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2016/06/28

2016.6.28 兵庫県立津名高校 特別講義

研究室のアウトリーチ事業の一環として,淡路島にある津名高校を訪問しました。2年生の5本のグループ発表を聞き,講評と助言指導を行いました。


生徒発表風景


講演プレゼンの一部


講演では,アカデミックプレゼンテーションの構成に関して,<問いを立てる>ことの重要性を強調しました。そもそも,論じようとする問題がなければ,解決の提案もできず,主張もなくなります。

たとえば,和食をテーマにした場合,こんな和食もある,あんな和食もある,といった漠然とした紹介系のプレゼンでは,主張が見えず,プレゼンとして評価されるのはむつかしいでしょう。

和食について話すのであれば,そこに存在する問題を見つけ出すことが重要です。たとえば,和食は国際的に評価されているにもかかわらず,日本の中高生はまだまだファストフードのほうを好むという現実があります。たとえば,これを「問題」とするのであれば,こうした現状を変え,中高生の食生活における和食の比率を今より飛躍的に向上させるにはどうすればいいか,そこに高校生ならではのリサーチやアイデアを盛り込んで提案を練り上げていけば,一つのプレゼンとして完成度が高まります。

高校生を指導していて思うことは,短期間に爆発的に成長することです。同校は,昨年度も,数か月でみちがえるほどすばらしい最終プレゼンを披露してくれました。次回,年末の再訪問が楽しみです。



明石海峡大橋(復路,神戸方面を望んで)






2016/06/27

2016.6.26 中部地区英語教育学会で研究発表@鈴鹿医療科学大学



表記で研究発表を行いました。


題目:Critical Thinking Skills, Rote Memory Recall, and L2 English Proficiency: A Case-study on Japanese College Students

発表資料より(批判的思考能力スコアは,英語リスニング力L,リーディング力Rとも同一クラスターを構成しない)


この研究では,大学生を被験者として,批判思考能力(推論,演繹,認知)と英語力の関係性を調査しました。両者の相関は.12程度で,一般に考えられているよりも両者の関係が弱いこと,また,批判思考能力よりも,より基盤的認知能力である記憶力のほうが英語力への寄与が大きいことなどがわかりました。

批判的思考力の教授法開発,また,学習者の言語能力における批判的思考力の位置付けの再考は,ここ数年来取り組んでいるテーマですが,このテーマに関わるようになったのは,高校・大学でのプレゼンテーション指導や講評の経験が影響しています。ロジックを組む,思考を展開する,アイデアを批判的に再検討する・・・学術プレゼンに必要な能力を教育科学的にとらえなおすことが目下の課題です。

2016/06/24

2016.6.24 神戸大学附属小学校講演



同校で展開している「せかい領域」(小学校低学年向けの英語入門授業)の実践を拝見し,教員対象の指導講話を行いました。



演題:資質・能力を志向する神戸大附属幼小連携教育の実化―せかい領域,英語科を通して―

発表資料より:文科省の新しい学習目標観と附属で研究中の能力観の関係を整理した図です


神戸大学附属小学校の歴史は,1904年に創立された兵庫県明石女子師範学校附属小学校にさかのぼります。同校の教育には,及川平治先生(1875-1939)の教育理念が色濃く反映されています。


及川先生は「分団式動的教育法」の提唱者として知られます。分団というのは一種のグループのことで,現代で言う個別学習・グループ学習・協調学習の理念を先取りした考え方でした。分団式教育では,子供の能力の多様性(「能力不同」)をふまえつつ,グループを学習の営みの中で柔軟に組み替えていきます。また,教授と学習は統合され,子供の主体的な学び,個別化された学びが最優先されます。及川先生の教育哲学は,「静的教育から動的教育へ」「子供の事実の重視」「真理そのものよりも真理の探究法が教授の対象」といったきわめて現代的な視点を含むもので,今もなお全く古びていません。

私は,各地の教育委員会での講演などで,小学校英語の理念,つまりは小学校英語と中学以降の英語教育を切り分ける視点として,「学習者中心(Learner-centered)」「動機(motivation)」と「事実(reality)」と「活動(activity)」「文化(culture)」の重要性を主張してきました。附属でも同じ話をしたところ,同校副校長の梅本先生から,及川先生の教授理念との類似性についてご示唆をいただき,関係を簡単に整理してみました。確かに重複点が多いです。


● 己自身の判断を 尊重し,直 接経験を真理の基 礎とす.児童の直接経験,児童 自身の判 断に基 づ く教育を施すべ し. 
→ Learner-centered 教師のお仕着せではなく,児童が自分の判断で,自分なりの言語使用の直接経験を持つことが重要。

●人は 自 らの目的を実現しつつある存在物なりと 視て,教育はこの実現を有効な らしめ る方便 なりとす. 
→ Motivation 単なるトレーニングにならぬよう,児童自身の何らかの動機に裏打ちされた個々の目的・目標を達成することを目指すべき。

●児童の独立的活動,自動的仕事を奨励し, 自己の眼を以て視よ 自己の思考を以て考えよ 自己の書葉にて話せ 自己の手にて為せ 
→ Activity 児童が主体的・独立的に活動するべき。児童にとっての「リアル」な思考と目標言語使用が重要。

●為すことに因りて思想生活と実地生活とを連絡す. 
→ Culture 外国語で言語行動を行うだけでなく,その背後にある思想・文化に思いをはせる。

●特に作業を尊重す. 
→ Activity 授業はタスク中心,アクティビティ中心で,学習者の学びの実化を目指す。


2016/06/19

2016.6.19 日本語第2言語習得学会での講演@京都女子大学


表記学会(JSLA)で招待講演を行いました。


演題「学習者コーパスとSLA研究:L2運用の可視化を目指して」




当日は,応用言語学の歴史をふりかえながら,「学習者の再発見」という文脈で学習者コーパス研究の概要を論じました。

発表資料より

2016/06/18

2015.6.18 教科書編集会議(第3回)@京都

「コミュニケーション英語Ⅲ」の編集会議の3回目です。前半の英文検討がほぼ終了しました。アクティブラーニングに資するおもしろい単元が作れたと思っています。

認可された高校検定教科書「Big Dipper English Communication 1」の情報はこちら

2016/06/15

2016.6.15 British Council より授業見学者来学


British CouncilでTeaching Certificateを目指して研修しているALTの方が,当研究室の英語授業の見学においでになりました。
授業は常時公開しています。ご要望があれば,外部の方もご見学いただけます。

英語授業の紹介