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2019/11/30

2019.11.30 ICNALE SD V1.0 リリース

3年間かけて構築を進めてきたアジア圏国際英語学習者コーパスICNALEの新モジュールSpoken Dialogue(ICNALE SD)が完成しました。(リリース日は2019.12.1予定)。

http://language.sakura.ne.jp/icnale/

アジア圏10か国・地域の学習者405人と母語話者425人による合計160万語のインタビュー発話データです。欧州圏学習者の対話コーパスLINDSEIと比肩しうる規模になりました。

ICNALE SDは,当研究室が手掛ける4つ目の学習者コーパスですが(作文→校閲作文→独話→対話),作業は難航し,これまでで最も大変でした。シンガポールでのデータ収集が進まず,やむなくマレーシアに調査地を変更する等,紆余曲折もありましたが,3年間で100万語超のデータを収集して公開するという当初のミッションがなんとか達成され,ほっとしています。


上記は,撮影時に協力者にかぶってもらったマスクです。各国に送付し,終了後,返送されてきたので,現在,研究室はちょっと不気味なハローウィーン状態になっています。

年度末までの3か月は,ICNALE SDのデータを使った分析を進めます。


2019.11.30 中国語話者のための日本語教育研究会@埼玉大 参加

中国語話者のための日本語教育研究会 第46回研究会
日時 2019年11月30日(土)14:00~17:20
会場 埼玉大学 教養学部棟 22番教室

聴講した発表

14:00~14:35 劉 璐瑶(埼玉大学大学院生)
「I-JAS コーパスにおける中国人日本語学習者の一人称代名詞の使用について
―会話における「ワタシは」の過剰使用を中心に―」

14:35~15:10 鈴木 靖代(国立国語研究所)
「中国語話者の限定を表す場面における限定副詞「ただ」の過剰使用に関する縦断的分析―とりたて詞「だけ」「しか」の使用傾向との比較から―」

15:10~15:45 高 琳(神戸大学大学院生)
「中国人日本語学習者の「慰め」行為の使用実態について
―日中母語話者も含めた質問紙調査の結果から―」

16:05~16:40 牛尾 佳子(今治明徳短期大学)
「中国語母語話者の副詞に関する使用傾向-YNU書き言葉コーパスを活用して-」

★どれも興味深い発表でした。この研究会は,院生さんの発表が多いので,研究手法や研究設問に関して最近の研究のトレンドがよくわかり,有益です。

★学会で全国の大学に行っていますが,埼玉大に来たのは初めてでした。正門前のロータリーに設置されたオブジェが印象に残ります。このオブジェは,「埼玉大学の学生が、この「地」から「社会」に飛翔していく様を表」すのだそうです(参考)。



2019/11/29

2019.11.29 神戸大学全学共通教育ベストティーチャー賞・同特別表彰授賞式

神戸大学国際教養教育院における2019年度前期の授業実践に関して「神戸大学全学共通教育ベストティーチャー賞」(外国語第Ⅰ部門)に選ばれました。また,今回の受賞で同賞受賞が通算5回目になることから,規定により「ベストティーチャー賞特別表彰受賞者」に同時に選出されました。

11月29日に表彰式があり,「ベストティーチャー賞」および「特別表彰」を授与されました。



私見では,大学の教育というのは,研究と理論に裏付けられていることが重要であると考えます。ELF(非母語話者間交流手段としての英語),CLIL(内容と言語の一体指導),DAL(批判的思考を重視したアクティブラーニング),CL(協働の学び)の4つの理念を統合した教授方針が学生に評価されたことを嬉しく思っています。


2019/11/28

2019.11.28 研究メモ:若き研究者と論文

 神戸大の国際文化学研究科では1月初旬が修士論文・博士論文の締め切りなので,現在,ゼミ生は研究室にこもって論文執筆の真っ最中である。慣れない論文を延々と書くのはつらい作業であろうが,書き続けることで見えてくるものもある。

 ちょっと前の文芸雑誌を読んでいて,気になる文章があったので,引用する。

…一時期,わけがわからないまま書きつづけてみてわたしが得たのは,時間と労力を傾注して何やかやを暗中模索するうちに,案外,小説めいた(※本文は傍点)何かがおのずと形をなしてくるものだといった,楽天的と言えば楽天的な認識であった(中略)たとえば,或る部屋で誰かがテーブルに向かって座っていると書き出してみる。では,それはどういう人物なのか,男なのか女なのか(中略)。作家は言葉を次々に繰り出し,重ね合わせ,人や物の存在の様態を「限定」してゆく。
松浦寿輝(2015)「黄昏客思 第18回 行路峻嶮」『文學界』69(6), 262-269.

 これは散文と韻文を両方手掛ける著者が,散文というのは「醸造酒的」な「雑」が持ち味であるのに対し,韻文は「蒸留の操作に似た何かを施した言語態」であると主張するエッセイの書き出し部なのだが,上の部分だけを取り出して,少し言葉を変えると,論文執筆に悩む若き大学院生に送る良い言葉になりそうである。

わけがわからないまま書きつづけ…時間と労力を傾注して何やかやを暗中模索するうちに,案外,論文めいた何かがおのずと形をなしてくるものだ…たとえば,或る部屋で誰かがテーブルに向かって座っていると書き出してみる。では,それはどういう人物なのか,男なのか女なのか・・。研究者データを次々に繰り出し,重ね合わせ,人や物の存在の様態を「限定」してゆく。

 学問分野によって違いはあろうが,記述的で探索的な分野の研究者であれば,みな一度や二度はこういう経験をしているのではないだろうか。「神が降りて来る」と言い切る蛮勇はないにせよ,黙々と論文を書いていると,何か吾知らぬところから吾知らぬものが「おのずと形をなしてくる」という瞬間が確かに存在する。

 若い大学院生の諸君には,在学中に,「わけがわからないまま書きつづけ」る経験をできるだけ多く積んでもらいたいと思う。執筆,頑張れ!
 

2019/11/09

2019.11.9 語彙・辞書研究会で招待発表

第56回語彙・辞書研究会

日時:2019年11月9日(土) 13:25開始(13:15開場)~17:00
場所:新宿NSビル 3階 南3G会議室

[シンポジウム]「国語辞書の文体・位相・語感の記述について」
基調講演
中村明(早稲田大学名誉教授)「空想の国語辞典—語彙・意味と文体・語感の周辺—」

発題
石川慎一郎(神戸大学)「コーパス調査に基づく「文体・位相・語感」の記述の可能性—日本語学習者のための発信型辞書の開発を見据えて—」

宇野和(お茶の水女子大学大学院生)「接尾辞ミと「味」の特徴—近代からTwitterまでを例に—」

東中竜一郎(NTTメディアインテリジェンス研究所)「対話システムの文体とキャラクタ性」

司会 山崎誠・柏野和佳子(国立国語研究所)

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当日は,英和辞書の作成過程をふまえ,国語辞書開発において,文体・位相・語感をどうあつかうべきか,また,それを支援するためにどのようなコーパスシステムが必要か,といったお話をさせていただきました。

当日のスライドより


2019/11/08

2019.11.8 神戸大学国際文化学研究科「コロキアム3」でゼミ生が発表

神戸大国際文化学研究科では,D3の10月に「予備審査用博士論文」を提出し,講座の全教員が出席する公開試験(コロキアム3)に合格すれば,翌年1月に「博士論文」を提出し,最終試験を受けられるという制度になっています。

D3生にとって学位取得のための大きな関門である「コロキアム3」でゼミ生が発表しました。

2019 年度 神戸大学大学院国際文化学研究科グローバル文化専攻外国語教育系
予備審査用博士論文審査(コロキアムⅢ)

日時:2019 年 11 月 8 日(金)14 時より
会場:国際文化学研究科 D 棟 603 号室

14 時 00 分~14 時 45 分
張 晶鑫 外国語教育コンテンツ論
「現代日本語におけるオノマトペの用法解明と中国人日本語学習者のためのオノマトペ指導に対する提言―コーパス言語学の教育的応用の可能性をめぐって―」
司会:大和 知史教授

*判定会議
14 時 45 分~15 時 15 分 コース会議 (会場:D601 号室)
15 時 15 分~15 時 45 分 講座会議 (会場:D603 号室)

後日,無事に合格となり,ほっとしています。いよいよD論の提出です!




2019/11/07

2019.11.7 兵庫県立長田高等学校特別講義

人文・数理探究類型の1年生の生徒さんを対象に,探究活動のキックアップとして「リサーチメソッド」の講演を行いました。

演題:はじめての探究―社会と私を接合する―
講師:石川慎一郎(神戸大学大学教育推進機構教授)

講演では,探究の理念や,探究を通して社会への接合性を再確認することの重要性をお話させていただきました。

当日のスライドから

また,探究活動を行っていくうえで,文理を分離させず,融合していくことの重要性を強調し,学校に対しては,文理融合チームの結成や,文系チームと理系チームのバディシステムの導入による「相互聞きあい制度」の創設を提案させていただきました。優秀な高校生の皆さんによる3年後の探究発表が楽しみです。