提出済みの博士基礎論文をふまえ、コロキアム1(D1からD2への進級審査のための発表会)において、ゼミ生の陳迪さんが発表しました。
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提出済みの博士基礎論文をふまえ、コロキアム1(D1からD2への進級審査のための発表会)において、ゼミ生の陳迪さんが発表しました。
津名高校で2年生の皆さんの英語の発表を伺い、講話を行いました。
夏以来の再会でしたが、この間、どのグループも発表内容をしっかり練られ、立派な発表になっていて大いに感心しました。
下記に参加しました。
2023年1月25日(水)17:00-19:00
2022年度基盤研究B 第2回研究会
「言語変異に基づくフランス語の対照中間言語分析」
はじめに(川口裕司)
1. IPCFプロジェクト(大河原香穂)
2. 音声・音韻(伊藤玲子)
3. スピーキング能力、語彙アスペクト(清宮貴雅)
4. 人称代名詞、不定代名詞(鈴木拓真)
5. 談話標識(國末薫)
6. 語彙(時田朋子)
コメンテーター:Jacques Durand (トゥールーズ大学名誉教授 & IUF)
当日はDurand先生の助言もあり、大変盛り上がりました。日本人研究者とフランス人研究者が(おそらくは私のようにフランス語がわからない聴衆でも理解できるよう)自然に英語でやりとりをしておられるところを聞いて、あ、ELFというのはこういうのを言うんだな、と改めて感じた一日でした。
「コーパス(DDL)& ITを利用した日本語教育-日本語教育のこれまでとこれから-」をテーマにした表記の会議に参加し、下記の講演を聴講しました。
横溝紳一郎先生 (西南学院大学 教授)
「日本語教師の役割:(学習者のために)できること・すべきこと・やってはいけないこと」
横溝先生のお話をライブで伺うのは初めてでしたが、聞く者全てにとって元気の出るご講演で、先生の言語教育への熱い思いに大いに感化された1日でした。ちょっとくたびれてきた自分には必要な刺激だったなと振り返りつつ。
表記で1年生の皆さんに、来年度から始まる探究についての導入講演を行いました。甲北のある鈴蘭台はこの時期厳寒なので、何重にも防寒して臨みましたが、当日は春を思わせる拍子抜けの温かさでした。 まだ1月なのに、ちょっと気候がおかしい今日この頃です。
甲北では、1年生の間に身近なテーマを与えて探究を経験させるカリキュラムになっています。こうした場合、テーマを段階的に絞っていくと、思考が働き始めます。広すぎるテーマでは、生徒にやさしいようでいて厳しい。
探究テーマのブレイクダウンの例
地域の活性化
→ 地域の公園の活性化
→ 学校の横にある**公園の活性化
→ 学校の横にある**公園の1日来場者数を年間平均5人増やす
→ 学校の横にある**公園の1日来場者数を、予算2万円で、年間平均5人増やす
英和辞典のトップランナー「ジーニアス英和」の6版が昨年末に出ました(出版社サイト)。早速、電子版で入手し、あれこれと眺めています。
新語が入ったとか、COCAを使って頻度を再調査したとか、新たにCEFR-Jのランク情報がついたとか、「つなぎ語」というラベルが新設されたとか、出版社サイトで紹介されるような目立つ変更も多々あるのですが、より興味深いのは、地味な部分で、用語や用例が丁寧に検証され、必要に応じて差し替えられていることです。
下記は "word"の項目の冒頭の記載(変更のあった場所のみ記載)です。
5版
語, 単語, (伝達の手段としての)言葉《関連形容詞 verbal》
I don’t know a word of Latin. ラテン語のラの字も知らない
6版
語, 単語, (伝達の手段としての)言葉《外来形容詞verbal》
What does this word mean? この単語はどういう意味ですか
5版の関連形容詞という用語が6版では外来形容詞に変更されています。関連(外来)形容詞というのは、ふつう、「ラテン語・ギリシア語からの外来語による形容詞形」を指します。word/verbalのほか、fall/autumnalとかcity/urbanなどもこの例です。
ただ、この現象(というか語彙間の関係性)を指す専門用語は知る限りでは必ずしも確立しておらず、ジーニアスも、かつて3版の時点では外来形容詞という用語を使っていたようです(参考:電子辞書所収の3版の概要説明より)。その後、ジーニアスの5版(そのほかリーダーズの3版も)では「関連形容詞」という用語となっていたのが、今回、再度、外来形容詞に戻ったようです。
一般読者としては、関連形容詞と言われると、いささか趣旨が曖昧ですので(たとえば、longについて言うと、反義語のshortなども「関連」形容詞と言えそうです)、外来形容詞という用語のほうが直観的に理解しやすいように思われます。これなども、ユーザー目線での修正と言えるでしょう。
また、用例の差し替えも行われています。辞書執筆者はともすれば、ちょっと気の利いた珍しい表現を用例に出したくなるものですが、ユーザーのニーズを考えると、当たり前だけれどなかなか出てこない自然な表現を用例に出す方がメリットが大きいのは自明です。
全体に関して、目立つ部分だけでなく、目立たない部分についても、丁寧な検証作業が入っていることをうかがわせる6版でした。関係者の皆様のご苦労に敬意を表しつつ。