Shin Ishikawa (Kobe Univ. Japan)
A Study on the Relationship between L2 Fluency and L2 Proficiency of Japanese Learners of English
これは,現在構築中のICNALE Spoken Dialogueのデータを使った初めての発表となります。発表準備として,収集済みのデータをすべて発話者ターンごとに切り分け,調査者の発話を除き,学習者だけの発話量だけを検索できるようデータの整形を行いました。
上記ではコード001のインタビューにおける発話の例です。Turnを[T]とすれば教師=調査者の,[S]とすれば学生≒被調査者の発話だけを取り出して分析にかけることができます。
今回の発表では,構築済みのICNALE Spoken Monologueと構築中のICNALE Soken Dialogueの連動分析を行い,日本人学習者をターゲットとして,被験者の受容的英語力(TOEIC等スコア)と流暢性(発話量)の相関が,独話タスクと対話タスクでどう変化するのかを調査しました。
散布図を見ると明らかなように,対話では,独話以上に相関性が棄損され,英語力とは別の何かが発話量を規定している様子がうかがえます。
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今回の学会は,応用言語学分野の第一線の研究者が多く参加していました。中でも印象に残ったのは,拙著『ベーシック応用言語学』の中でも紹介した,L2習得におけるパーソナリティ論で有名なJean=Marc Dewaele教授と,CLILの実践(とくに,トピック選定→メディア選択→タスク設計→実践のCLILピラミッド)で有名なOliver Meyer教授です。こうした先生がたの講演を直接聞けるのも海外学会に参加する大きな魅力です。
笑わせて感心させて・・・圧巻の話術で聴衆を魅了したDewaele教授。
CLILの理論的背景をわかりやすく説明されたMeyer教授。
拙著『ベーシック応用言語学』(ひつじ書房,2017)より2先生にかかる記述の一部です。
拙著5.4章より
■性格とL2習得
では,こうしたテストで診断される個人の性格特性のうち,L2習得に有利なものはどれなのでしょうか。以下,Dewaele(2013)のレビューに基づき,Big Five特性とL2習得の関係について見ていきましょう・・・
拙著8.5.2節より
Meyer(2010)は,ヨーロッパのCLILの授業設計に関して,授業の中核要素として,インプット,タスク,アウトプットの3点を示し,加えて,それらをつなぐ第4の要素として,学習者の間接的支援を行う足場掛け(scaffolding)(8.5.1節)を挙げました。これはコンテントベーストインストラクションの授業にもそのまま当てはまります・・・