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2017/09/14

2017.9.14 兵庫県立伊丹高等学校SGH生徒向け講演

表記の学校において,1年生全員(約200人)に講話を行いました。

講話の前半は,英語で,論理思考の開発について話し,後半は,同校が進めるSGHの研究のテーマ設定の改善について,日本語で話しました。

講演風景


研究活動では,何らかの社会的問題に対し,調査を経て,何らかの解決を示すわけですが,「問題」が緩いと,同様に緩い「解決」しか出てきません。

 研究指導では,解決(提案)の面ばかりが強調されますが,より重要なのは,その提案できちんと解決できるように問題の側を細分化し,クリアに定義すること,と言えるでしょう。キーコンピテンシーなどの議論において,問題解決能力と問題発見能力がしばしば同時に論じられるのもこのためです。

 こうした指導は,従来の日本の教科指導でほぼ完全に脱落していた部分です。今後,SGHなどの実験的取り組みが終終わったあと,こうした「論理思考」の指導を日本の中等教育にどう根付かせていくか,逃げずに議論する時期が来ていると感じます。

2017/09/13

2017.9.13 尼崎市立武庫東中学校公開授業指導

表記で授業視察と講話を行いました。

視察したのは,アクティブラーニングを志向する理科と社会の授業で,いずれも「マナボード」をうまく使い,グループでの討議を深め,クラスで共有させていました。

http://www.izumi-cosmo.co.jp/manaboard/

こうした取り組みは大学などでも導入できるかもしれません。

教員向け講演の様子





2017/09/12

2017. 9. 12/ 15 検定教科書音声教材作成

大阪梅田のスタジオにおいて,高校用英語検定教科書Big Dipper English Communication(Book 2)のための音声教材録音を行いました。


教科書サイト
https://www.chart.co.jp/goods/kyokasho/30kyokasho/eigo/data/dipper-com.pdf


収録では,特に新出単語について,教科書が規定する標準発音と実際の母語話者ナレーターの発音が一致しているかどうかを確認します。

 たとえば,OKについて言うと,アクセントをオウとケイの両方に均等に置く場合,前に置く場合,後ろに置く場合などがあります。

ジーニアス英和

研究社英和中

 もちろんアクセントは文脈によって変化するわけですが,辞書の第1記述を仮に標準発音とするならば,ジーニアスに従えば均等アクセントで,英和中に従えば後ろアクセントで収録することになります。母語話者はある種の感覚というかフィーリングで発音しますので,様々な齟齬が出てきます。収録ではこうした細かいチェックをすべての語について行いますので,ナレーターにとっても,音声監修者にとっても,精神的に消耗する作業です。

 もう1つ,よくある問題が,強勢の置かれた母音の「ア」の音です。

ジーニアス英和

研究社英和中

 この場合,ジーニアスに従うと「カーンサントレイト」のような発音に,研究社に従うと,「カンサ(ス)ントレイト」のような音になります。たしかに非常に強い強勢を置くとそんな音になるのですが,ナレーターは,単語を単独で発音する場合,そこまで強勢をはっきり意識しません。そのため,結果として,「"コ"ンセントレイト」(コに少しアクセント)のような音になります。この場合,どこまで辞書の基準に合わせて取り直すのか,非常に悩ましい判断です。






2017/09/09

2017.9.7-9 GloCALL国際大会において研究発表@ブルネイ工科大学

学会:PCBET/GloCALL Joint International Conference 2017
テーマ:"Towards a Communicative Learning Environment"
日時:2017/9/7-9

発表演題:
Shin'ichiro ISHIKAWA (Kobe Univ)
How Learners' L2 English Essays are Edited: A Study Based on the ICNALE-Proofread






発表では,9月に公開されたICNALE-Edited Essays(ICNALE Proofreadより改称)を紹介し,アジア圏ELF学習者の受容的語彙サイズ,および,英語作文における語および3語連鎖の使用状況について量的に分析した結果を報告しました。


2017/09/05

2017.9.5 国立国語研究所言語資源活用ワークショップ2017で発表

表記研究会で口頭発表を行いました。

http://pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/lrw2017.html

石川慎一郎(神戸大)
学習者コーパス研究における標本数の問題
A Reconsideration of the Needed Sample Size in Learner Corpus Studies


学習者コーパスでは小さなnで議論を行う場合が多いですが,発表では,はたしてどの程度のnであれば信頼できるのか,逆に言えば,手元のnはどの程度の標本的妥当性を持っているのか,学習者コーパス研究者間での一定の共通理解が醸成される必要性について言及しました。なお,同日付で刊行された予稿集には同じ題目の論文(英文)が掲載されました。

2017/09/04

2017.9.4-5 統計数理研究所言語系共同研究グループ夏季合同研究発表会@大阪大言語文化研究科

表記で,ゼミメンバーが発表しました。(※石川は9/4のみの参加)

石川慎一郎(神戸大)総語数と総人数:コーパス研究における標本数問題の再考

中西淳 (神戸大学大学院) 日本人英語学習者のライティングに見る意味ネット ワークの発達-in, on, atに注目して-

張晶鑫 (神戸大学大学院) 高頻度オノマトペの音韻的特徴

隋詩霖 (神戸大学大学院) 化粧品広告言語の特性分析:日本語教材開発の観点か ら

鄧琪 (神戸大学大学院) 日本語外来語語尾長音表記の省略現象に対する一考察 ―大規模コーパスを用いた計量的調査をふまえて―



2017/09/01

2017.9.1 兵庫県立伊丹高校SGH校内発表会・運営指導委員会

表記の会に出席しました。

前半は「海外に日本の食材を生かした新メニューを提案する」というテーマに沿った生徒さんの修了発表を拝聴し,審査を行いました。

※生徒さんの発表風景(匿名化処理済み)

後半の運営指導委員会では,同校の取り組みに関して,特に評価できる点として,1)企業との連携,2)地域の重視,3)基盤理念(「三方よし」)の明確化の3点を挙げました。また,今後の課題として,1)論理性の強化,3)グローバル人としての対人配慮力の強化,3)調査研究力の強化を指摘させていただきました。

当日他の委員とも話したのですが,食は身近な良いテーマに見えて,きちんと扱うのはなかなか難しいものです。

たとえば,アメリカなりヨーロッパなりから,「日本人は魚を食っているから背が伸びない。肉をもっと食え」と言われると,多くの日本人は眉を顰めるでしょう。海外に日本食を紹介するときに,自分が無意識のうちに同じことをしていないか,ちょっと立ち止まって考えてみるセンスが「グローバル」ということなのかもしれません。