このブログを検索

2019/03/20

2019.3.20-21 統計数理研究所シンポジム「言語研究と統計2019」

表記のシンポジムを実施しました。当日は,日本語・英語・中国語・手話等,各種の言語の研究およに教育に関して,30本近い研究発表がありました。また,2日間で延べ100名近い参加があり,盛況でした。

■「言語研究と統計2019」(セミナーシリーズ Vol.14)
統計数理研究所言語系共同研究グループ合同発表会 言語研究と統計2019
●日時:2019年3月20日~21日
●会場:統計数理研究所(東京都立川市緑町 10-3)
●オーガナイザー 石川慎一郎(神戸大),指導講話 前田忠彦(統計数理研究所)
●参加費 無料。当日の参加者には各グループ研究誌を進呈。
●参加申し込み こちら
●研究班の紹介
・大阪班(リポートNo. 424):大阪大学田畑智司氏を代表とするグループ。文学テクストの計量的文体研究等を主に行う。
・九州版(リポートNo. 413):北九州市立大学植田正暢氏を代表とするグループ。計量的観点からの認知言語学的研究を主に行う。
・神戸班(リポートNo. 414):神戸大学石川慎一郎氏を代表とするグループ。教育的観点からの計量的テキスト分析等を主に行う。
・名古屋班(リポートNo. 425):名古屋工業大学石川有香氏を代表とするグループ。教育的観点からの工学ESP研究等を主に行う。
・藤枝班(リポートNo. 421):大阪医科大学藤枝美穂氏を代表とするグループ。教育的観点からの医療ESP研究などを主に行う。

なお,石川は以下の内容で研究発表を行いました。

Day 1
1100 石川慎一郎 神戸大学【神戸班:リポートNo. 414】
「現代の男女大学生による文末詞の使用―「BTSJ日本語自然会話コーパス」所収の会話データの計量分析―」
★先行研究で男性文末詞ないし女性文末詞とされる18種の語をサンプルとして,38名の現代大学生がそれらをどのように使用しているか調査した。男女を群化して比較するだけでなく,話者の個体差を考慮に入れる新しい分析手法を試みた結果,(1)独占的ないし優先的に女性が使用している文末詞は4種(「かしら」「わよ」「のよ」「のね」)で,男性が使用するのは5種(「だぜ」「(だ)よな」「ぞ」「だろ」「ぜ」)であること,(2)文末詞使用の点で男女が二分されるわけではなく,男性文末詞を多用する一部の男性と,その他の男性および女性が融合した中立性の対立が見られること,(3)性差に加えて陳述における焦点の置き方(話者側に焦点を置いた断言・独白か,聴者側に焦点を置いた共感醸成型の発話か)が文末詞を区分するもう1つの軸になっていることなどが明らかになった。

また,石川ゼミからは下記の発表がありました。

Day 1
1340 王思閎 神戸大学大学院生【神戸班:リポートNo. 414】
「BCCWJの12ジャンル頻度に基づく重要オノマトペの抽出―頻度を含む9要因を加味した重要度の推定―」
★本研究では,現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)の12ジャンルを用いて,頻度のみを手がかりとした重要オノマトペリストと,頻度および分布度,母語話者親密度,文字数,語義数と特殊モーラの有無を加味した重要オノマトペリストを取り上げ,特殊学習目的用の重要オノマトペリストとの違いについて調査を行った。

1620 張晶鑫 神戸大学大学院生【神戸班:リポートNo. 414】
「多義的オノマトペの語義記述法の再考-ぐっ(と)を例に- 」
★本研究はコーパスデータと統計手法を使って多義的オノマトペの辞書記述がどのように簡易化できるかを試みるものである。

Day 2
930 肖錦蓮 神戸大学大学院生研究生【神戸班:リポートNo. 414】
「現代日本語における常体と敬体の計量的分析:ジャンル差と年代差に注目して」
★本研究では,現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)を使用し,現代日本語における2つの文体を,(1)年代差は常体・敬体の使用状況にどのように影響しているのか,(2)2000年代に限った場合,ジャンル差は常体・敬体の使用状況にどのように影響しているのか,(3)年代差とジャンル差を組み合わせた場合,常体・敬体の使用状況についてどのような傾向が見られるかという3つの観点から調べた。

1030 鄧 琪 神戸大学大学院生【神戸班:リポートNo. 414】
「新聞における外来語出現状況の考察:学習者の外来語学習のための補充教材開発という視点から」
★本研究は,学習者のための補充教材を開発するため,新聞を例として,新聞の各内容ジャンルにおける外来語の出現状況を調査する。具体的には,(1)新聞を読むうえで,必要となる外来語はどの程度存在し,またどのようなものがあるか,(2)新聞を使って外来語学習を行う場合,学習者レベルに適切なジャンルはどれであるか,(3)新聞の各ジャンルを特徴づける外来語にはどのようなものがあるか,という3点から研究を行う。

1120 中西淳 神戸大学大学院生【神戸班:リポートNo. 414】
「国際比較の観点から見る日本人英語学習者の前置詞使用傾向」
★本研究では,日本人英語学習者が前置詞を使用する際の問題点を解明するため,日本人英語学習者のエッセイを英語母語話者や他の英語学習者のエッセイと比較した。また,それに並行して,習熟度が上昇すればその問題は解決するかについても調査するため,英語学習者をCEFRレベル別に分類した上で,習熟度の上昇により英語母語話者に近接していくかについても観察した。

ゼミ生の発表風景

2019/03/17

2019.3.16-17 中国語話者のための日本語教育研究会(中国成都理工大)で基調講演

中国語話者のための日本語教育研究会第44回研究会で講演を行いました。

日時:2019 年3月 16 日(土)・3月 17 日(日)
会場:成都理工大学 第3教学楼 3104 講堂
(四川省成都市成華区二仙橋東三路 1 号)

第一日 (3月 16 日(土))
9:15 特別講演Ⅰ
 張 麟声 (本研究会顧問・大阪府立大学)
「使い分け研究の盲点と母語干渉が「共作する」誤用について」
9:50 特別講演 II
 杉村 泰 (本研究会代表幹事・名古屋大学)
 「許容度と選択率の2つの観点からみる中国語話者のための日本語文法研究」
11:00 段 文晶(北京外国語大学大学院生)
「中国内日本語学習者の無標識可能表現の習得に関する研究」
11:35 陳 蒙(関西大学大学院生)
「「叙述」における無情物が「~てくれる」の動作主になっている
 文について-使用実態から日本語教育への示唆-」
13:40 盧 文静(首都大学東京大学院生)
「日本語と広東語の対照研究―入声音のある漢字について―」
14:15 劉 永亮(首都大学東京)
「中国語母語話者における長音の知覚に与える影響」
14:50 松田 真希子(金沢大学)、吉田 夏也(国立国語研究所)、金村 久美(名
古屋経済大学)
「中国人日本語学習者の日本語発話リズム-PVI を用いた分析」
SESSION 3(司会:陳 建明)
15:40 楊 紅(重慶三峡学院)
「形容詞の連用修飾用法の指導案――中国語母語話者を対象に」
16:15 倪 雲(金沢大学大学院生)
「中国人日本語学習者の日本語の取り立て助詞の使用状況について
 ―「だけ」と「しか」を中心に―」
16:50 馮 雁鴻(神戸大学大学院生)
「中国語話者による推量のダロウ使用実態―学習者書き言葉コーパスを使用して」
17:30 基調講演 I
中俣 尚己(京都教育大学)
「学習者コーパスを使った研究の方法―誤用観察を越えて―」

第二日 (3月 17 日(日))
9:30 金 勝(首都大学東京大学院生)
「中国人大学生同士の初対面会話における「自慢」の考察」
10:05 冉 露芸(一橋大学大学院生)
「アスペクト・テンスにおける言語教育のための日中対照研究
 -中国語のテンス表現の影響を中心に-」
10:45 基調講演 II
石川 慎一郎(神戸大学)
 「言葉を数えてわかることとわからないこと―新しい日本語教育のためにコーパスができること―」
11:45 閉会式





2019/03/14

2019.3.14 神戸大学附属中等教育学校KP5視察・講話

神戸大附属の探究活動(Kobe Project:KP)の中間報告会に出席し,ポスター発表を視察し,講話を行いました。

探究活動をやっている学校ではグループ研究が多いですが,附属は個人研究が特徴です。今年も力作の研究がたくさんありました。


ポスター発表も回を重ねるにつれてクオリティがあがっており,今後の研究完成が楽しみです。

2019/03/13

2019.3.13 ゼミ送別会@リッツカールトン大阪

石川ゼミでは,M2の隋诗霖さんが無事に課程を修了して,帰国することとなりました。研究生時代から3年間,本当によく頑張ってくれました。

この間の苦労をねぎらいたく,ゼミで送別会を行いました。

石川ゼミ2019 隋诗霖さん送別会

いつも明るくゼミを盛り上げてくれた隋さん。益々の活躍をゼミ生一同祈っています!

修了記念の寄せ書き


2019/03/09

2019.3.9 JACET関西支部役員会参加

表記に参加しました。

JACET関西支部2018年度第3回支部役員会
日時:2019.3.9
会場:関西学院大学大阪キャンパス

関西支部では2020年に国際大会(同志社大学)を引き受けます。京都での開催は,海外からの参加者にとって,大きな魅力になると思いますが,京都は宿不足なども深刻で,これからの準備は大変になりそうです。

2019/03/05

2019.3.5 尼崎市立日新中学校アクティブラーニング研修会

表記で講演を行いました。また,今回は,講演だけでなく,若手の先生がたとゆっくりお話しをさせていただき,現場にALを落とし込んでいくうえでの課題や対策について意見交換を行いました。

講演者 石川慎一郎
演題「思考の振り幅を広げる授業~スキルとしての思考~」

当日視察した授業はSNS等の危険性を教えるというもので,工夫された良い授業でしたが,「SNSの危険性を教える」という教師の狙いが前面に出てしまうと,生徒は期待されたようなコメントを繰りかえすだけで,思考の振り幅は思ったように広がりません。こうした場合,賛否が対立するようなトピック(いわゆるジレンマトピック)をうまく活用していくことが有効と言えるでしょう。

当日の講演スライドより

2019/03/02

2019.3.2 JACET中部支部春季定例研究会出席

表記に出席し,講演・発表を聴講しました。

JACET中部支部2018年度春期定例研究会
 2019年3月2日(土)
14:00-17:15
名古屋工業大学
11号館2階 1129講義室

14:00 開会挨拶
14:05 講演
「グローバル時代のインド英語」
榎木園鉄也(中京大学)

15:15 研究会研究発表(待遇表現研究会)
「英語インタラクションの指導の試み-成果と課題」

16:10 講演
「インターアクション能力を育てる会話教育のための理論と実践」
中井陽子(東京外国語大学)

インド英語の諸相をめぐる榎木園教授の講演,また,インタラクション指導の可能性をさぐるシンポジウムから,非常に多くのことを学ばせていただきました。充実した内容の研究会でした。

榎木園教授のご講演後に