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2021/03/31

2021.3.31 活動評価報告(2020年度)

2020年度の「教員活動評価報告」です。職場の書式に従っており,2021年4月に職場に提出されます。

※4/2キャンパスで撮影

※過去の報告:2016年度報告2017年度報告, 2018年度報告2019年度報告

【研究活動のふりかえり】
・2020年度は,新しい科研に2つ採択されました。基盤Bでは,これまで構築してきた世界最大級のアジア圏英語学習者コーパスに含まれる作文・対話データを取り出し,L1や職業などを異にする多数の評価者から評価データを体系的に収集します。1つの作文ないし発話を何十人で一斉に評価するというプロジェクトは国際的にもほとんど例がないもので,SLAの新たな展開に貢献することが期待されます。
・挑戦的萌芽では,同一の標本抽出枠組みにもとづく英語と日本語の対照研究用小説コーパスの構築を目指します。これにより,日米のマインドスケープの違いを描出することがプロジェクトの最終目標です。
・学会関係では,英語コーパス学会の第7代会長に就任しました。

【教育活動のふりかえり】
・2020年度は遠隔指導となりましたが,これまでの対面指導の経験をふまえ,予習・ビデオ講義・復習のプロセスをベースとする授業スタイルを考案し,実践に移しました。
・大学院教育については,6名のゼミ生を指導しました。年度末には,D3生とM2生がそれぞれ博士号・修士号を経て無事に終了しました。ゼミ出身の博士は5名,修士は17名になりました。


2020年度教員活動評価報告書

氏名:石川慎一郎(ISHIKAWA, Shin’ichiro)
職位:教授
学位:博士(文学)[岡山大],修士(文学)[神戸大]
専門分野:応用言語学
研究キーワード:コーパス,英語,日本語

2020年度
教育 
(全学共通授業科目担当)
年間9コマ:Academic English Communication

(大学院授業担当)
年間7コマ担当(国際文化学研究科):
博士前期課程 外国語教育コンテンツ論特殊講義,同演習 研究指導演習Ⅰ~Ⅳ
博士後期課程 外国語教育コンテンツ論特別演習

(修士論文指導)
主査・主指導:4名(M1:3名,M2:1名)

(博士論文指導)
主査・主指導:3名(D2:2名,D3:1名)

(教育活動・教育支援活動)
・大学・附属英語教育推進連携会議およびピアレビューにおいて,自身の遠隔指導の実践を報告
・コンテンツ研究部門代表として遠隔指導に特化したピアレビューおよびFDを企画実施
・コンテンツ研究部門代表として部門ブログを管理・運営
・KALCSチュートリアルを管轄

(授業ピアレビュー,FD活動等)
・コンテンツ研究部門において2020年度遠隔授業ピアレビューを企画・実施
・上記のピアレビューで自身の遠隔指導の実践を報告

研究 
◎業績の概要(全42件)
___________________
A 著書 4(単著1,共編著3)
B 論文 5(査読あり1,招待2,査読なし2)
C 総説 3(商業誌3)
D 招待学術講演 6
E 学術研究発表 4
F 小中高生徒対象講義 14
G 小中高教員対象講演 6
(以上合計 42)
___________________


記載凡例
日付/分類/書名または論文名/共著か否か/著者/共著の場合の本人担当部/出版社またはジャーナル名/ページ数

A 書籍 (4)
(1) 2020/4/1/書籍《章執筆》/Focus on Language: Challenging Language Learning and Language Teaching in Peace and Global Education/共/【編】Olivier Mentz & Kasia Papaja 【著】Ishikawa, Shin'ichiro, Jean-Marc Dewaele他全20名./Ch. 4 Influence of Learner Attributes on Complexity, Accuracy, and Fluency in L2 English Oral Outputs of Japanese Learners  (pp. 43-68)/LIT Verlag(ドイツ)/全401p

(2) 2020/9/26/書籍《共著(3名以内)》/『コーパス研究の展望』/共/石川 慎一郎/長谷部 陽一郎/住吉 誠/全体企画・編集ならびに「はしがき」(v),「第1章 コーパス研究の展開」(1-44),「第4章 コーパスと英語教育研究」(p.193-244)/全273p

(3) 2021/3/30/書籍《単著》/『ベーシックコーパス言語学(第2版)』/石川 慎一郎/ひつじ書房/全277p

(4) 2021/3/31(※印刷遅延中)/書籍《章執筆》/『ジャンルとしての工学英語ー理論と実践ー』/共/【編】石川有香/【著】石川 有香,Judy Noguchi,石川 慎一郎,松田 真希子,竹井 智子,福永 淳,小野 義正(全7名)/第5章:多次元分析法(MD法)による学術論文の言語特性分析―コンピュータ工学系論文とコンピュータ援用言語学習系論文の比較―(pp. 100-134)/大学教育出版/全 244p


B 論文 (5)
(1) 2020/6/20/論文《依頼・招待》/日本語・中国語・韓国語・英語母語話者の日本語発話における形容詞使用実態 ―I-JASに基づく調査―/石川 慎一郎/日本語学習者コーパス「I-JAS」完成記念シンポジウム予稿集/27-34

(2) 2020/12/20/論文《依頼・招待》/習得研究の資料としての学習者コーパスの可能性と課題:計量研究におけるコーパスデータの制約性をめぐって/石川 慎一郎 /第二言語としての日本語の習得研究(第二言語習得研究会/凡人社)23/138-144

(3) 2020/12/21/論文《査読なし》/Aim of the ICNALE GRA Project : Global Collaboration to Collect Ratings of Asian Learners' L2 English Essays and Speeches from an ELF Perspective /Ishikawa Shin'ichiro/Learner Corpus Studies in Asia and the World, 5/121-144

(4) 2021/3/6/論文《査読あり》/L2 English Learners' Performance in Persuasion Role-Plays: A Learner-Corpus-Based Study/Ishikawa Shin'ichiro/International Journal of Computer-Assisted Language Learning and Teaching (IJCALLT) 11(2)/66-83

(5) 2021/3/15/論文《査読なし》/絵描写作文課題におけるL2日本語学習者の動詞使用と習熟度の関係―I-JASの SW1課題データの計量的概観―/石川 慎一郎/統計数理研究所共同研究リポート444:第二言語の言語知識と言語産出の関係性の解明:統計的アプローチによる検討/1-22


C 記事・総説 (3)
(1) 2020/7/1/総説(記事・書評・報告)/海外論文紹介273:L1が流暢だとL2でも同じく流暢か?―絵描写タスクを用いた実験から―/石川 慎一郎/英語教育(大修館書店)69(4)/p.99

(2) 2021/1/10/総説(記事・書評・報告)/海外論文紹介279:2020年代のコーパス言語学の方向性は?ー内から外へー/石川 慎一郎/英語教育(大修館書店)69(11)/p.99

(3) 2021/2/15/総説(記事・書評・報告)/(講演録)計量的言語研究の現状と展望:検証型研究と探索型研究の界面/石川 慎一郎/看護研究54(1)/10-17


D 招待学術講演 (6)
(1) 2020/6/20/招待講演(学会・大学)/日本語・中国語・韓国語・英語母語話者の日本語発話における形容詞使用実態 ―I-JASに基づく調査―/単/国立国語研究所 「I-JAS」完成記念シンポジウム/第5回コーパスワークショップ/国立国語研究所

(2) 2020/8/21/招待講演(学会・大学)/習熟度+産出+産出評価=? ―学習者コーパス研究の新展開―/単/LCSAW (Learner Corpus Studies in Asia and the World) 2020/神戸大学石川慎一郎研究室

(3) 2020/10/24/招待講演(学会・大学)/MMRオープンフォーラム:計量的言語研究の現状と展望―検証型研究と探索型研究の界面―/単/第6回日本混合研究法学会年次大会(JSMMR2020)シンポジウム/日本混合研究法学会

(4) 2020/12/5/招待講演(学会・大学)/学習者コーパスを用いた発話研究の展望:L2英語学習者とL2日本語学習者を事例として/単/日本語OPI研究会第104回定例研究会/日本語OPI研究会

(5) 2020/12/12/招待講演(学会・大学)/言語研究における有意性検定の今後の動向を考える /単/学習者コーパス研究会第7回例会/国立国語研究所

(6) 2021/3/21/招待講演(学会・大学)/多次元分析法(MD法)による学術論文の言語特性分析―コンピュータ工学系論文とコンピュータ援用言語学習系論文の比較―/単/ESPシンポジウム2021「ジャンルとしての工学英語―理論と実践-」/英語コーパス学会ESP研究会/名古屋工業大学石川有香研究室


E 学術研究発表 (4)
(1) 2020/7/3/研究発表/Language and Body Language in L2 English Speech: A Study Based on the Learners’ Interview Corpus/単/2020 KATE International Conference/Korea Association of Teachers of English (KATE) 

(2) 2020/8/22/研究発表/日本語絵描写作文課題における使用動詞を手掛かりとした発達の段階性および習熟度推定の可能性―I-JASのSW1課題データを使った検証―/単/統計数理研究所言語系共同研究グループ合同発表会「言語と統計2020」/統計数理研究所

(3) 2020/11/7/研究発表/Influence of L1, L2 Proficiency, and Task Types on Lexical Features of L2 Speeches by English Learners in Asia ― A Study Based on the ICNALE Spoken Dialogue ―/単/1st International Symposium on Applied Linguistics Research Language Studies: Practical Implications for the Society/サウジアラビア Prince Sultan University

(4) 2021/3/20/研究発表/絵描写作文課題におけるL2日本語学習者の動詞使用と習熟度の関係―I-JASのSW1課題データの計量的概観―/単/統計数理研究所「言語と統計2021」(セミナーシリーズ Vol. 16)/統計数理研究所


F 小中高生徒対象講義 (14)
(1) 2020/5/22/招待講義(生徒・学生対象)/高校生のための探究入門:私と社会をつなぐ切り口(※オンライン実施)/単/兵庫県立伊丹高等学校1年次探究講演会

(2) 2020/6/9/招待講義(生徒・学生対象)/自分の「探究」をどう発展させるか:好奇心にロジックを与える(※オンライン実施)/単/兵庫県立神戸甲北高等学校2年次探究講演会

(3) 2020/7/7/招待講義(生徒・学生対象)/英語でつなぐ世界と私:ロジカルプレゼンテーション入門/単/兵庫県立津名高等学校インスパイアーハイスクール事業特別講演会

(4) 2020/7/17/招待講義(生徒・学生対象)/終わりから始まるー長田高校探究発表会講評ー/単/兵庫県立長田高等学校人文数理探究類型研究発表会

(5) 2020/7/30/招待講義(生徒・学生対象)/はじめての探究:世界と地域と私の接点/単/兵庫県立兵庫高等学校「総合的な探究の時間」特別講演会

(6) 2020/9/10/招待講義(生徒・学生対象)/探究への招待~世界と私をつなぐ~/単/兵庫県立長田高等学校人文・数理探究類型講演会

(7) 2020/10/6/招待講義(生徒・学生対象)/探究活動を加速しよう:リサーチをデザインする/単/兵庫県立神戸甲北高等学校 探究講演会

(8) 2020/11/6/招待講義(生徒・学生対象)/課題を解決する作法ーロジックを通して物を語ろうー/単/兵庫県立兵庫高等学校「創造科学科」講演会

(9) 2020/12/1/招待講義(生徒・学生対象)/新しい淡路の創造:地域の問題を解決するアイデア/単/兵庫県立津名高等学校 特別講義

(10) 2021/1/14/招待講義(生徒・学生対象)/はじめての探究:世界と地域と私を結ぶ/単/兵庫県立兵庫高等学校 探究講演会

(11) 2021/1/28/招待講義(生徒・学生対象)/神戸甲北生のための「楽しむ探究」入門/単/兵庫県立神戸甲北高等学校 探究講演会

(12) 2021/2/4/招待講義(生徒・学生対象)/神戸甲北高校総合学科発表会 講話/単/兵庫県立神戸甲北高等学校 総合学科発表会

(13) 2021/2/8/招待講義(生徒・学生対象)/ここから始まる探究生活/単/兵庫県立伊丹高等学校2年生探究発表会講話

(14) 2021/3/18/招待講義(生徒・学生対象)/「考える」ことを学ぶ意味―伊丹の探究の目指す地平―/単/兵庫県立伊丹高等学校 1・2年合同校外成果発表会


G 小中高教員対象講演 (6)
(1) 2020/4/2/招待講演(学校・教委)/探究指導入門:教えるのか引き出すのか/単/兵庫県立神戸甲北高等学校教員研修会

(2) 2020/8/25/招待講演(学校・教委)/DAL を核にした新しい中高授業の創出/単/京都光華中学校高等学校教員対象講演会

(3) 2020/8/25/招待講演(学校・教委)/DAL 授業を磨くヒント:~授業実践をふまえて~/単/京都光華中学校高等学校教員対象講演会

(4) 2020/10/30/招待講演(学校・教委)/中学校における新しい学習評価―変わることと変わらないこと―/単/尼崎市立武庫東中学校学習評価法講演会

(5) 2020/11/26/招待講演(学校・教委)/中学校における新しい学習評価―変わることと変わらないこと―/単/尼崎市立日新中学校 学習評価論講演会

(6) 2021/2/15/招待講演(学校・教委)/新しい学力と新しい評価~光華のDAL~/単/京都光華中学校高等学校公開授業講話


(外部資金等)
代表・個人
・2020~2022年度 科研(基盤研究B)「アジア圏英語学習者の作文・発話に対する世界最大級公開型評価データセット開発と分析」(20H01282) 1,300万円

・2020~2022年度 科研(挑戦的萌芽)「言語から見た日米マインドスケープ比較:データサイエンス志向型小説研究の試行」(20K20699)598万

・2020年度統計数理研究所共同利用研究「第二言語の言語知識と言語産出の関係性の解明:統計的アプローチによる検討」,約50万円

受け入れ
・2020~2022年度 特別研究員奨励費 張晶鑫「外国語としての日本語・中国語教育の連携強化の為のプラットフォーム整備に関わる研究」(20F20999)140万円(140万円)【張氏の大学就職に伴い,2021年1月で早期終了】


科研分担者
・2019~2022年度 国際加速B 迫田久美子「日本語学習者コーパスによる教育と研究のグローバルネットワークの構築」(19KK0055)1,703万円(1,310万円)

・2019~2021年度 基盤A 野山広「基礎教育を保障する社会の基盤となる日本語リテラシー調査の開発に向けた学際的研究」(19H00627)4.498万円(3,460万円)

・2018~2021年度 基盤A 宇佐美まゆみ「語用論的分析のための日本語1000人自然会話コーパスの構築とその多角的研究」(18H03581)4,381万円(3,370万円)

・2020~2023年度 基盤B  川口裕司「言語変異に基づくフランス語、日本語、トルコ語の対照中間言語分析」(20H01279)1,729万円(1,330万円)

・2020~2023年度 基盤B  望月圭子 「国際連携・高大連携による英語・中国語・日本語「作文/対話」学習者コーパスの研究」(20H01278)1,755万円(1,350万円)


(研究活動(大学・機構等の委託研究・調査等)
・国際コミュニケーション協会委託研究 「スピーキング力とインタラクション力の関係性の解明」


社会貢献 
(社会貢献,地域貢献等)
【学会】英語コーパス学会会長,計量国語学会理事,日本文体論学会理事,学術英語学会学術アドバイザー,大学英語教育学会法人社員ほか

【地域】兵庫県立伊丹高等学校学校評議員・同ひょうごスーパーハイスクール運営指導委員,神戸大学附属中等教育学校SSH指導委員,京都光華女子中学校・高等学校アドバイザーほか


管理運営 
(管理・運営業務)
・大学教育推進機構国際コミュニケーションセンターコンテンツ研究部門代表として,部門事業の企画・実施を担った
・大学教育推進機構国際コミュニケーションセンター紀要編集委員として,刊行実務を担った
・全学図書館研究開発室教育部会委員として,図書館の教育サービス拡充について提言を行った

(資格の取得状況,有資格者としての貢献等)
・該当なし

以上

2021/03/27

2021.3.27 国立国語研究所野山科研国際シンポ参加

下記のシンポジウムに参加しました。

JSPS科研費19H00627 「基礎教育を保障する社会の基盤となる日本語リテラシー調査の開発に向けた学際的研究」 キックオフ国際シンポジウム (オンライン)

開催期日 2021年3月27日 (土) 13:00~18:00 (予定) (受付 : 12:30~)

開催場所 Web開催

主催 科研費 基盤研究(A)「基礎教育を保障する社会の基盤となる日本語リテラシー調査の開発に向けた学際的研究」研究代表者 : 野山 広 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 准教授)

共催 基礎教育保障学会

プロジェクト名,リーダー名 日本語学習者のコミュニケーションの多角的解明 石黒 圭 (国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授)


様々な発表・講演から多くを学びましたが,とくに,下記の基調講演はinformativeで興味深いものでした。

Jonas Nicolas (ユネスコ生涯学習研究所) “Sharpening our tools for the assessment of adult skills. What a national-scale survey offers that a large-scale cannot?”

講演を聞いての自分メモ
・国際成人力調査:Programme for the International Assessment of Adult Competencies
・OECD加盟国対象に2011年に調査
・読解力(例:Lev 1 候補者と得票数のリストが掲載されたウェブ画面から「得票数が最小」の者を選ぶ/Lev 2 ウェブ画面を見て,「開催者の電話番号を調べる」ために押すべきボタンを選ぶ(答え「問い合わせ先」/Lev 4 図書館サイトにある各種の本の概要から「遺伝子組み換え食品に賛成の主張と反対の主張のいずれも信頼できないと主張している」本を探す)
・ほかに数的思考力とIT活用問題解決能力
・日本は読解,数的思考がともに世界で1位,IT活用問題解決能力は10位
・読解力レベル1未満の被験者の比率は日本(4.9%)>・・・>フランス(21.5%)>イタリア(27.7%)>スペイン(27.5%)
・「人口の3割がほとんど文が読めない」というのは信じがたいが,移民などはどうなっているのか?(Nicolas氏は住民登録されていれば母集団に入る,と回答されていたが,なお疑問は残る)

最終討議での石川の発言メモ
・日本語リテラシー調査を実施する場合,テストだけでなく,簡易な発話課題(絵描写など。ICレコーダで録音,1分程度)を実施し,コーパスデータとして収集するのがよいのではないか?





2021/03/25

2021.3.25 英語コーパス学会ESPSIG 2020年度研究会で発表

下記のイベントに参加しました。

名古屋工業大学石川有香科研公開シンポジウム & 英語コーパス学会ESP-SIG研究会
「ジャンルとしての工学英語ー理論と実践ー」

日時:2021年03月25日13時ー17時 
Zoom開催
参加費:無料
主催:名古屋工業大学石川有香科研「工学系日本人大学院生の博士論文英語化推進ツールEJETの開発」(19H01281)
共催:英語コーパス学会ESP研究会


<第1部:科研プロジェクト報告>
13:00-13:05
石川 有香 科研プロジェクトの概要

13:05-13:20  
石川 有香 名古屋工業大学教授 
「工学系大学院生のための英語論文要旨執筆支援教材の開発に向けて」

13:20-13:35
竹井 智子 京都工芸繊維大学准教授 
「理工系大学院生・学部生向けの英語リーディング授業の実践報告」

13:35-13:50 
野口 ジュディー 神戸学院大学名誉教授 
Disseminating evidence-based research as science news

14:10-14:25 
福永 淳 九州工業大学准教授 
「メタ認知的アプローチによる自律型リスニングタスクを実践する」

14:25-14:40 
松田 真希子 金沢大学教授 
「日本語工学テクストのコロケーションの英語化―コーパスベースでの検証―」


<第2部:コーパス研究・ESP研究>
14:55-15:10
石井 達也 神戸市立工業高等専門学校 ・河本 健 広島大学 
「ムーブコーパスとLexical Priming:基礎医学英語論文のIntroductionにおけるhoweverを例に」

15:10-15:25 
松田 節郎 松江工業高等専門学校 准教授
「TEDトークのトランスクリプトに対するMove分析」

15:25-15:40
石川慎一郎 神戸大学教授
「多次元分析法(MD法)による学術論文の言語特性分析―コンピュータ工学系論文とコンピュータ援用言語学習系論文の比較―」


16:00-16:15 
照井 雅子 近畿大学准教授 
「ジャンル概念の獲得を目指した理工系大学生への授業実践の一例」

16:15-16:30 
小野 義正 理研創発物性科学研究センター 
「理工系研究者向け英語論文の書き方-日本人英語の特徴と改善策-」


2021/03/22

2021.3.22 神戸大学米谷淳教授最終講義

表記にオンラインで参加しました。

先生の過去の研究歴を伺う中で,米谷先生が三隅二不二(みすみ じゅうじ)先生を恩師とされていたことを知り,大変興味深く感じました。

三隅二不二先生はリーダーシップ論の大家で,リーダーの要件には,集団維持(M)と,課題達成(P)という2つの軸があり,この組み合わせでリーダーのタイプが決まるという考え方です。私は,自分のかかわっている教材で,三隅理論を紹介したことがあり,米谷先生を介した学縁を思いました。

同じ部局に所属する同僚として,また先輩教員として,長くご指導いただいた米谷先生のご健康とますますの研究のご進展をお祈りします。(早く,私も最終講義にたどり着きたい・・・)


2021/03/21

2021.3.21 英語コーパス学会語彙SIG 2020年度研究会参加

表記のイベントに参加し,以下の各発表を聴講しました。

詳細はこちら


・「対応分析による形容詞のレベル別の特徴抽出―日本語読解教材を例に―」
劉婧怡(九州大学大学院地球社会統合科学府)


・「日本語読解教材コーパスにおける「自分」のレベル別の特徴分析―BCCWJ との対照を中心に―」
靳夢瑩(九州大学大学院地球社会統合科学府)


・「スピーキングコーパスを用いた英語学習者の発達指標の特定」
阿部真理子(中央大学), 小林雄一郎(日本大学), 近藤悠介(早稲田大学), 藤原康弘(名城大学)


・「屈折語(ポーランド語)の意味単位-予備的調査-」
肥沼実穂,佐野洋(東京外国語大学 言語文化学部)


・L2 vocabulary form-recall and the saliency of usage
Martin, Jeffrey (J. F. Oberlin University)


2021/03/20

2021.3.20 統計数理研究所言語系合同研究発表会「言語と統計2021」で発表

表記の発表会をオンラインでホストし,あわせて,研究発表を行いました。



発表題目:絵描写作文課題におけるL2日本語学習者の動詞使用と習熟度の関係-I-JASのSW1課題データの計量的外観-


統計数理研究所の共同研究は新年度から体制が変わりますが,全国の関連研究者が一堂に会する「言語と統計」イベントは今後も開催していければと考えています。




2021/03/18

2021.3.18 兵庫県立伊丹高等学校校外成果発表会での講話および学校評議会出席

東リいたみホールで開催された 表記の行事で,代表生徒の最終発表を聴講し,講評を行いました。また,続けて開催された学校評議会に評議員として出席しました。




今回は1年生と2年生の代表発表でしたが,コロナ禍の制約の中,よく頑張っておられました。次年度はwith コロナの体制の中で,先生方の指導がさらに充実するとのことで,研究の水準がさらにあがってくることが期待されます。



2021/03/16

2021.3.16 日本語教育方法研究会参加(online)

日本語教育方法研究会(JLEM)の56回研究会に参加しました。オンラインなので,多くの発表を一度に聞けて有益でした。言語学的研究,現場指導型の研究のバランスもよく,1日楽しませていただきました。


コーパス系研究の聴講メモ&予稿集からのメモ(文責:石川)

金・金庭(pp.4-5) 「てしまう」をYNUコーパス(七夕紹介作文)で調査。教科書後半で導入。完了用法+評価用法(後悔・遺憾・困る)。使用量はC/KともJの1/3強。七夕紹介文の5部に分割。Jは否定的内容で使用。C/Kはすべてで満遍なく使用。

宮口(pp.20-21) 様態の「そうだ」はN接続しないとされるがコーパスにはN接続がある。BCCWJでは全30例,人(例:いい人そうだ)(9),気持ち/金持ち(2)。筑波WCでは110例のサンプル調査中,人(48),金持ち(20),余裕(13)。

黄(pp.22-23)介護福祉士国家試験の出題基準中の用語をシードワードとしてSketch Engine上でネット資料から170万語コーパス構築。JaTenTenと比較した場合の特徴語は認知症,経管栄養,アセスメントなど。また,8回分の過去問から6万語のコーパスを構築。LLRによる特徴語は飲水,両脚,エクリンなど。

北村・松本・川村(pp.24-25)NHKの小3以下のこども用番組51時間分を書き起こし。有用度指標(log(出現頻度)×レンジ比率)でランキング。トップは,いる,なる,できる・・・など。

スワンナクート(pp.40-41)I-JASのタイ人とJNSの対話データ(昨日の出来事)における「そして」使用。JJJ6回 vs TTH(中級)53回。TTH使用のうち,7割は不自然(不要な場合,それから・それで・そのあとはetcで置き換えるべき)。タイ語のレウコーとの比較。

張(pp.52-53)NSTが3名(初級・中級・上級)のCLJと対話。会話満足度・印象の良さ・日本語レベルの3観点で発話評価。後にフォローアップインタビュー。インタビューデータをコーディングすると「相手の観察に基づく判断」(文法・語彙・間違い・音声・内容・展開・スムーズさ・表現レベル・コミュニケーション力・ポライトネス・発話量)と「自己内省に基づく判断(≒会話時に自分が行った意識的配慮)」。

内藤・三好(pp.70-71)先行研究に「原因は悪い結果・出来事」に,「理由は良い結果・出来事」にも使うという記述がある。JCK作文コーパス(意見文・説明文・歴史文)で2語の使用を調査。JとKは類似,Cは「原因」を過剰使用。参考資料として日本人の論文コーパスを調べると原因は25/26が否定的,理由は26文中行動理由15回,論拠9回,中立1回で肯定的理由はなし。
➡石川補足:原因=悪については,広辞苑・岩国で記述なし。明解は初版はなかったが2版で追記。ただし,研究社類義語辞典では「原因=外的要因/理由=内的要因」とされる。そもそも,善悪二分法は分類基準としてsolidだろうか? (参考)研究社での用例「学校を休んだ原因はなくても、休む理由の一つくらいはあるはずだ」

向井・中村・近藤(pp.82-83)引用の諸相。A直接引用(例:「」が挙げられている/~としているetc),B末尾出典(例:~~(出典)),C文を超えた引用(例:第1文,第2文(出典))の3タイプ。学習者に日本語論文を読ませ,引用されていると思う箇所にマーキングをさせた。正答率が低かったのはB/C型(とくにB)。BCには研究情報提示・時系列的説明が多い。

向坂(pp.114-115)学術論文では「ので・ため」を使い,「から」(後件に対する理由根拠を《主観的》に説明)は使うべきでないとされる。実際の文系論文10本,理系論文5本を調査。からの頻度(/50万語)は,文系は9/10で50以上に(トップは刑法220・宗教哲学190・国際経済80),理系は1/5,数学のみ50以上。日本文学・宗教哲学・社会学・刑法では,ので<から。からとそれ以外の関係は,formalityではなく主観・客観ととらえるべき。

ファム(pp.126-127)I-JASのSW1のベトナム人の複合動詞使用を調査。NSは~込むが25例なのに対し,ベトナム人は1例のみ。

辻本(pp.132-133)I-JASの中国人のエッセイ作文で「てしまう」を調査。NS/CLJともに残念用法が多く,完了用法は少ない。頻度はNS>CLJ。

2021/03/04

2021.3.4 国立国語研究所 シンポジウム「日常会話コーパス」VI(オンライン)聴講

 国立国語研究所 シンポジウム「日常会話コーパス」VI

日時:2021年3月4日(木)13:00-17:20
開催方法:オンライン
主催:国語研共同研究プロジェクト「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」


前半5つの報告を聴講しました。

13:00-13:15 小磯花絵(国語研究所)「プロジェクトの進捗報告」

13:20-13:50 柏野和佳子(国語研究所) 「『日本語日常会話コーパス』で見直す言葉の用法―『岩波国語辞典』第八版でこう改訂した―」

13:55-14:25 伝康晴(千葉大学) 「『日本語日常会話コーパス』だからできること:独り言とスマホいじりの分析」

14:30-15:00 河野礼実(山梨学院大学)「『日本語日常会話コーパス』における自称使用」

15:05-15:35 居關友里子(国語研究所)「『日本語日常会話コーパス』における談話行為タグの利用可能性」

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聴講メモ(文責:石川)

全体報告(小磯先生)

・6年間プロジェクト(2021年度まで)
・200時間の会話データ公開を目指す
・2016年時点では話し言葉コーパスはCSJ(660H)のみ。
・構築班(小磯),レジスター班(山崎),経年変化班(丸山),相互行為班(伝)の4班で活動
・新規発話言語資源の整理・収集・公開
1)BCCWJ書籍データの会話話者情報(性別・年齢)
2)名大会話コーパス(100H)の中納言公開
3)職場談話コーパス(30H)の中納言公開
4)1947-2012の国会会議録公開
5)昭和話し言葉コーパス(モニター独話17H→2020年独話17H,会話25H)
6)★日常会話コーパス(2018/12モニター50H→2021/2増補+50H)

日常会話コーパスの概要
・個人密着法で185H(首都圏,男女×5世代×4人=40人話者,2~3か月間)
・1人4~5H,合計185H
・15時間不足→増補データ:仕事の会議会合+未成年中高生レクチャー会合+中高生雑談・200H,460会話,延べ1498名,20-60代中心


「日本語日常会話コーパス」で見直す言葉の用法 『岩波国語辞典第8版』でこう改訂した(柏野先生)

・岩国8(2019/11刊行)
・「意味とは,指されるもののことではなく指し方」
・コーパスをはじめ・・・実例重視の姿勢
<自称詞分析と辞書への反応>
・30代男性=俺(ただし,義母には僕,仕事では私を使用)
・中2男子:俺(対友達・先輩・親)>僕(先生)
・中2女子:名前(対友達・親)/わたし(部活先輩・先生)
・日常会話コーパス:俺が3/4,私については発音上「あたし」になっていることが3/4
・辞書への反映
俺・・・旧:乱暴な言い方→新:近年は幅広い年齢で仲間内や目下に対し「ぼく」より「おれ」を使う人が多い
<感動詞など>
・感動詞>応答表現>応答詞/相槌
・笑い声を追加(あはは,いひひ,うふふ,えへへ,おほほ)※コーパスでは笑い声はL表記,音声形態は示されていない(今後公開予定)
・辞書への反映
相槌(だろう(ね),です(ね/よね),でしょ(う/うね),それ(な),たしか(に),(その)とおり)
<応答表現>
・別に,(ズバッと拒絶)無理,(楽しい雰囲気の中での)無理~
・辞書への反映
・別に:(1)特に差し支えないの意味で~いい,と使う/(2)いいえ。
・無理:(2)感動詞的に:不可能であることや同意できないことを表す
・大丈夫:「安心して」(近年,応答に用いることが増えている)おかわり大丈夫ですか?
<その他(未反映)>
・出た!(それそれ,その定番の・・・) 妥当~!
・(質疑)僕,私etc について「男が多い,女が多い」といった情報を辞書に記述することは,ジェンダーステレオタイプの固定化につながるのでは?(遠藤織枝先生)
・(質疑)キャラ語と実使用語の区別表記は?(石川)


「日本語日常会話コーパス」だからできること・独り言とスマホいじりの分析(伝康晴)・ゼミ生卒論調査より
<独り言研究>
・独り言=非展開型,追随型,短応答型,展開型
・テレビを見ながら,「すげえ名前」→家族がそれを受けて談話が展開するなど
<スマホ研究>
・会話中のスマホ使用(マルチアクティビティとして位置づけられる)
・A:他者が見ていない間にスマホに注視する
・B:先にスマホに手だけ伸ばし,時間をおいてからスマホに注視(※会話への関与を維持しつつ,私的な行為に移行していく)
・(質疑)アイトラックキングなどのデータがないなかで目視観察だけで視線研究としてやっていくことは可能だろうか?


「日本語日常会話コーパスにおける自称使用」(河野礼美)
・CEJC2018 124会話,449名分を使用(約60万語)
・自称2640例→それ自身についての使用&引用節内使用をカット→2439例(単2263/複176)
・一人の話者が複数の自称を使い分ける(対妻:おれ,対義母:ぼく/あたし,対妻友人夫婦:ぼく,英会話教室友人:ぼく・わたし)
・代名詞(2212)>親族呼称(138)>名前(89)
・親族呼称(ママはね・・・)と名前の使用=親族家族間のみで見られる
・名前使用は子ども~40代前半まで。
・あたし(784)>おれ(666)>わたし(328)>ぼく(172)自分(48)>うち(27)>わたくし(3)>あたくし・あっし・おりゃ・わし・・・
・あたし 出現数・使用者数ともに1位,女性が大半,男性は4例
・わたし 男女ともに使用されるが女性の方が多い
・女性のあたし:雑談(71%)>用談(22%)>会議(7%)
・女性のわたし:雑談(73%)>用談(21%)>会議(6%) ほぼ同じ
・女性の場合,あたし・わたしに常体敬体差はない。男性のわたし=常体でも使う
・わたくし,あたくし:親しい相手と話しているときにスタイルチェンジとして。キャラ発動。距離を取るわけではない。会話のアクセント。
・俺は圧倒的に常体で。ぼくは敬体での使用も多い。
・会議会合でも俺を使用。院生が教授に俺を使うことも。水曜だったら俺今度行きます~