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2019/10/30

2019.10.30 神戸大学史展を観覧

下記を観覧しました。

神戸大学史・特別展「新制「神戸大学」の誕生-新制大学発足70周年記念-」
於:神戸大学百年記念館

母校に勤めることの愉悦の一つは,日々の通勤の道すがら,まったく同じ道を歩いていた18歳の自分と疑似的にリンクできることである。
なんだかんだで長いつきあいのある大学なので,たいていのことは知っているつもりになっていたが,こうした展覧会に出ると知らなかった発見がいくつもある。

今回の発見4つ

1)神戸大の前身学校はそれぞれに大学昇格を目指していたが,その際,京大に合併するプランと,阪大に合併するプランがあった
2)当初文部省は「兵庫大」という名称を主張してきたが,押し返して「神戸大」となった
3)各前身校の伝統がそれぞれ異なるので新生神戸大は長らく開学記念日が決められず,最後は執行部が「この日は晴れが多いから」という理由で決定した(しかも,にも拘らず翌年はどしゃぶりだった(笑))
4)正門の青銅の校名版は職員が退職金で作った

ふつう,大学史と言えば,天下国家を論じたり,人類幸福といった仰々しい話ばかりと思われがちだが,愛すべき母校の過去は「くすっ」となるような小粒なエピソードが多く,まあ,それもまた妙味。

下記は当日の展示から


2019/10/25

2019.10.25 国際文化学研究科外国語教育コンテンツ論コース2019年度第4回集団指導でゼミ生が発表

研究科の集団指導でゼミ生5名が発表しました(D3は今回は発表対象外です)

<日時・場所>
2019年10月25日(金) 8:50-11:30(予定)
D615教室

<プログラム>
09:10-09:30 中西淳(D2)「前置詞の用法分析のサンプルとしてat・in・on の3 語を指定することの妥当性について」

10:25-10:40 王思閎(M2)「書き言葉コーパス・話し言葉コーパス・母語話者コーパス・非母語話者コーパスの四元分析に基づく日本語基本オノマトペの検討」

10:45-11:30 ポスター発表
肖 錦蓮(D1)「現代日本語における一人称複数代名詞の選択と書き手スタンスの表出」

鄧琪(D1)「コーパスに基づく漢語・外来語形状詞の「ナ」・「ノ」による名詞修飾節の調査」

石田麻衣子(M1)「小学校英語教育で扱うべき語彙̶現行の中学1 年教科書と新課程の小学校5・6 年教科書の統計的比較から̶」


2019/10/06

2019.10.4-6 英語コーパス学会第45回大会でシンポジウム発表@高知県立大学

理事会(4日)および大会(5-6日)に参加し,最終日に実施されたシンポジウムで発表を行いました。


Day 2 10月6日(日)
●シンポジウム:13:30–15:00(場所:A101)
Gazing into a crystal ball: what you can see in the future of corpus linguistics
Chair:Yukio Tono(Tokyo University of Foreign Studies)
Yukio Tono(Tokyo University of Foreign Studies)
Shin’ichiro Ishikawa(Kobe University)
Hitoshi Isahara(Toyohashi University of Technology)
Tony McEnery(Lancaster University)

シンポジウムでは,司会の投野先生から「6つの質問」が示され,各自がそれぞれの立場で回答を行いました。

コーパス言語学の未来を考える6つの質問
1) Are there any new types of corpora in the future? What kind of corpora would you like to create?
2) Any innovations in collecting, annotating, and analysing texts?
3) What are some of the new types of applications of corpora?
4) Can the term "corpus linguistics" still survive?
5) How can linguists or language practitioners benefit from future corpora?
6) Any other innovations or methodological breakthrough?

石川のとりあえずの回答
1) ICNALEの拡張と,新発想の日本語コーパス
2) 自動書き起こしはすでに実用化されているがその精度が高まり発話コーパス構築の垣根が下がる
3) 身近なところでは学校現場でのIR(教学分析)など
4) 意味を変えつつ現存する
5) コーパスは言語を見る「態度」を教えてくれるものでその基本的価値は(たとえばAI等で言語処理ができるようになったとしても)変わらない
6) 技術面・手法面よりはむしろ「テキスト回帰」の中でbreatthroughを探りたい

といったところです。

2019/09/29

2019.9.29 科研費よる学習者コーパス国際シンポLCSAW4 を実施@神戸大

当研究室の主催による科研シンポジウムLCSAW4を開催しました。

詳細は下記。
http://language.sakura.ne.jp/icnale/symposium.html#4



以下,大学の広報用に送った文章の控えです。

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神戸大学大学教育推進機構/国際文化学研究科石川慎一郎研究室で行っているアジア圏英語学習者国際コーパスInternational Corpus Network of Asian Learners of English (ICNALE) の構築プロジェクトの一環として,2019年9月29日(日)に,神戸大学百年記念館六甲ホールにおいて,国際シンポジウムLearner Corpus Studies in Asia and the World (LCSAW) 2019が開催されました。2013年,2014年,2017年に続く4回目の実施となります。

今回のシンポジウムは,英国と日本の国際共同研究の推進のため,英国ESRC(Economic and Social Research Council : 経済社会研究会議)とAHRC(Arts and Humanities Research Council : 芸術・人文科学研究会議)が実施している「日英研究協力グラント ESRC-AHRC UK-Japan SSH Connections grants」の支援を受けた研究プロジェクト(代表:Tony McEneryランカスター大学教授,日本側責任者:石川慎一郎/投野由紀夫[東京外国語大])との共催の形を取りました。

当日は日英からの招聘講師13名による口頭発表と,国際公募で選ばれた14本のポスター発表がありました。英国・日本だけでなく,タイ・マレーシア・韓国などから,総勢80名の参加者があり,盛会となりました。シンポジウムでは,ICNALEをはじめとする大型学習者コーパスを用いた第2言語習得研究(SLA)の展開について,また,異なる地域で仕事を行っている研究者間,分野を異にする研究者間での「協働」の促進の必要性について活発な議論が交わされました。

本シンポジウムは,科学研究費およびESRC-AHRCグラントの支援を受けて企画・実施されたものです。開催にかかる関係各位のご支援に感謝申し上げます。
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シンポでは,石川が基調講演を行ったほか,大学院ゼミ生全員が英語によるポスター発表に挑戦しました。

この国際シンポジウムも今回で4回目となり,これまでの参加者は延べ500名近くとなりました。海外においても,アジア圏の学習者コーパス研究の拠点の1つとして,「神戸」の名が次第に浸透しつつあると感じます。神戸の地でこうした行事を4度にわたって続けてこられたのは科研費の支援によるもので,改めて感謝申し上げます。

2019/09/26

2019.9.26 尼崎市立日新中学校教員研修会で講演

継続的に関わっている日新中学校で,講演を行いました。

当日は,国語(パネルディスカッションをやってみよう)・技術(AIについて考えよう)・英語(道案内をしよう)という3つの授業を拝見し,アクティブラーニングの観点から,授業のデザインや教授の方向性について講話を行いました。

2019/9/26
尼崎市立日新中学校公開授業・授業研究会
講師: 石川慎一郎(神戸大教授)
演題:その先に子供をどうやってつれてゆくか~DALの目指す地平~

講演では,子どもに討論や班活動をさせたり,体を動かしたりさせる等,目に見えるアクティブラーニングを「表層的アクティブラーニング」(superficial active learning:SAL),子どもの頭の中の認知的活動が活性化していることを「深層的アクティブラーニング」(deep active learning:DAL)と呼び分け,SALとDALの関係について説明しました。SALとDALは,体のアクティブ,心のアクティブととらえることもできます。


3つの授業は,それぞれよく工夫されたものでしたが,SALの活動をいくつか用意してそれで終わり,とするのではなく,そうした表層的活動が真にDALにつながっていくために,どういう手立てを用意するのか,そこにカギがありそうです。





2019/09/22

2019.9.22-23 統計数理研究所共同研究グループ夏季発表会@大阪大

表記のイベントが行われました。

今回は,「ポスターセッション」の時間が長くとられ,参加者との意見交換を十分に行うことができました。

ポスターセッション風景


石川ゼミからは,5人がポスターで,1人がオーラルで発表しました。下記はその一部です(初日発表分のみ)。

石川慎一郎 丁寧体否定文型の選択について

鄧琪 非和語系語彙に後接するナ・ノの選択について

張晶鑫 日本語オノマトペの中国語訳について

肖錦蓮 1人称複数代名詞の選択とスタンスの関係について


2019/09/21

2019.9.21 計量国語学会大会参加@国立国語研究所(立川)

表記に参加しました

プログラム
http://www.math-ling.org/Docs/poster2019.pdf

13本と盛りだくさんな内容でしたが,どれも興味深い発表でした。コーパス言語学は究極的には1つの手法なので,主として扱う言語が違っても,同じ土俵で考えたり議論したりすることができます。

下記は聴講メモより

1)S/Wの対比は難しい
話し言葉,書き言葉といっても,その中には膨大な多様性があり,1つのコーパスでそれを代表させることはきわめて難しい。とくに,現代日本語の「書き言葉」を代表するとされるBCCWJのデータ構造は複雑で,BCCWJの総体が何を表しているのかは自明ではないかも?

2)話し言葉コーパスの分析単位をどうするか
話し言葉コーパスの書き起こしはどの程度まで信頼できるものだろうか?たとえば,「はい」と「はあい」と「は・い」と「はああい」等の音声はどこまで正確に書きわけられるものだろうか?だとすると,それを分析単位にすることは可能だろうか?

3)多変量解析の複数実行
たとえば異なる手法でちょっと違う結論が出てしまった(ように見える)とき,どういう対応が望ましいのだろうか?

4)文体と編集
編集された(かもしれない)テキストの文体はどこに帰属するのだろうか?

5)TTR補正
RやCは知っていたが,typeのlogのlogを,tokenのlogのlogで割る「S値」というのを初めて知った(孫・金,2019)。たしかにHerdan Cよりもトークンの影響を殺していそう。

6)多変量解析によるグルーピング問題
結局,グルーピングの数を決める究極的な根拠とはなんだろうか?

などなど,盛りだくさんな一日だった。また,院生さんはじめ,若い発表者が多いのも,(英語コーパス研究の側から言うと)純粋にうらやましい限り。