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2017/03/31

2017.3.31 平成28年度(2016年度)活動記録

 本日で年度末ですので,部局に提出する教員評価用の活動報告をまとめました。

【研究活動への所感】
 平成28年度は,数年越しで取り組んでいた単著書がようやくまとまるなど,自分なりには一定の手ごたえもありましたが,一方で,研究費の不足もあり,かつて行っていた国際研究集会の企画・実施,海外研究者との共同研究などについては,必ずしも思ったように進められませんでした。また,勤務先が「クオータ制」(1学期を2つに割り,8週ごとに試験をして単位を出す)を導入したことで,学期中に開催される関連分野の海外学会への参加が事実上不可能になってしまい,海外との連携が弱まったことも反省点です。
 新年度は,現在手がけている科研の最終年度に当たりますので,学習者のL2産出の校閲データ収集プロジェクトを加速させ,年度内のオンライン公開につなげたいと思います。また,これまでに積み重ねてきたアジア圏学習者コーパスの分析結果を1つにまとめる仕事にも着手したいと考えています。

【教育活動への所感】
 平成28年度は,全学共通教育ベストティーチャー賞に前期・後期の2度にわたって選ばれるなど,これまで試行錯誤を重ねてきた授業の進め方に一定の手ごたえが感じられる年になりました。また,上記の受賞をきっかけに,自身の授業内容を紹介する講演の機会や,授業内容に基づく評価論の論文を書く機会が与えられ,これまでの授業設計を立ち止まって見つめ直すことができました。新年度については,大学英語教育の目的論に改めて立ち返り,目指すべき英語観や言語観について,授業の中で,理論的定義を学生と共有するプロセスをより明示的に行っていきたいと考えています。
 大学院教育については,6名のゼミ生(うち3名は研究生)を指導しましたが,M2生が無事に博士前期課程を修了し,3名の研究生が入学試験に合格することができました。また,M1生は初めての研究発表と論文投稿を行いました。ただ,研究の中身について,老婆心のゆえか,いささか細かく口を出しすぎた反省がありますので,新年度は,一定の距離を保ち,学生の自律的な力を引き出せるように指導していければと思っています。
 なお,本年度は,ゼミOBである2人の高校教諭とそれぞれ一緒に仕事を行う機会がありました。修了生の活躍と成長を間近に見ることができ,教師として幸せな経験でした。


平成28年度(2016年度)教員活動評価報告書

教 育
(全学共通授業科目担当)
年間9コマ担当:(English Communication,English Autonomous)
(大学院授業担当)
年間3コマ担当(※ゼミ除く)(国際文化学研究科):
博士前期課程 外国語教育内容論特殊講義Ⅰ,同演習
博士後期課程 外国語教育内容論特別演習

(修士論文指導)
主査2人指導,副査0人指導

(博士論文指導)
主査1人指導,副査0人指導

(教育活動・教育支援活動)
(個人)
・英語外部試験のスコア分析を行い,報告書を運営委員会に提出した
・English Autonomousのアンケート結果分析を行い,報告書を運営委員会に提出した
・神戸大学英語プレゼン/エッセイコンテストの企画・実施を行った
・図書館主催ライティングセミナーで講演を行った
・センター主催セミナー「講義英語化ワークショップ」で講演を行った
・外国語第1部会主催教員対象オリエンテーションで講演(授業デモ)を行った
(部門)
・部門業務としてセンターのピアレビューを企画・運営した
・部門業務として部門ブログを作成し,維持管理を行った
・部門業務として外部試験説明会を企画・実施した

(授業ピアレビュー,FD活動等)
・部門業務として平成28年度センターピアレビューを企画・運営した
・センターの外国語教育セミナーに参加した
・学外FDとして,大阪大学主催の評価論セミナー(テスト等化法)に参加した

(その他)
・ベストティーチャー賞,2016年度前期・2016年度後期(通算4回目)

研 究
単著書(1)
石川慎一郎『ベーシック応用言語学:L2の習得・処理・学習・教授・評価』ひつじ書房,全351p

共著書(分担執筆含)(2)
Joanna Szerszunowicz et al. (Eds) Intercontinental Dialogue on Phraseology Vol.3: Linguo-cultural Research on Phraseology (University of Bialystok Publishing House, Poland) 全599p(本人担当部:Ch. 6-3 "Japanese Polite Sentence-final Markers: desu, desuyo, desune, and desuyone A corpus-based analysis with a focus on frequency, collocation, and functional grouping" pp. 537-554)

大学英語教育基本語改訂特別委員会(編)『大学英語教育学会基本語リスト新JACET8000:The New JACET List of 8000 Basic Words』桐原書店,全160p(本人担当部:分割不可)

論文(査読あり)(4)
石川 慎一郎 「日本人学習者のL2英語の発話量:母語話者及びアジア圏学習者との比較」『日英言語文化研究』(日英言語文化学会)5, 15-26

Ishikawa Shin'ichiro “Strategy of identity-marking: A learner corpus-based study on use of the 1st person pronouns in L2 English essays/ speeches by Chinese, Japanese, and Korean learners.” Proceedings of The Sociolinguistic Society of Korea 2016 Autumn Conference, 91-106

Ishikawa Shin'ichiro “Use of That-Clauses After Reporting Verbs in Asian Learners’ Speech and Writing:  Frequency, Verb Type, and That-Omission”  In A. Moreno Ortiz & C.Pérez-Hernández (Eds.), EPiC Series in Language and Linguistics, 1 (CILC2016: 8th International Conference on Corpus Linguistics), 202-215

石川 慎一郎 「大学英語教育における形成的評価:統計手法を用いた形成的評価データの特性の解明」『大学教育研究』(神戸大学大学教育推進機構)25, 63-81

論文(査読なし)(7)
石川 慎一郎「アクティブラーニングの二重性:英語教育への示唆」『チャートネットワーク』(数研出版), 79, 1-4 【招待寄稿】

石川 慎一郎「キーコンピテンシーを志向したカリキュラムデザイン」『神戸大学附属小学校研究紀要』4(附属幼稚園研究紀要37号合併号), 170-180

石川 慎一郎「日本語学習者コーパスの教育応用における留意点―『多言語母語の日本語学習者横断コーパス』に見る母語話者L1産出データの安定性検証を中心に―」『言語資源活用ワークショップ2016発表論文集』(国立国語研究所)190-200

石川 慎一郎「多様な外国語学習者の言語使用特性:中国人英語/日本語学習者の過剰・過小使用語彙」『第2回学習者コーパスワークショップ予稿集:学習者コーパス利用の可能性を考える』(国立国語研究所)57-68

石川 慎一郎/田中 泰明「高校英語教育におけるアクティブラーニングの可能性:小学校での英語発音指導体験がL2発音に対する高校生の興味・自信に及ぼす影響」 『統計数理研究所共同研究リポート』373/374, 43-54

石川 慎一郎「X々型畳語の構造・使用・意味特性―「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を用いた計量的調査―」『統計数理研究所共同研究リポート』373/374, 55-74

増見 敦/石川 慎一郎「日本人高校生のL2英語発話の流暢性を高める フィードバックのあり方 ―自己評価・ピア評価・指導者評価の有効性の検証―」『神戸大学国際コミュニケーションセンター論集』13, 76-89

(招待講演・招待発表)(10)
石川 慎一郎/学習者コーパスとSLA研究:L2運用の可視化を目指して/日本第二言語習得学会(J-SLA)初夏研修会/2016/6/19

石川 慎一郎/資質・能力を志向する 神戸大附属幼小連携教育の実化 ―せかい領域,英語科を通して―/神戸大学附属小学校授業研究会/2016/6/24

石川 慎一郎/Strategy of identity-marking: A learner corpus-based study on use of the 1st person pronouns in L2 English essays/ speeches by Chinese, Japanese, and Korean learners2016/11/12/The Sociolinguistic Society of Korea(韓国社会言語学会)2016年度秋季学術大会/2016/11/12

石川 慎一郎/L2作文の指導:学習者コーパスからの知見を教育現場にどう生かすか/広島大学総合科学部「言語と情報プロジェクト」公開講演会/2016/11/17

石川 慎一郎/世界の学習者コーパス研究の現状と日本語学習者コーパスへの期待/中国湖南大学コーパス言語学特別セミナー/2016/11/26

石川 慎一郎/ワークショップ:コーパスから得られた頻度をどう処理するか/中国湖南大学コーパス言語学特別セミナー/2016/11/27

石川 慎一郎/世界の英語学習者コーパス研究の潮流:HowからWhyへ/国立国語研究所第1回学習者コーパスワークショップ/2016/12/3

石川 慎一郎/アクティブラーニングと思考力開発/兵庫県立伊丹高等学校SGH講演会/2017/2/20

石川 慎一郎/ESPと語彙:言語資源からの語彙選定の方法を考える/JACET関西支部ESP研究会/2017/2/25

石川 慎一郎/外国語教育とアクティブラーニング:「深い学び」を目指して~教科書づくり・授業づくりの現場から~/甲南大学言語教授法・カリキュラム開発研究会特別研究会/2017/3/21

(口頭発表)(10)
石川 慎一郎/Critical Thinking Skills, Rote Memory Recall, and L2 English Proficiency: A Case-study on Japanese College Students/中部地区英語教育学会第34回大会/2016/6/26

石川 慎一郎他/シンポジウム 東アジアの言語研究とL2教育研究~コーパスが拓く学際研究の領野~/大学英語教育学会東アジア英語教育研究会 第166回例会/2016/7/16

石川 慎一郎/Grammatical and Contextual Correctness in L2 Writing:  An Analysis of the ICNALE-Proofread,  A Newly Designed Parallel Corpus Including Learners’ Original and Edited Essays  /全国英語教育学会第42回埼玉大会/2016/8/21

石川 慎一郎/3つの作⽂評価法: ばらつきが⼩さく 精度が⾼いのはどれか/統計数理研究所言語系共同研究グループ研修会/2016/8/29

石川 慎一郎他/基本語改訂特別委員会報告  『大学英語教育学会基本語リスト: 新JACET8000』の特徴と活用/大学英語教育学会第55回国際大会/2016/9/1

石川 慎一郎/Use of genitives in  L1 and L2 English discourses/The 7th Brno Conference on linguistics studies in English/2016/9/12

石川 慎一郎/Can a tense/ aspect variety  be an index for L2 learners’ proficiency?  /The 3rd Asia Pacific Corpus Linguistics Conference/2016/10/21

石川 慎一郎/日本語学習者コーパスの教育応用における留意点―『多言語母語の日本語学習者 横断コーパス 』に見る母語話者 L1産出データの安定性検証を中心に―/言語資源活用ワークショップ2016/2017/3/7

石川 慎一郎他/シンポジウム:「多様な外国語学習者の言使用特性-中国人英語 /日本語学習者の過剰・過小使用語彙 -」/国立国語研究所第2回学習者コーパスワークショップ/20173/10

石川 慎一郎/X々型畳語の構造・使用・意味特性  ―「現代日本語書き言葉均衡コーパス」 を用いた計量的調査―/統計数理研究所「言語研究と統計2017」/2017/3/27

(外部資金)
代表・個人分
科学研究費(挑戦的萌芽),アジア圏英語学習者の作文・発話の体系的修訂に基づく大規模校閲コーパスの開発と分析」(15K12909) (2015~2017年度)

統計数理研究所共同研究,統計的アプローチで探る応用言語学と外国語教育のインタフェース(28-共研-1030)

分担分
科学研究費(基盤A)海外連携による日本語学習者コーパスの構築および言語習得と教育への応用研究(代表:迫田久美子)2016~2019年度

(研究活動(大学・機構等の委託研究・調査等)
英語外部試験スコア分析
English Autonomous アンケート設計・結果分析

社会貢献 
(社会貢献,地域貢献等)
(学校関係)
・神戸大学附属幼稚園・小学校 文科省研究開発プロジェクト共同研究員
・神戸大学附属中等教育学校 SGH研究委員長
・私立西大和学園中学校・高校 SGH外部評価委員
・兵庫県教育委員会インスパイア―事業特別講師(兵庫県立西宮北高校,伊丹高校,津名高校,長田高校他)

(学会関係)
大学英語教育学会 学術交流委員会委員長
英語コーパス学会 理事
文体論学会 理事
学術英語学会 アカデミックアドバイザー
日英言語文化学会 評議員

管理運営 
(管理・運営業務)
・コンテンツ研究部門代表
・全学評価・FD委員会委員

(資格の取得状況,有資格者としての貢献等)
該当なし