このブログを検索

2021/03/25

2021.3.25 英語コーパス学会ESPSIG 2020年度研究会で発表

下記のイベントに参加しました。

名古屋工業大学石川有香科研公開シンポジウム & 英語コーパス学会ESP-SIG研究会
「ジャンルとしての工学英語ー理論と実践ー」

日時:2021年03月25日13時ー17時 
Zoom開催
参加費:無料
主催:名古屋工業大学石川有香科研「工学系日本人大学院生の博士論文英語化推進ツールEJETの開発」(19H01281)
共催:英語コーパス学会ESP研究会


<第1部:科研プロジェクト報告>
13:00-13:05
石川 有香 科研プロジェクトの概要

13:05-13:20  
石川 有香 名古屋工業大学教授 
「工学系大学院生のための英語論文要旨執筆支援教材の開発に向けて」

13:20-13:35
竹井 智子 京都工芸繊維大学准教授 
「理工系大学院生・学部生向けの英語リーディング授業の実践報告」

13:35-13:50 
野口 ジュディー 神戸学院大学名誉教授 
Disseminating evidence-based research as science news

14:10-14:25 
福永 淳 九州工業大学准教授 
「メタ認知的アプローチによる自律型リスニングタスクを実践する」

14:25-14:40 
松田 真希子 金沢大学教授 
「日本語工学テクストのコロケーションの英語化―コーパスベースでの検証―」


<第2部:コーパス研究・ESP研究>
14:55-15:10
石井 達也 神戸市立工業高等専門学校 ・河本 健 広島大学 
「ムーブコーパスとLexical Priming:基礎医学英語論文のIntroductionにおけるhoweverを例に」

15:10-15:25 
松田 節郎 松江工業高等専門学校 准教授
「TEDトークのトランスクリプトに対するMove分析」

15:25-15:40
石川慎一郎 神戸大学教授
「多次元分析法(MD法)による学術論文の言語特性分析―コンピュータ工学系論文とコンピュータ援用言語学習系論文の比較―」


16:00-16:15 
照井 雅子 近畿大学准教授 
「ジャンル概念の獲得を目指した理工系大学生への授業実践の一例」

16:15-16:30 
小野 義正 理研創発物性科学研究センター 
「理工系研究者向け英語論文の書き方-日本人英語の特徴と改善策-」


2021/03/22

2021.3.22 神戸大学米谷淳教授最終講義

表記にオンラインで参加しました。

先生の過去の研究歴を伺う中で,米谷先生が三隅二不二(みすみ じゅうじ)先生を恩師とされていたことを知り,大変興味深く感じました。

三隅二不二先生はリーダーシップ論の大家で,リーダーの要件には,集団維持(M)と,課題達成(P)という2つの軸があり,この組み合わせでリーダーのタイプが決まるという考え方です。私は,自分のかかわっている教材で,三隅理論を紹介したことがあり,米谷先生を介した学縁を思いました。

同じ部局に所属する同僚として,また先輩教員として,長くご指導いただいた米谷先生のご健康とますますの研究のご進展をお祈りします。(早く,私も最終講義にたどり着きたい・・・)


2021/03/21

2021.3.21 英語コーパス学会語彙SIG 2020年度研究会参加

表記のイベントに参加し,以下の各発表を聴講しました。

詳細はこちら


・「対応分析による形容詞のレベル別の特徴抽出―日本語読解教材を例に―」
劉婧怡(九州大学大学院地球社会統合科学府)


・「日本語読解教材コーパスにおける「自分」のレベル別の特徴分析―BCCWJ との対照を中心に―」
靳夢瑩(九州大学大学院地球社会統合科学府)


・「スピーキングコーパスを用いた英語学習者の発達指標の特定」
阿部真理子(中央大学), 小林雄一郎(日本大学), 近藤悠介(早稲田大学), 藤原康弘(名城大学)


・「屈折語(ポーランド語)の意味単位-予備的調査-」
肥沼実穂,佐野洋(東京外国語大学 言語文化学部)


・L2 vocabulary form-recall and the saliency of usage
Martin, Jeffrey (J. F. Oberlin University)


2021/03/20

2021.3.20 統計数理研究所言語系合同研究発表会「言語と統計2021」で発表

表記の発表会をオンラインでホストし,あわせて,研究発表を行いました。



発表題目:絵描写作文課題におけるL2日本語学習者の動詞使用と習熟度の関係-I-JASのSW1課題データの計量的外観-


統計数理研究所の共同研究は新年度から体制が変わりますが,全国の関連研究者が一堂に会する「言語と統計」イベントは今後も開催していければと考えています。




2021/03/18

2021.3.18 兵庫県立伊丹高等学校校外成果発表会での講話および学校評議会出席

東リいたみホールで開催された 表記の行事で,代表生徒の最終発表を聴講し,講評を行いました。また,続けて開催された学校評議会に評議員として出席しました。




今回は1年生と2年生の代表発表でしたが,コロナ禍の制約の中,よく頑張っておられました。次年度はwith コロナの体制の中で,先生方の指導がさらに充実するとのことで,研究の水準がさらにあがってくることが期待されます。



2021/03/16

2021.3.16 日本語教育方法研究会参加(online)

日本語教育方法研究会(JLEM)の56回研究会に参加しました。オンラインなので,多くの発表を一度に聞けて有益でした。言語学的研究,現場指導型の研究のバランスもよく,1日楽しませていただきました。


コーパス系研究の聴講メモ&予稿集からのメモ(文責:石川)

金・金庭(pp.4-5) 「てしまう」をYNUコーパス(七夕紹介作文)で調査。教科書後半で導入。完了用法+評価用法(後悔・遺憾・困る)。使用量はC/KともJの1/3強。七夕紹介文の5部に分割。Jは否定的内容で使用。C/Kはすべてで満遍なく使用。

宮口(pp.20-21) 様態の「そうだ」はN接続しないとされるがコーパスにはN接続がある。BCCWJでは全30例,人(例:いい人そうだ)(9),気持ち/金持ち(2)。筑波WCでは110例のサンプル調査中,人(48),金持ち(20),余裕(13)。

黄(pp.22-23)介護福祉士国家試験の出題基準中の用語をシードワードとしてSketch Engine上でネット資料から170万語コーパス構築。JaTenTenと比較した場合の特徴語は認知症,経管栄養,アセスメントなど。また,8回分の過去問から6万語のコーパスを構築。LLRによる特徴語は飲水,両脚,エクリンなど。

北村・松本・川村(pp.24-25)NHKの小3以下のこども用番組51時間分を書き起こし。有用度指標(log(出現頻度)×レンジ比率)でランキング。トップは,いる,なる,できる・・・など。

スワンナクート(pp.40-41)I-JASのタイ人とJNSの対話データ(昨日の出来事)における「そして」使用。JJJ6回 vs TTH(中級)53回。TTH使用のうち,7割は不自然(不要な場合,それから・それで・そのあとはetcで置き換えるべき)。タイ語のレウコーとの比較。

張(pp.52-53)NSTが3名(初級・中級・上級)のCLJと対話。会話満足度・印象の良さ・日本語レベルの3観点で発話評価。後にフォローアップインタビュー。インタビューデータをコーディングすると「相手の観察に基づく判断」(文法・語彙・間違い・音声・内容・展開・スムーズさ・表現レベル・コミュニケーション力・ポライトネス・発話量)と「自己内省に基づく判断(≒会話時に自分が行った意識的配慮)」。

内藤・三好(pp.70-71)先行研究に「原因は悪い結果・出来事」に,「理由は良い結果・出来事」にも使うという記述がある。JCK作文コーパス(意見文・説明文・歴史文)で2語の使用を調査。JとKは類似,Cは「原因」を過剰使用。参考資料として日本人の論文コーパスを調べると原因は25/26が否定的,理由は26文中行動理由15回,論拠9回,中立1回で肯定的理由はなし。
➡石川補足:原因=悪については,広辞苑・岩国で記述なし。明解は初版はなかったが2版で追記。ただし,研究社類義語辞典では「原因=外的要因/理由=内的要因」とされる。そもそも,善悪二分法は分類基準としてsolidだろうか? (参考)研究社での用例「学校を休んだ原因はなくても、休む理由の一つくらいはあるはずだ」

向井・中村・近藤(pp.82-83)引用の諸相。A直接引用(例:「」が挙げられている/~としているetc),B末尾出典(例:~~(出典)),C文を超えた引用(例:第1文,第2文(出典))の3タイプ。学習者に日本語論文を読ませ,引用されていると思う箇所にマーキングをさせた。正答率が低かったのはB/C型(とくにB)。BCには研究情報提示・時系列的説明が多い。

向坂(pp.114-115)学術論文では「ので・ため」を使い,「から」(後件に対する理由根拠を《主観的》に説明)は使うべきでないとされる。実際の文系論文10本,理系論文5本を調査。からの頻度(/50万語)は,文系は9/10で50以上に(トップは刑法220・宗教哲学190・国際経済80),理系は1/5,数学のみ50以上。日本文学・宗教哲学・社会学・刑法では,ので<から。からとそれ以外の関係は,formalityではなく主観・客観ととらえるべき。

ファム(pp.126-127)I-JASのSW1のベトナム人の複合動詞使用を調査。NSは~込むが25例なのに対し,ベトナム人は1例のみ。

辻本(pp.132-133)I-JASの中国人のエッセイ作文で「てしまう」を調査。NS/CLJともに残念用法が多く,完了用法は少ない。頻度はNS>CLJ。

2021/03/04

2021.3.4 国立国語研究所 シンポジウム「日常会話コーパス」VI(オンライン)聴講

 国立国語研究所 シンポジウム「日常会話コーパス」VI

日時:2021年3月4日(木)13:00-17:20
開催方法:オンライン
主催:国語研共同研究プロジェクト「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」


前半5つの報告を聴講しました。

13:00-13:15 小磯花絵(国語研究所)「プロジェクトの進捗報告」

13:20-13:50 柏野和佳子(国語研究所) 「『日本語日常会話コーパス』で見直す言葉の用法―『岩波国語辞典』第八版でこう改訂した―」

13:55-14:25 伝康晴(千葉大学) 「『日本語日常会話コーパス』だからできること:独り言とスマホいじりの分析」

14:30-15:00 河野礼実(山梨学院大学)「『日本語日常会話コーパス』における自称使用」

15:05-15:35 居關友里子(国語研究所)「『日本語日常会話コーパス』における談話行為タグの利用可能性」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

聴講メモ(文責:石川)

全体報告(小磯先生)

・6年間プロジェクト(2021年度まで)
・200時間の会話データ公開を目指す
・2016年時点では話し言葉コーパスはCSJ(660H)のみ。
・構築班(小磯),レジスター班(山崎),経年変化班(丸山),相互行為班(伝)の4班で活動
・新規発話言語資源の整理・収集・公開
1)BCCWJ書籍データの会話話者情報(性別・年齢)
2)名大会話コーパス(100H)の中納言公開
3)職場談話コーパス(30H)の中納言公開
4)1947-2012の国会会議録公開
5)昭和話し言葉コーパス(モニター独話17H→2020年独話17H,会話25H)
6)★日常会話コーパス(2018/12モニター50H→2021/2増補+50H)

日常会話コーパスの概要
・個人密着法で185H(首都圏,男女×5世代×4人=40人話者,2~3か月間)
・1人4~5H,合計185H
・15時間不足→増補データ:仕事の会議会合+未成年中高生レクチャー会合+中高生雑談・200H,460会話,延べ1498名,20-60代中心


「日本語日常会話コーパス」で見直す言葉の用法 『岩波国語辞典第8版』でこう改訂した(柏野先生)

・岩国8(2019/11刊行)
・「意味とは,指されるもののことではなく指し方」
・コーパスをはじめ・・・実例重視の姿勢
<自称詞分析と辞書への反応>
・30代男性=俺(ただし,義母には僕,仕事では私を使用)
・中2男子:俺(対友達・先輩・親)>僕(先生)
・中2女子:名前(対友達・親)/わたし(部活先輩・先生)
・日常会話コーパス:俺が3/4,私については発音上「あたし」になっていることが3/4
・辞書への反映
俺・・・旧:乱暴な言い方→新:近年は幅広い年齢で仲間内や目下に対し「ぼく」より「おれ」を使う人が多い
<感動詞など>
・感動詞>応答表現>応答詞/相槌
・笑い声を追加(あはは,いひひ,うふふ,えへへ,おほほ)※コーパスでは笑い声はL表記,音声形態は示されていない(今後公開予定)
・辞書への反映
相槌(だろう(ね),です(ね/よね),でしょ(う/うね),それ(な),たしか(に),(その)とおり)
<応答表現>
・別に,(ズバッと拒絶)無理,(楽しい雰囲気の中での)無理~
・辞書への反映
・別に:(1)特に差し支えないの意味で~いい,と使う/(2)いいえ。
・無理:(2)感動詞的に:不可能であることや同意できないことを表す
・大丈夫:「安心して」(近年,応答に用いることが増えている)おかわり大丈夫ですか?
<その他(未反映)>
・出た!(それそれ,その定番の・・・) 妥当~!
・(質疑)僕,私etc について「男が多い,女が多い」といった情報を辞書に記述することは,ジェンダーステレオタイプの固定化につながるのでは?(遠藤織枝先生)
・(質疑)キャラ語と実使用語の区別表記は?(石川)


「日本語日常会話コーパス」だからできること・独り言とスマホいじりの分析(伝康晴)・ゼミ生卒論調査より
<独り言研究>
・独り言=非展開型,追随型,短応答型,展開型
・テレビを見ながら,「すげえ名前」→家族がそれを受けて談話が展開するなど
<スマホ研究>
・会話中のスマホ使用(マルチアクティビティとして位置づけられる)
・A:他者が見ていない間にスマホに注視する
・B:先にスマホに手だけ伸ばし,時間をおいてからスマホに注視(※会話への関与を維持しつつ,私的な行為に移行していく)
・(質疑)アイトラックキングなどのデータがないなかで目視観察だけで視線研究としてやっていくことは可能だろうか?


「日本語日常会話コーパスにおける自称使用」(河野礼美)
・CEJC2018 124会話,449名分を使用(約60万語)
・自称2640例→それ自身についての使用&引用節内使用をカット→2439例(単2263/複176)
・一人の話者が複数の自称を使い分ける(対妻:おれ,対義母:ぼく/あたし,対妻友人夫婦:ぼく,英会話教室友人:ぼく・わたし)
・代名詞(2212)>親族呼称(138)>名前(89)
・親族呼称(ママはね・・・)と名前の使用=親族家族間のみで見られる
・名前使用は子ども~40代前半まで。
・あたし(784)>おれ(666)>わたし(328)>ぼく(172)自分(48)>うち(27)>わたくし(3)>あたくし・あっし・おりゃ・わし・・・
・あたし 出現数・使用者数ともに1位,女性が大半,男性は4例
・わたし 男女ともに使用されるが女性の方が多い
・女性のあたし:雑談(71%)>用談(22%)>会議(7%)
・女性のわたし:雑談(73%)>用談(21%)>会議(6%) ほぼ同じ
・女性の場合,あたし・わたしに常体敬体差はない。男性のわたし=常体でも使う
・わたくし,あたくし:親しい相手と話しているときにスタイルチェンジとして。キャラ発動。距離を取るわけではない。会話のアクセント。
・俺は圧倒的に常体で。ぼくは敬体での使用も多い。
・会議会合でも俺を使用。院生が教授に俺を使うことも。水曜だったら俺今度行きます~