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2016/07/23

2016.7.23 南米複言語科研講演@京都キャンパスプラザ


金沢大学松田真希子先生がリーダーとなって進めておられる下記科研のキックアップ研究会に招かれ,講演を行いました。


H28-32科学研究費補助金基盤研究B(海外学術調査)「南米日系社会における複言語話者の日本語使用特性の研究」

講演題目: ICNALEとコーパス言語学 南米日系人話し言葉産出データ収集のために


南米社会では,日系人の二世,三世によって,現地語と日本語を組み合わせた「コロニア語」が使用されます。


例 (http://ameblo.jp/poucoapouco/entry-10657170692.html のブログ記事掲載の会話例を一部改変)


A: オイッ!(Oi:ちょっと)私のボウサ(bolsa:バッグ)知らない?
B: ノンセイ(Nao sei:知らない)。アショキ(Acho que:思う),さっき座った椅子のところじゃない?
A: ノーッサ!(Nossa:まあ),そうだったわ。オブリガード(Obrigado.:ありがとう)。
C: このセボーラ(cebola:玉ネギ),カスカ(casca:皮)がセッカ(seca:乾燥する)しちゃってるけど,中身はボア(boa:良い)だからね。

講演では,音声データ収集の際の留意点などについて触れた後,想定される問題として,複数言語使用時のコーディングの分類体系についていくつか提案を行いました。



たとえば,Muysken(2000)のモデルでは,挿入(主要言語に非主要言語が挿入される),遷移(1つの言語が別言語に遷移する),2言語融合型語彙使用の3つを区別しています。こうしたコーディングを書き起こしデータに付与することが,以後の分析にとって重要になるのではないかと考えています。