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2024/03/19

2024.3.19 兵庫県立加古川東高等学校SSH探究英語発表会に参加

表記に参加し、講話を行いました。探究の指導では多くの高校に出かけていますが、今回の発表は研究水準が抜群に高く、非常に感銘を受けました。英語も立派で、SSHの掲げる理念を非常に良い形で体現された発表だったと思います。

特に印象に残ったのは、同校OB、OGの大学生(大学院生)が研究サポーターとして大きな役割を果たしていたことです。英語質疑における彼らの鋭い質問にも感心しました。

SSHのまさに先端を磨くような加古川東の先駆的な取り組みが、今後、さらに大きな実りをあげるよう大いに期待したいところです。

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加古川は、祖母の生地であり(記憶があいまいですが)、おそらくはそのために、幼児期に、何度か、加古川の鶴林寺(かくりんじ)を訪ねた記憶があります。

ということで、発表会の前に、40年以上?ぶりとなる鶴林寺訪問をしてきました。

境内

花の寺とも

40年前とあまり変わっていない気もしますが、唯一、大きな変化は、昔はなかった、立派な宝物館が出来ていたことです。



宝物館内の説明文を読んでいて、はじめて、鶴林寺で文化財の大規模な盗難事件があったこと、そのため、いまは宝物館に複製品を展示していること、などを知りました(参考)。この問題は、背景が深く、いろいろと考えさせられました。




2024/03/18

2024.3.18 国立国語研究所日常会話コーパスシンポに参加

表記(オンライン)に参加しました。

当日のプログラムはこちら

ポスター発表では、下記の2本が特に勉強になりました。


柏野和佳子(国語研究所)「「要するに」は何を要しているかーCEJCを用いてー」

丸山直子(東京女子大学)「話し言葉の副助詞・係助詞ーCSJ,CEJC,CEJC-childを用いてー」


会話コーパスの場合、物理的なデータ量の制約から、そもそも出てこない語彙や表現も少なくないため、研究テーマをうまく見つけることが一般のコーパス研究以上に大事になります。その意味で、つなぎことばや助詞に注目するアプローチは会話コーパスの良さを引き出す有効な切り口だと思われます。

2024/03/16

2024.3.16 中国語話者のための日本語教育研究会(第55回、関西大学大阪梅田キャンパス)に参加

表記に参加しました。 久々の対面学会ということで、刺激的でした。Zoomでも質問はできるのですが、やはり、直接顔を見て、意見交換ができるのが対面学会の良さだと改めて感じました。

学会のサイト


当日の発表リスト

王凱男(岡山大学大学院)現代若者の自然会話における接続詞の使用実態―性差に着目して―

李欣然(中国・北京外国語大学大学院)学習者の気づき機能が日本語の会話習得に与える影響

浦井智司(早稲田大学大学院)非母語話者教師の考えるオンライン化できない日本語母語教師の役割―コロナ禍に始まったオンライン授業を中心に―

林燕燕(東京外国語大学大学院)中国の日本語教科書における漢語動作名詞を用いた機能動詞結合の提示状況に関する一考察―教科書間の比較を中心に―

劉藝寒(東京都立大学大学院)読解指導を受けた後に中国人日本語学習者による同一文章の要約文に現れた変化―残存内容と表現形式に着目して―

孫守乾(東京都立大学大学院)日本語卒業論文の最終章における構成要素とその指導の考察―指導教員に対する半構造化インタビューから―

目黒裕将(エイム奈良国際アカデミー) 中国の日本語専攻大学生による言語分野の卒業論文テーマ―X大学を対象としたテキストマイニングを用いた卒業論文題目分析―

邢修強(中国・上海外国語大学大学院)中国人日本語学習者の「~的」の誤用分析

劉志毅(早稲田大学大学院)日本語簿記の専門用語の特徴と授業導入の最適な時期について―日本語学の知見を援用した「日本語+α」人材の育成を目指して―

蔡苗苗(大阪大学大学院)ピア・レスポンス活動による学習者間の知識構築過程の分析―中国人日本語学習者に対する縦断的調査をもとに―

崔英才(中国・淮陰師範学院講師)オンラインの接触場面会話におけるスピーチスタイルシフト―中国国内の学習者の習得問題を中心に―

郭テイテイ(関西大学大学院)断り場面における中国語を母語とする日本語学習者の言いさし表現の使用実態―日本語母語話者と比較して

2024/03/14

2024.3.14 研究生の最終発表会と送別会

北京外大大学院からの研究生である蒋钰豪氏が、半年間の日本での研究生活を終えて帰国されることになりました。

コーパスを用いた批判的談話分析という意欲的な課題を遂行され、短期間でしたが、立派な成果を挙げられました。

最終ゼミ
 

蒋钰豪氏による研究プレゼン

送別会(神戸北野)

蒋氏の益々のご活躍と、北京外大と神戸大の研究の絆のさらなる深化を願います。

2024/03/09

2024.3.9 JACET関西支部大会に参加

表記に参加しました。

Chat GPTに関する基調講演(水本篤先生)は非常に啓発的で、いろいろと考えさせらえました。とくに、「Chat GPTは単純な語数計算に弱い」というのは気づかなかった盲点で、このあたり、Chat GPTのアルゴリズムの不思議を感じます。

学会ウェブサイトでの報告ページはこちら。 


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今回の学会ではもう1つ嬉しい出会いがありました。2007年ごろ、神戸大の修士で勉強され、私のゼミにも出てくれていた中国からの留学生が、その後、博士号をとって、日本の大学の教員になっておられました。17年ぶりの再会ですが、会った瞬間、17年前の楽しかったゼミ風景と直結しました。ますますのご活躍を祈ります。

2024/03/04

2023.3.4-5 The 1st Linguistics Studies Conference (LSBC 2024)において研究発表

クウェート大学(クウェートシティ)で開催された表記学会において、研究発表を行いました。

Shin Ishikawa (Kobe U)

Automated Assessment of Asian EFL Learners’ L2 English Speeches and Essays: A Comparison of Lexus-based and Lexicogrammar-based approaches



 GRA v2.1を用いた自動スコア推定の試みです。


Routledgeの本(2023.3)では、高頻度語で推定をやったのですが、高頻度語に代えて、語彙文法タグを使えばどうなるか、というのが今回の関心事だったのですが、やってみると推定精度は上がってきます。

ただ、発表後、あれこれ考えていると、高頻度語とBiberタグはorではなくandでも使えるなという気がしてきました。今後、andで組み込んだ分析をしてみたいと思います。


Laurence Anthony氏、Stephen Gries氏、Robbie Love氏、Tony Berber Sardinha氏ら、世界のコーパス研究の著名な研究者が集っており、はるばるクウェートまで出かけた苦労が報われる、非常に質の高い学会でした。

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お隣のドバイやアブダビには学会で行ったことがありましたが、クウェートは初めてでした。

SF的近未来すぎる? クウェート大学キャンパス


夜のクウェートタワー

2024.3.4 (研究メモ)NiniのMAT(Multidimensional Analysis Tagger)プログラムにおけるTTRの設定について

サンプルファイル

ICNALE_WE_CHN_PTJ0_001_B1_1 


1)Antconcでの語数確認

調整なしTTR=134/272=49.2%


2) MATでTTR基準272でやってみる

ぴったり272で処理


3) MATのカウント結果

トークン語数はおそらく句読点などの処理の関係で10語減っているが、
TTRは137のまま。
☛ MATのTTRは比率値ではなく、実際にはタイプ数

4) MATでTTR基準を思い切って10にしてみる(この場合、最初の10語だけを数えるのか?)

TTRは10となった。

ちなみに該当10語はこちら。Now many parents and teachers disagree that college students have。重複はないのでトークンもタイプも10。


5) MATでTTR基準を実際の272語より長い400語にしてみる。

137のまま。


結論
1)TTRは誤解のあるかきかたで、「別途指定したサンプル長におけるタイプ数」というのが正しい

2)MATが聞いている「TTR指定」というのは、タイプ(異なり語数)を数えるための、テキスト冒頭からの分析対象長の指定、と理解したほうがよい。

3)たとえば、100語、1000語、1万語のテキストを同時分析する場合であれば、最小の100語にそろえておくのが正解。もし1万語に設定すると、100語や1000語ファイルは基本条件で圧倒的に不利になってしまう。しかも基準値は出力のエクセルに記録されないので、分析者もチェックの手段がなくなる。ただし、100語に設定した場合、たとえば500人の作文をマージした群データなどを見ているのであれば、冒頭の1人目の作文(の一部)しか見ていないことになる。