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2021/05/20

2021.5.20 3rd New Trends in Foreign Language Teachingで発表

スペインのグラナダ大学のホストによって継続的に実施されている表記学会で研究発表を行いました。

Shin Ishikawa (Kobe Univ.)
L2 English Learners’ Gesture Use in a Picture Description Task: A Study Based on the ICNALE Spoken Dialogue


開会式(※画像加工処理済み)


発表

分析結果の一部

今回の発表では,ICNALE Spoken Dialogueのジェスチャー分析の結果を報告しました。「ボディランゲージの流暢さ」というのは数年前から興味をもっているテーマで,今回は,日中韓の学習者の発話ビデオデータにジェスチャータイプを手作業でコーディングして,口頭発話の量・質との関係性を統計的に探りました。先行研究では,流暢なほどジェスチャーが増えるという見解と,逆に,流暢性が失われたときに(言語能力の不足の補償措置として)ジェスチャーが生じるという見解があります。今回の分析では,ジェスチャータイプによって流暢性との相関はまちまちであること,手を振るジェスチャー(moving one's hand)がしばしば発話を引き出す機能を有し,発話量と相関する可能性が示唆されました(そういえば,上記のわたしの発表ビデオでも機嫌よく話しているときには無意識に手が動いていました・・・)。

発表後の質疑では,「文化の影響」について指摘がありました。これは非常に鋭い指摘で,結局,何らかの差が出た場合に,L1の影響なのか,社会制度(教育制度)の影響なのか,文化や価値観の影響なのかは簡単には結論できず,この点が学習者コーパス研究をサイエンスにしていく上で,分野全体で考えていくべき課題と言えそうです。私見では,とくにアジアの場合,L1 transferは限定的で,culture turansferのほうが大きく影響しているという感触を得ています。


セッション後の質疑応答(※画像加工済み)