高校1年生の皆さんが出してきたグループ研究のテーマ構想について指導しました。
こちらの学校では,2~4名程度のグループを組み,高2の1年間をかけて研究活動を行います。どのSGH校でもそうですが,理系の研究は標準的な実験デザインに落とし込みさえすれば,比較的出来栄えが揃ってきますが,一方,文系の研究の出来栄えは玉石混交となりがちです。
文系研究を「玉」にするには,テーマ構想の段階でしっかりしたものを作っておくことが不可欠です。逆に言えば,テーマがいまいちだと,後で頑張ってもなかなか最終作品のクオリティが上がってきません。
指導では,「Xについて」型テーマは,広すぎて,リサーチとしては望ましくないことを強調しました。
たとえば,「ポケモンについて」だと,おそらく良い研究に仕上げるのは難しいでしょう。しかし,そこに比較の視点を取り込み,「ポケモンと妖怪ウォッチ」とすると,いくぶん方向性が見えてきます。さらにそこに副題をつけ,
「ポケモンと妖怪ウォッチ:海外で理解されやすいのはどちらか」
「ポケモンと妖怪ウォッチ:コンテンツビジネスに展開しやすいのはどちらか」
「ポケモンと妖怪ウォッチ:幼児の情操教育に有益なのはどちらか」
「ポケモン妖怪ウォッチ:ジェンダーステレオタイプを助長するのはどちらかか」
「ポケモンと妖怪ウォッチ:年齢層別に好まれるのはどちらか」
などとすると,方向性も明確になり,かつ,どのような実験and/or調査をすべきかがクリアになります。また,副題の付け方次第で,ビジネス,心理学,教育学,社会学,倫理学,様々な研究テーマへと発展させられます。
リサーチにおいて,比較というのは強力な武器になります。高校生や大学生に研究活動を行わせるのは,個別の中身についての理解を深めさせるだけでなく,ものの見方や世界の切り取り方を学ばせる,という意味があります。長田生の皆さんの今後の研究の発展が期待されます。