスを作ることや、メンテナンスすることも、同等に価値ある「研究」だと認めていく学界の風土の醸成も重要でしょう。

虎ノ門の官庁ビル(いいお天気でした。雲が夏ですねえ)