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2019/08/30

2019.8.28-30 JACET 58th International Conference (Nagoya)で研究発表

上記に参加し,2つのシンポジウムで発表を行いました。

8/28 公募シンポジウム
The JACET Wordlist: The Next Step
Shin'ichiro ISHIKAWA (Kobe U.)
Naoki SUGIMORI (Ritsumeikan U.)
Toshihiko UEMURA (U. of Nagasaki, Siebold)

石川は,昨年執筆した2本の論文をベースとして,JACET8000の改訂の歴史や,JACETのこだわってきた「日本人学習者のための語彙」の実相,また,今後の改訂の方向性について報告を行いました。

JACET語彙表の歴史(発表スライドより)

JACET8000シンポ風景

JACET語彙表は,初版から数えて40年近い歴史を持っています。石川はV4からの参画ですが,初めてこの仕事をやるようになってすでに20年近くになります。村田先生・金田先生・望月先生らから受け継いできたこの仕事を次の世代の方に受け渡す必要性を強く感じています。

8/29 中部支部企画シンポジム(招聘)
Deep Learning vs. Deep Active Learning: New Approaches to English Education in a Changing Society

はじめに,豊橋技術科学大学の井佐原均先生が,Deep Learningを中心とする最近の自動翻訳の現状などを報告されました。石川は,その後を受け,人間の語学教師がやれること/やるべきこととして,deep active learningを中核とした大学の英語授業デザインについてお話しました。




2019/08/26

2019.8.21-26 関西大学集中講義

関西大学外国語教育研究科(博士後期)で「コーパス言語学」の集中講義をおこないました。関大は,日本の外国語教育研究のメッカであり,学生さんもみな優秀で,楽しく講義させていただきました。

関大正門前のモニュメント

学生のみなさん,4日間お疲れ様でした。各位の研究の発展を祈ります!

2019/08/17

2019.8.17-18 全国英語教育学会弘前研究大会で研究発表

全国英語教育学会で研究発表を行いました。

2019/08/17(土)午後3:15-3:40  Room 404

Shin ISHIKAWA
"Japanese learners’ grammar control in L2 English writing and two modes of speaking ―A comparison with learners in Taiwan, Thailand, and Indonesia―"


本発表では,ICNALEのインタビューデータと作文データを用い,文法エラー数が各国学習者間でどう変化するのかを実証的に調査しました。


最近,メディア等では,「コミュニカティブ英語指導」の負の影響で,日本人学生の文法力が落ちているのではないか,といったことがしばしば指摘されています。そこで,タスク内容・英語習熟度を統制した上で,日本人学生の発話・作文をアジア圏の他国の学生の発話・作文と比較しました。その結果,日本人の文法誤用数は,他と比べ,とくに多いとは言えない(発話では比較した国の中では最も少ない)ことが計量的に示されました。

今回の研究では,誤用数の推定の道具として,文法チェッカであるGrammarlyを使用しました。分析に先立ち,ICNALEの(人間による)校閲済みデータを用いてGrammarlyの妥当性検証を行ったのですが,管見の限り,こうした検証研究は少ないようですので,今後,この部分は独立させて別の論文にまとめる予定です。


2019/08/11

2019.8.9 GloCALL 2019 で研究発表 (University of Da Nang, Vietnam)

アジア圏のCALL,コーパス系研究者が集まるGloCALLで研究発表を行いました。

石川発表 
Shin'ichiro ISHIKAWA
"Asian Learners’  L2 Oral Production In Monologues and Dialogues"


今回の発表では,開発中のICNALE Spoken Dialogueの特性を生かした研究の在り方を具体的に提言するという点も考慮に入れていました。この点に関して,Robinson (2005)のcognition hypothesisが本研究の良いきっかけとなりました。

Robinsonは発話タスクについては,双方向性(モノローグではなくダイアローグ)や,認知的な複雑性(単純なタスクではなく負荷の高い複雑なタスク)によって学習者の発話のCAF(複雑性・正確性・流暢性)が変化するという仮説を提唱しています。

(1) Task's complexity --> attention on language ---> CAF of outputs
If task’s complexity (i.e. num of elements, deixis, reasoning) increases,
C (syntax & lexis)(+), A(+), F(-)

(2) Task's interactiveness --> joint attention on language ---> CAF of outputs
If task becomes more interactive,
C(-) [due to interruption, asking for clarification, repetition], A(+), F (+)

また,Robinsonの検証研究も行われています。今回の発表では,こうしたSLA系の研究の流れを踏まえ,ICNALE Spoken Dialogueの各タスクを

Conversation(Dialogue/ Simple)
Role-play (Dialogue/ Simple)
Picture Description (Monologue/ Simple)

の3つに分割し,Robinsonの仮説の妥当性を再検証しました。
下記は得られた結果の一部です。


今後,ICNALEも,こうした理論的枠組みをふまえた研究に利用されるコーパスになってほしいと希望しています。