このブログを検索

2020/12/20

2020.12.20 国立国語研究所国際シンポジウム 「第11回 日本語実用言語学国際会議 (ICPLJ11) 」参加

下記の学会に参加しました。

国立国語研究所国際シンポジウム 「第11回 日本語実用言語学国際会議 (ICPLJ11) 」



(聴講した発表)

矢吹ソウ典子,奥野由紀子
日本語学習者による事態把握の主観性―I-JAS のストーリー描写における情意・評価表現の分析―

砂川有里子
ストーリー展開部での接続表現:日本語学習者コーパスを用いた中国語母語話者と韓国語母語話者の比較研究

韋恩琦
三者会話場面におけるJSL 中国人日本語学習者のコミュニケーション・ストラテジー使用に関する一考察

加藤恵梨,澤田浩子,清水由貴子,森篤嗣
「日本語話題別会話コーパス:J-TOCC」の構築 中俣尚己,太田陽子,

Yamamoto, Kazuaki,Asakawa, Shoko Kato, Rintaro
How broad should be the vocabulary knowledge to write effectively practice nursing records?

井上直美
「~てしかるべき」の意味・機能について

張正,福田翔,望月圭子
中国語母語話者による日本語数量詞の産出と母語の影響:日本語・中国語双方向学習者コーパスからの知見

百瀬みのり
日本語テキストにおけるフィラー的用法の形式の見直し

中俣尚己
自然会話コーパスを元にした話題別語彙表の作成

2020/12/18

2020.12.18 京都光華中学校・高等学校研究授業打ち合わせ

京都光華中学校・高等学校研究打ち合わせ

日時:2020年12月18日(金) 1600~1730
会場:Zoom

 秋から関わっている光華の先生方と,Deep Active Leraningを主眼に据えた2月の研究授業の教案検討会を実施しました。

 国語・数学・理科・社会・英語・保体の各教科から意欲的なDAL授業のアイデアが届き,DALの観点からどのような工夫が考えられるか,議論を行いました。

 DALの授業では,子どもをのせることも大事ですが,それ以上に,教科固有のものの見方をはぐくむはっきりした授業目的と,それと整合したタスクデザインが求められます。


2020/12/14

2020.12.14 人事担当者向けTOEIC説明会聴講

 人事担当者向けTOEIC説明会「リモートワーク時代のTOEIC Program活用法」を受講しました(online)。


◎聴講メモ

・IP(団体用)のみオンライン方式を提供
・90問,1時間(※紙版の約半分)
・点数は同じ。紙版との対応は確認済み。
・CAT(computer adaptive test)化。共通問題25問+レベル別(初級/中上級)25問
・Zoomによる試験官サービスも提供(社員証と本人の顔を映しての本人確認+AIを用いた試験中のモニタリング:他人が映り込まないか,離席がないか,視点に不審な動きはないか)
・AIによる不正検出結果を主催者に送付。主催者は録画済み動画を確認して判断


◎担当者への照会のメモ

・大学のIPでも使用可
・試験費用は変わらず
・性善説基本なので生協主催は不可。大学主催で生協に実務をやらせるのはOK.
・紙版との相関係数(r)などのverificationの詳細データの提供は行っていない(ETSに要望としてはあげている)
・初級の得点が上がる可能性(※長すぎて投げ出してしまった学生などが最後までやりきれる)


※まだ詳細が不明なところもありますが,本学含め,大学では使用価値が多そうという印象でした。

2020/12/12

2020.12.12 日英言語文化学会に参加

下記に参加しました。


 日英言語文化学会 第75回定例研究会

日時      2020年12月12日(土) 14:30-17:00
場所  Zoomミーティング

内容
14:30-14:40  会長挨拶

14:40-15:40  講演 1
「ジェンダーと英語教育」
石川有香(名古屋工業大学教授)

15:50-16:50  講演 2    
「日本の英語教育を問い直す8つの異論―英語教師50年の不安とその解決の試み―」
森住衛(大阪大学・桜美林大学名誉教授)

16:50-17:00  諸連絡
17:10-  Zoom上での懇親会

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

聴講メモ(講演2:森住先生レジュメ参照)

・「8 つの異論」の全体像
(1) 英語教育目的論:「人格形成と恒久平和」を学習指導要領に明記
(2) 複数外国語導入論: 英語必修+1 外国語の必修選択
(3) 認知的指導論: 生徒の英語に関する「なぜ」に解答
(4) 「読む・考える」活動中心論: 「読む」技能が授業の中心
(5) 英語教育題材論: 英語教材の題材内容の重要性
(6) 日本人名ローマ字表記論: 氏名の表記を<姓+名>に
(7) 英語教育国際補助語論: 日本英語をはじめ Englishes への注視
(8) 英語教育反国際論: 運命的な反国際性と意図的な反国際性

※8つの論点はどれも重要なもので日本の英語教育の関係者がモノを考える際の指針となる。このうち,とくに(6)については様々な考え方があり,いろいろと悩ましい。私自身は森住先生とほぼ同じ立場を出発点としているつもりだが,結果的に,先生のお立場とは逆に,名・姓を意図的に選択している。この問題には正解がないが,こうしたことを常時自分でも考え続け,また自分の学生にも考え続けさせる教師でありたいと思いを新たにした。

2020.12.12 学習者コーパス(I-JAS)研究会で発表

学習者コーパス(I-JAS)研究会

■ 日時:12月12日(土)10:00~12:00
■ 形態:オンライン研究会(zoom)
■ 発表内容
1)「言語研究における有意性検定の今後の動向を考える」 
   石川慎一郎先生
2)「異なった学習環境における日本語使用の正確さと複雑さ」
   迫田久美子・細井陽子先生


石川は,最近考えている学習者コーパス向けの検定の問題について話させていただきました。  たとえば,中国語母語の日本語学習者のテキストデータが100本あるとして,これを総体データとして処理すれば,単語Xの頻度は1つしか取り出せませんから,検定にかけようとすると比率検定のデザインに持ち込むほかありません。しかし,個々のテキストファイルからXの頻度を取り出せば平均値の差の検定がかけられます。一般的に考えれば,後者のほうがデータの性質をよく見ているということになりそうです。また,母語話者に比べ,学習者のL2運用のブレ幅は通例より大きいと考えられますので,基本的には個々のデータを見ることが大事だと言えるでしょう。

ダミーのデータを使った比較(発表スライドより)

その後,迫田先生・細井先生のご発表を聴講しました。大変精緻で面白い分析で勉強になりました。教室環境vs自然環境というのは(日本の)英語教育研究ではほとんど論じられない視点なのでその意味でも興味があります。

(自分メモ)
・海外教室(海外で教室環境で学ぶ),国内教室(日本に留学して教室環境で学ぶ),国内自然(日本に主として仕事のためにやってきて生活の中で日本語を身に着ける)のST発話のCAFを比較
・正確性(誤用のないtユニット比率):国内自然が優位 (※教室学習者は文法への意識自体は高く,表現を言い換えたり言い直したりする「モニター行動」が見られる)
・複雑性(tユニット内の節の数):国内自然が優位(※とくに従属節・引用節が多い)
・流暢性(節の総数):3群で差がない
・一般に自然環境学習者はFは高いがCとAは低いというのが定説なので,それと乖離する結果が得られたことは興味深い。
・ただしCAFは指標次第という側面があるのでそのへんも興味深い。



2020/12/05

2020.12.5 日本語OPI研究会で講演

 OPIとはOral Proficiency Interviewの略で,第2言語の口頭発表力を診断するインタビューのことを言います。日本語OPI研究会は,日本語のOPIテスターや研究者の方たちの会で,招かれて,講演を行いました。

 私自身は,英語のOPIのテスタートレーニングを受けた経験があり,また,自分自身が(被験者として)米国のACTFLのテストを受けたこともあります。こうした経験をふまえ,構築中のICNALE Spoken Dialogueにおいて,独自のインタビュープロトコルを設計しました。

 当日は,インタビュー型コーパスである日本語のI-JASと,英語のICNALE SDを取り上げ,それらの構築手法や,そこからわかることについてお話しました。

日本語OPI研究会第104回定例研究会(online)

講師:石川慎一郎

演題:学習者コーパスを用いた発話研究の展望:L2英語学習者とL2日本語学習者を事例として

コーパス開発の観点から興味深いのは,
各種の学習者コーパスのOPIのプロトコルの差異です




2020/12/01

2020.12.1 兵庫県立津名高等学校で特別講義

 兵庫県教育委員会インスパイアー事業に基づき,津名高校へ参りました。当日は,淡路地域の問題解決についての生徒さんの発表を伺い,その後,講話を行いました。

 パソナ社の本社機能の淡路移転など,淡路では新しい動きが出ており,生徒さんの提案も面白く伺った次第です。

生徒さん発表風景


演題:新しい淡路の創造


生徒発表の共通課題の指摘


 全体講評としては,やはり自身が示した問題と,自信が示す提案が整合しているかどうか,というところがカギです。問題が大きすぎると,提案が抽象的なものになったり,提案が示された問題の一部しか解決しなかったりするなど,論理的な齟齬が出てきます。提案がまとまった段階で,再度,論理的整合性をチェックすると,さらに良い発表になるでしょう。津名の生徒さんのますますの頑張りに大きな期待を寄せています。

同校ウェブサイトの記事より(転載)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 津名に行くときは,舞子からバスに乗りますが,往路(昼間)には美しい橋の姿を,帰路(夕方)には圧巻の夕焼けが楽しめます。とくに夕焼けはすばらしく,speechlessです。