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2024/06/29

2024.6.29 神戸大・北京外大日本語研究フォーラム2024に参加

石川研究室では、科研費の支援を得て、下記のイベントを開催しました(オンライン)。当日は、2大学の大学院生10名による発表とそれらに対する講評、また、2本の講演がありました。参加者は日中両国あわせて約40名で、活発な議論が行われました。


神戸大学・北京外国語大学 日本語研究フォーラム2024
BFSU/KU Japanese Linguistics Forum 2024 

日時: 2024年6月29日(土) 1020~1600
媒体: Zoom
参加方法: 参加費無料。参加希望者は6/20までに申し込みサイトより申し込みのこと。申し込み
共催:北京外国語大学日本学研究センター 費暁東研究室・陳冬姝研究室
共催(後援):神戸大学国際文化学研究推進インスティテュートPromis
問い合わせ先:神戸大学石川慎一郎研究室 神戸市灘区鶴甲1-2-1 iskwshin@gmail.com  

資料の「ごあいさつ」部分

講師紹介

石川ゼミ生もそれぞれ発表を行いました。

D3 陳迪、D1 廉沢奇、M2 陈俊彬、M1 魏婧云、M1 牟虹妮





北京外大の費先生のご講評、陳先生のご講演からも多くの学びがありました。
費先生による学生発表へのご講評

陳先生のご講演

石川は学習者コーパス研究の手法上の課題について報告しました。
石川講演ビデオより



2024/06/28

2024.6.28 国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース第2回集団指導

表記が開催され、ゼミ生もそれぞれポスターを作って発表を行いました。

D3 陳迪(ちん・てき)中国語を母語とする日本語学習者の漢語動名詞使用に対する意識調査に向けた基礎分析ーアンケートフォームの開発ー

【概要】学習者にとって望ましい漢語動名詞の指導システムを考案するため、中国人日本語学習者を対象に、漢語動名詞の習得に関する意識調査を行う。本発表では、正式な調査に先立ち、アンケートフォームの開発を試みる。



D1 廉沢奇(れん・たくき)日本語オノマトベの形態パタンと具現形は全部で何種存在するか?ーBCCWJとCEJCを用いた網羅的分析ー

【概要】本研究では、既存のオノマトペリストから 72 種の形態パターンを抽出した上で、パターンマッチングの手法によって BCCWJ と CEJC に含まれる全データを調査し、実際に出現するパタンの数(61種)、および、それらに合致する具現形の数(2198語)を特定し、今後のオノマトペ研究の基礎資料になるものと考えられる。



D1 飯島真之 日本人英語学習者による一・二人称代名詞使用: ICNALEの英作文モジュールを用いたアジアの地域別比較

【概要】本研究では、アジア圏国際英語学習者コーパスICNALEの英作文モジュールを使用し、日本人英語学習者の一人称代名詞、二人称代名詞の使用実態を、大学生英語母語話者及び、アジアのEFL圏地域の学習者と比較することで考察する。



M2(特別研究生)陈俊彬(ちん・しゅんりん)話し言葉における中国人日本語学習者によるアスペクト標識「ている」の使用実態 -I-JAS と B- JAS の統合分析の視点から-

【概要】「ている」はアスペクト標識の一つとして多様で複雑な用法を持っている。初級段階から導入される文法項目であるにもかかわらず、初級・中級レベルの学習者だけでなく、上級学習者の使用にも問題が散見される。「ている」の研究はすでに広くなされているが、多くは横断データを用いたもので、かつ、書き言葉の分析が中心であった。そこで、本研究は、横断データと縦断データを統合解析するという新しい方針のもと、話し言葉における中国語母語の日本語学習者(CLJ)による「ている」の使用を分析した。その結果、(1) CLJ が使用する「V+ている」のタイプ数とトークン数はともに学年進行につれて線形的に増加すること、(2) 4年目の時点でタイプ数は母語話者(JNS)に近接すること、(3) トークン数は JNS に届かないこと、などが明らかになった。これらの知見をふまえ、今後は、学習者の「ている」習得プロセスのモデル化を試みる予定である。



M1 魏婧云(ぎ・せいうん)中国語母語の日本語学習者による「A(っ)Bり」型オノマトペの使用実態―日本語母語話者との比較から―

【概要】本研究は、各種のオノマトペ形態のうち、ABAB型に次いで頻度が高く、かつ、中国語に同様の形態が存在しない「A(っ)Bり」型オノマトペに注目する。CLJとJNSが多用する「A(っ)Bり」型オノマトペ語形や、「A(っ)Bり」型オノマトペの品詞用法を調査する。




M1 牟虹妮(む・こうじ)中国語母語の日本語学習者による「と+動詞」の使用実態―JNS /CLJ差に注目しー

【概要】本研究では、I-JASの発話データを用い、日本語母語話者(JNS)と中国語母語の日本語学習者(CLJ)による「と+動詞」表現の使用実態を調査した。 まず、全体頻度について言うと、JNSの平均使用量は50.68回、CLJの平均使用量は22回で、CLJの過少使用が確認された(p<.001)。研究では、あわせて、「と」の機能別頻度調査や、用例の分類などを試みた。本研究で得られた結果は、CLJを対象とする日本語教育における助詞指導の改善に一定のヒントになると思われる。



 

2024/06/25

2024.6.25 兵庫県立津名高校インスパイア―特別講義

県教委の制度で、津名高校で講義を行いました。

通例は、生徒さんの発表を聞いてその内容に関する講評を行うのですが、同校は新年度より「文理探究科」を解説されるということで、講話の内容を変更し、探究入門のようなお話をいたしました。伝統ある津名高校の新学科の展開が楽しみです。

 

お約束。この橋をバスで通るたびにいつも同じ写真を撮ってしまう。。

2024/06/21

2024.6.21-22 タイ FLLT Conferenceで基調講演

タイのタマサート大学がホストを務めるFLLT 2024 Conferenceで、招待講演者として講演を行いました。


学会サイトより

当日は、ICNALEプロジェクトについて報告しました。最新のICNALE拡張プロジェクトにも言及しつつ、ともすれば欧州に偏りがちな学習者コーパス研究の中で、幅広いアジアの学習者のデータを集めて公開することで、世界の研究者にglobal voices- Asia's voicesを届けていくことが、翻ってmulticultural perspectivesの展開に必要であるという主張を行いました。幸い、この趣旨は多くの参加者に共感を持って受け止められました。

基調講演者4名によるシンポジウムでもこの問題を取り上げて議論しましたが、nativeとnear-nativeの研究者3名のなかにわたしのようなnon-nativeが1人混じっていること自体が、multilingual perspectivesを保証するとも言えます。また次回の機会があれば、今度はnon-nativeがメインになるようなシンポも期待したいところです。

会場はプーケットです。プーケットは有名なビーチリゾートですが、ホテルの窓から遠く覗くほかは、海の「う」の字も味わえないままの帰国になりました。ただ、6月はpride monthで、町がLGBTQの権利擁護キャンペーンできれいに飾られていたのを見学できたのは良かったです。(※タイが台湾についで同性婚合法化を決めたというニュースもちょうど入ってきました)。

Phuket Pride Month
 

ホテルの部屋からちらっと見える海

Conference Chairのタマサート大Supakorn先生と


2024/06/15

2024.6.15 JACET関西支部役員会・講演会に出席

表記に出席しました。

JACET関西支部 第一回講演会

日時:2024年6月15日(土)15:15-16:45(開場は15:00(予定))
場所:大阪公立大学I-site なんば(対面開催)2F(貸会議室エリア) room:C1
演題:「グループワークの会話分析ー学習者間インタラクションから生み出される授業活動の諸相」
講演者:横森大輔 先生 (京都大学国際高等教育院) 


講演は、分野外の聴衆にもよく理解できるように工夫されたものでした。また、会話分析は、会話テキストの分析である必要はなく、無音(の反応)も含め、ある種のインタラクションの研究を本質とする、というご指摘は非常に納得のいくものでした。勤務先の同僚が会話分析の専門家のため、門前の小僧なんとやら、でなんとなくはイメージができていましたが、体系的にご教示いただき、理解が深まりました。

会場は、初めてうかがった大阪公立大(旧府大)の施設です。駅前の便利な場所にあり、施設も立派です。学会や研究会で今後ますます使われるのではないでしょうか。神戸大にも町中にこういう施設があれば・・・と思います。

2024/06/13

2024.6.13 出版準備会議

海外のジャーナルで日本語学習者コーパスの特集号を出す企画があり、その打ち合わせ会議(オンライン)に参加しました。 


このテーマですから、日本語学習者コーパスI-JAS(迫田2020)がやはり中核となります。I-JASは非常によくできたコーパスで、さまざまな研究上の可能性がありますが、なかでも、同一のプロンプトを用いて縦断データを集めたB-JASや、同じく同一のイラストプロンプトを用いて日本人の子どもの産出を集めたJASWRIC等が構築され、その可能性はさらに広がりを見せています。

私見ですが、米国のBrownコーパスのサンプリングフレームをモデルとして、LOB、Frown、FLOB、CLOB、CROWN・・・などが異なる開発者によって作られた(今で言うとオープンソース開発?)というのは、私にはこれからのコーパス構築の理想に見えます。I-JASを核としてそうした動きが始まっていることはうれしいことです。

2024/06/11

2024.6.11 国立国語研究所第273回NINJALサロンで研究発表

国立国語研究所第273回 NINJALサロン

「日本語学術論文の即時オープンアクセス実現に向けて」

開催期日 2024年6月11日 (火) 15:10~16:10

開催場所 オンライン (Web会議サービスの「Zoom」を使用)

発表者 横山 詔一 (国立国語研究所 名誉教授)、石川 慎一郎 (神戸大学 教授)、井田 浩之 (城西大学 助教)、相澤 正夫 (国立国語研究所 名誉教授) 


石川は所用のため、事前録画のビデオ参加となりました。

発表ビデオより


2024.6.11 神戸大学附属中等教育学校研究手法講演会

計量的手法の講演に呼ばれることは多いのですが、今回はまさかの質的研究法の講演の依頼です。私自身は質的研究者ではないのですが、かつて、混合研究法などに参加したこともあるので、高校生の方にもわかりやすいよう、質的研究の概要をお話しました。また、質・量いずれかに偏るのではなく両者を取り入れた混合研究法の相対的利点にも触れました。うまく意図が使わっているといいのですが。。。


講演スライドより



かなり誇張していますが、生徒さん、ほっておくと、安易な「質的研究」(という名のアンケートとインタビュー)に行ってしまうので、ちょっと厳しめに、警鐘も含めてお話した次第です。


3-6年生(中3~高3)の文系の方が聞いてくださいました(※画像処理済み)


附属中等教育学校ウェブサイトよりイベントの報告







 

2024/06/08

2024.6.8 日英言語文化学会理事会・大会に参加(オンライン)

表記に参加しました。

日英言語文化学会2024年度大会

日時:2024 年 6 月 8 日(土)13:00-17:00
場所:成蹊大学(3 号館 3-501 教室)およびオンライン(Zoom)のハイブリッド

主な内容

基調講演:「生成AI時代に英語教育が果たすべき役割-異文化理解に生成AIは役立つのか?」
講師:金丸 敏幸(京都大学准教授)

ミニ講演:「さまざまなテキストで生成AI・オンライン翻訳サイトの翻訳力を考える」
講師:小川 貴宏(成蹊大学教授・本学会会長)

名誉会長講演:「日英のことばと文化(1)ー雨と傘について」
講師:奥津 文夫(和洋女子大学名誉教授・本学会名誉会長)


この学会に参加する楽しみの一つは「奥津節」を味わえることです。今回も期待にたがわず、6月の梅雨を切り口として、日英の言語表現のさまざまな面白さをご教示いただきました。

なお、今後大量の研究者が定年を迎えていく中、そうした方々の研究や思想を継承していくための安定的な学術交流の場の構築が不可欠になるでしょう。その場合のプラットフォームとして、「学会」という形がよいのか、あるいはそれ以外の形態が可能なのか(サロンのような?)、いろいろと考えさせられます。

2024/06/04

2024.6.4 早稲田大学原田教授授業でゲストスピーカー講演

早稲田大学法学部の原田康成先生の英語学の講義のゲストスピーカーとして講話を行いました。

講演スライドより

原田先生には、様々な学会でお世話になっており、海外学会でばったりお目にかかったことも何度かあります。早稲田の若い学生さんに、当研究室の研究を紹介する貴重な機会を与えていただき、感謝しております。



2024/06/03

2024.6.3 文化審議会第87回国語分科会に出席

2024年度より文化審議会委員を拝命しています(第24期委員名簿はこちら)。本日は、国語分科会の第1回会議に出席いたしました(オンライン)。

議事
(1)文化審議会国語分科会長の選出について
(2)文化審議会国語分科会運営規則等について
(3)今後の主な審議事項について 


国語分科会には、外来語小委員会と言語資源小委員会があり、石川は後者に所属することとなりました。会議の詳細や会議資料はこちらで公開されております。

2024/06/01

2024/6/29 【予告】神戸大・北京外大日本語研究フォーラム2024

石川研究室では、下記のイベントを行います。参加希望者は、事前登録の上、ご参加ください。先生方はもちろん、院生・学部生の皆さんの聴講も歓迎します。

◎プログラム https://language.sakura.ne.jp/icnale/lcsaw/kb2024.pdf 

◎事前登録(参加費無料、先着順)https://forms.office.com/r/QEVBBeWt2d 


ごあいさつ

 神戸大学石川研究室では、北京外国語大学日本学研究センターのご協力のもと、表記の研究会をオンラインで開催いたします。当日は、北京外国語大学大学院および神戸大学大学院で日本語学や日本語教育学を専攻している 10 名の大学院生が研究発表(中間発表を含む)を行います。多くはコーパスを用いた研究です。また、北京外国語大学の陳冬姝先生によるご講演も予定しています。
 ご多用中とは存じますが、ご関心のある皆様のご参観をお待ちしています。なお、この企画は、JSPS 科学研究費(23H00641)の援助を受けています。

 
                  ― 記 ―

日時: 2024 年 6 月 29 日(土) 1020~1600
媒体: Zoom
参加方法: 参加費無料。参加希望者は事前登録必要。先着順。
主催:神戸大学国際文化学研究科 石川慎一郎研究室
共催:北京外国語大学日本学研究センター 費暁東研究室・陳冬姝研究室
共催(後援):神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート Promis
問い合わせ先:神戸大学石川慎一郎研究室 神戸市灘区鶴甲 1-2-1 iskwshin@gmail.com


神戸大「うりぼう」vs 北京(動物園?)のパンダくんの対決@石川研究室内


〇発表&講演リスト(※概要はプログラムでご確認ください)

陳墨林(北京外国語大院M) 職場における活用語命令形の使用傾向-CEJC を用いて

陳迪(神戸大院D)「継続する支援」「継続の必要性」「継続的(な)成長」―漢語動名詞の連体節内使用時の後接要素の種類の選択要因を探る―

楊子琛(北京外国語大院M) 「XはXでP」から「XばX(た)でP」へ ―日本語におけるトートロジーに関する一考察―

魏婧云(神戸大院M) 中国語母語の日本語学習者による「A(っ)Bり」型オノマトペの使用実態―日本語母語話者との比較から―

楊言飛(北京外国語大院M)  中国語と日本語における婚姻のメタファーの対照研究

牟虹妮(神戸大院M) 中国語母語の日本語学習者による「と+動詞」の使用実態―JNS /CLJ差に注目してー

林暁雯(北京外国語大院M) 敬語研究の現状と今後の課題の日中比較——計量テキストの分析による一考察

陳俊彬(北京外国語大院/神戸大院M) 話し言葉における中国人日本語学習者によるアスペクト標識「ている」の使用実態 -I-JASとB-JASの統合分析の視点から-

陳妙清(北京外国語大院M) 中国高校における日本語派遣教師のアイデンティティ構築のマルチケーススタディ

廉沢奇(神戸大院D) 日本語オノマトベの形態パタンと具現形は何種類存在するのか?-BCCWJおよびCEJCデータを用いた網羅的分析-

講演1 石川慎一郎(神戸大教授)日本語学習者コーパスに基づく第2言語習得研究の可能性と留意点

講演2 陳冬姝先生(北京外国語大講師) 日本語の外交ディスコースの協調性と対立性