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2020/12/20

2020.12.20 国立国語研究所国際シンポジウム 「第11回 日本語実用言語学国際会議 (ICPLJ11) 」参加

下記の学会に参加しました。

国立国語研究所国際シンポジウム 「第11回 日本語実用言語学国際会議 (ICPLJ11) 」



(聴講した発表)

矢吹ソウ典子,奥野由紀子
日本語学習者による事態把握の主観性―I-JAS のストーリー描写における情意・評価表現の分析―

砂川有里子
ストーリー展開部での接続表現:日本語学習者コーパスを用いた中国語母語話者と韓国語母語話者の比較研究

韋恩琦
三者会話場面におけるJSL 中国人日本語学習者のコミュニケーション・ストラテジー使用に関する一考察

加藤恵梨,澤田浩子,清水由貴子,森篤嗣
「日本語話題別会話コーパス:J-TOCC」の構築 中俣尚己,太田陽子,

Yamamoto, Kazuaki,Asakawa, Shoko Kato, Rintaro
How broad should be the vocabulary knowledge to write effectively practice nursing records?

井上直美
「~てしかるべき」の意味・機能について

張正,福田翔,望月圭子
中国語母語話者による日本語数量詞の産出と母語の影響:日本語・中国語双方向学習者コーパスからの知見

百瀬みのり
日本語テキストにおけるフィラー的用法の形式の見直し

中俣尚己
自然会話コーパスを元にした話題別語彙表の作成

2020/12/18

2020.12.18 京都光華中学校・高等学校研究授業打ち合わせ

京都光華中学校・高等学校研究打ち合わせ

日時:2020年12月18日(金) 1600~1730
会場:Zoom

 秋から関わっている光華の先生方と,Deep Active Leraningを主眼に据えた2月の研究授業の教案検討会を実施しました。

 国語・数学・理科・社会・英語・保体の各教科から意欲的なDAL授業のアイデアが届き,DALの観点からどのような工夫が考えられるか,議論を行いました。

 DALの授業では,子どもをのせることも大事ですが,それ以上に,教科固有のものの見方をはぐくむはっきりした授業目的と,それと整合したタスクデザインが求められます。


2020/12/14

2020.12.14 人事担当者向けTOEIC説明会聴講

 人事担当者向けTOEIC説明会「リモートワーク時代のTOEIC Program活用法」を受講しました(online)。


◎聴講メモ

・IP(団体用)のみオンライン方式を提供
・90問,1時間(※紙版の約半分)
・点数は同じ。紙版との対応は確認済み。
・CAT(computer adaptive test)化。共通問題25問+レベル別(初級/中上級)25問
・Zoomによる試験官サービスも提供(社員証と本人の顔を映しての本人確認+AIを用いた試験中のモニタリング:他人が映り込まないか,離席がないか,視点に不審な動きはないか)
・AIによる不正検出結果を主催者に送付。主催者は録画済み動画を確認して判断


◎担当者への照会のメモ

・大学のIPでも使用可
・試験費用は変わらず
・性善説基本なので生協主催は不可。大学主催で生協に実務をやらせるのはOK.
・紙版との相関係数(r)などのverificationの詳細データの提供は行っていない(ETSに要望としてはあげている)
・初級の得点が上がる可能性(※長すぎて投げ出してしまった学生などが最後までやりきれる)


※まだ詳細が不明なところもありますが,本学含め,大学では使用価値が多そうという印象でした。

2020/12/12

2020.12.12 日英言語文化学会に参加

下記に参加しました。


 日英言語文化学会 第75回定例研究会

日時      2020年12月12日(土) 14:30-17:00
場所  Zoomミーティング

内容
14:30-14:40  会長挨拶

14:40-15:40  講演 1
「ジェンダーと英語教育」
石川有香(名古屋工業大学教授)

15:50-16:50  講演 2    
「日本の英語教育を問い直す8つの異論―英語教師50年の不安とその解決の試み―」
森住衛(大阪大学・桜美林大学名誉教授)

16:50-17:00  諸連絡
17:10-  Zoom上での懇親会

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聴講メモ(講演2:森住先生レジュメ参照)

・「8 つの異論」の全体像
(1) 英語教育目的論:「人格形成と恒久平和」を学習指導要領に明記
(2) 複数外国語導入論: 英語必修+1 外国語の必修選択
(3) 認知的指導論: 生徒の英語に関する「なぜ」に解答
(4) 「読む・考える」活動中心論: 「読む」技能が授業の中心
(5) 英語教育題材論: 英語教材の題材内容の重要性
(6) 日本人名ローマ字表記論: 氏名の表記を<姓+名>に
(7) 英語教育国際補助語論: 日本英語をはじめ Englishes への注視
(8) 英語教育反国際論: 運命的な反国際性と意図的な反国際性

※8つの論点はどれも重要なもので日本の英語教育の関係者がモノを考える際の指針となる。このうち,とくに(6)については様々な考え方があり,いろいろと悩ましい。私自身は森住先生とほぼ同じ立場を出発点としているつもりだが,結果的に,先生のお立場とは逆に,名・姓を意図的に選択している。この問題には正解がないが,こうしたことを常時自分でも考え続け,また自分の学生にも考え続けさせる教師でありたいと思いを新たにした。

2020.12.12 学習者コーパス(I-JAS)研究会で発表

学習者コーパス(I-JAS)研究会

■ 日時:12月12日(土)10:00~12:00
■ 形態:オンライン研究会(zoom)
■ 発表内容
1)「言語研究における有意性検定の今後の動向を考える」 
   石川慎一郎先生
2)「異なった学習環境における日本語使用の正確さと複雑さ」
   迫田久美子・細井陽子先生


石川は,最近考えている学習者コーパス向けの検定の問題について話させていただきました。  たとえば,中国語母語の日本語学習者のテキストデータが100本あるとして,これを総体データとして処理すれば,単語Xの頻度は1つしか取り出せませんから,検定にかけようとすると比率検定のデザインに持ち込むほかありません。しかし,個々のテキストファイルからXの頻度を取り出せば平均値の差の検定がかけられます。一般的に考えれば,後者のほうがデータの性質をよく見ているということになりそうです。また,母語話者に比べ,学習者のL2運用のブレ幅は通例より大きいと考えられますので,基本的には個々のデータを見ることが大事だと言えるでしょう。

ダミーのデータを使った比較(発表スライドより)

その後,迫田先生・細井先生のご発表を聴講しました。大変精緻で面白い分析で勉強になりました。教室環境vs自然環境というのは(日本の)英語教育研究ではほとんど論じられない視点なのでその意味でも興味があります。

(自分メモ)
・海外教室(海外で教室環境で学ぶ),国内教室(日本に留学して教室環境で学ぶ),国内自然(日本に主として仕事のためにやってきて生活の中で日本語を身に着ける)のST発話のCAFを比較
・正確性(誤用のないtユニット比率):国内自然が優位 (※教室学習者は文法への意識自体は高く,表現を言い換えたり言い直したりする「モニター行動」が見られる)
・複雑性(tユニット内の節の数):国内自然が優位(※とくに従属節・引用節が多い)
・流暢性(節の総数):3群で差がない
・一般に自然環境学習者はFは高いがCとAは低いというのが定説なので,それと乖離する結果が得られたことは興味深い。
・ただしCAFは指標次第という側面があるのでそのへんも興味深い。



2020/12/05

2020.12.5 日本語OPI研究会で講演

 OPIとはOral Proficiency Interviewの略で,第2言語の口頭発表力を診断するインタビューのことを言います。日本語OPI研究会は,日本語のOPIテスターや研究者の方たちの会で,招かれて,講演を行いました。

 私自身は,英語のOPIのテスタートレーニングを受けた経験があり,また,自分自身が(被験者として)米国のACTFLのテストを受けたこともあります。こうした経験をふまえ,構築中のICNALE Spoken Dialogueにおいて,独自のインタビュープロトコルを設計しました。

 当日は,インタビュー型コーパスである日本語のI-JASと,英語のICNALE SDを取り上げ,それらの構築手法や,そこからわかることについてお話しました。

日本語OPI研究会第104回定例研究会(online)

講師:石川慎一郎

演題:学習者コーパスを用いた発話研究の展望:L2英語学習者とL2日本語学習者を事例として

コーパス開発の観点から興味深いのは,
各種の学習者コーパスのOPIのプロトコルの差異です




2020/12/01

2020.12.1 兵庫県立津名高等学校で特別講義

 兵庫県教育委員会インスパイアー事業に基づき,津名高校へ参りました。当日は,淡路地域の問題解決についての生徒さんの発表を伺い,その後,講話を行いました。

 パソナ社の本社機能の淡路移転など,淡路では新しい動きが出ており,生徒さんの提案も面白く伺った次第です。

生徒さん発表風景


演題:新しい淡路の創造


生徒発表の共通課題の指摘


 全体講評としては,やはり自身が示した問題と,自信が示す提案が整合しているかどうか,というところがカギです。問題が大きすぎると,提案が抽象的なものになったり,提案が示された問題の一部しか解決しなかったりするなど,論理的な齟齬が出てきます。提案がまとまった段階で,再度,論理的整合性をチェックすると,さらに良い発表になるでしょう。津名の生徒さんのますますの頑張りに大きな期待を寄せています。

同校ウェブサイトの記事より(転載)

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 津名に行くときは,舞子からバスに乗りますが,往路(昼間)には美しい橋の姿を,帰路(夕方)には圧巻の夕焼けが楽しめます。とくに夕焼けはすばらしく,speechlessです。










2020/11/27

2020.11.27 大学院集団指導でゼミ生が発表

 国際文化学研究科外国語教育論外国語教育コンテンツ論コースの集団指導で,下記のゼミ生が発表を行いました。


神戸大学国際文化学研究科外国語教育論講座外国語教育コンテンツ論コース
第4回(オンライン)集団指導プログラム


日時:2020年11月27日(金)10:00~11:22
形式:zoomによるオンライン形式(質疑応答のみ)(D=8min, M=5min)


ゼミ生発表
10:05~10:10 
佐々木恭子「現代英語におけるbecause使用」

10:10~10:15 
堀家利沙「高大連携を志向した日本人英語学習者の句動詞の発達パタンのモデル化―学習者コーパスを使った研究―」

10:15~10:20 
安美彦「日本語書き言葉における「形容詞+条件節」の使用―「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を用いた調査をふまえ」

10:30~10:35 
石田麻衣子「小学生のための基本名詞コロケーションリスト」

10:48~11:06 
鄧琪「学習段階の変化が日本語学習者の外来語使用に及ぼす影響「日本語学習者書き言葉コーパス」を用いた縦断調査」

11:14~11:22 
肖锦莲「作文に見る学習者のヘッジ使用―文脈調査に基づいて―」

2020/11/24

2020.11.24 京都光華中学校・高等学校での講話(2)

 11/19に引き続き,京都光華にお邪魔し,3つの授業を拝見して,講話を行いました。

 DALの授業の成功のコツはいくつかありますが,全体活動(教師による説明)と個人活動(班活動)の量的比率をうまくコントロールすることは大事なポイントの1つです。

 たとえば,資料解析系の社会授業であれば,授業の冒頭で資料を渡し,その後,いきなり班任せにしてしまうと,教師がさせたい「深い思考」に入る前の段階でひっかかってしまう生徒も出てきます。

 生徒に深く考えさせることを重視するDeep Active Learningの授業といえども,思考には準備(前提の理解,立場の理解,ミッションの理解)が必要です。この部分は,教師主導の説明でしっかりと入れていくべきでしょう。

 スキーで言えば,生徒に雪山を滑降させようとするなら,教師が「滑ってこい」というだけでは不十分です。個々の生徒のウェアやシューズの状態を点検し,手を引いて,リフト乗り場まで連れて行き,リフトチェアまで全員を確実に座らせる,ここまで確認してはじめて「楽しんで滑ってこい」と言えるわけです。授業設計の際に,タスク導入についてこうした方針をとっておけば,生徒の理解度は向上し,タスクにもより主体的に関与できるでしょう。


資料解析系の社会科授業の設計例(試案)


2020/11/19

2020.11.19 京都光華中学校・高等学校で講話

 この秋から,京都光華中高における授業改革(アクティブラーニング型の授業の設計と普及)に継続的に関わっており,今回は,4つの授業を視察させていただき,その後,講話を行いました。

 DAL(Deep Active Learning)の授業では,パフォーマンス課題を設定することが多いですが,その際,リアルなシナリオを作り込んで,タスクに具体的な意味と方向性を与えることが重要と言えるでしょう。

 また,評価で言うところの規準,つまりは,理想的な達成のイメージをクリアに共有することも大事でしょう。たとえばスポーツの指導であれば,強烈なスマッシュで相手を撃破することが理想なのか,あるいは長く気持ちよくラリーを続けるのが理想なのか,ここの理解が教師と生徒の間で共有されていないと,活動の方向性が不明確になってきます。

 一般に,DAL授業というと,open-endedなディスカッションを想像する向きもありますが,実際には,方向性のないタスク(単なる「やってみよう」系タスク)では,児童生徒のやる気を引き出すことは困難です。ゴール設定とそこに至る過程がクリアに定義・規定されていることが,DAL授業の成功の秘訣の1つです。


英語の場合:パフォーマンス課題のシナリオを作り込むことで,タスクに意味と意義を与える


体育の場合:目指すべき姿をクリアに明示し,生徒と教員間で共有する

光華の先生は熱心な方ばかりで,年度末の公開授業が楽しみです。


2020/11/16

2020.11.16 対面授業実施

神戸大の授業は,後期も遠隔で行っていますが,クオータ(8週)に1回程度,必要に応じて対面指導を行ってよいことになっています(事前届け出制)。

 この制度を使い,11/6(月)・11/8(水)に,大学院1クラス(言語統計),学部5クラス(英語)の授業を,教室で行いました。

 新入生にとっては,入試日以来,初登校だったという方もおられました。また,わたしにとっても,1月以来,10か月ぶりの教室での授業です。久しぶりにやってみて,やはり授業は対面のほうが伝わりやすいなと改めて感じた次第です。

 なお,現状,大学の教室には,アルコールが置いている以外には特段の対策がなされていないため,学生間を仕切る,簡易なアクリルのパーティションを自作して教室に持ち込みました。記録として紹介しておきます。

 パーティションを自作するには,(a)土台部分,(b)間を仕切るアクリル板的なもの,(c)アクリル板を土台にとめるクリップ的なもの,が必要になります。今回,実験もかねて(また,近所の百円均一に同じものの在庫数が少なかったこともあり),(a)については,ワイヤ収納システム専用台(※用途は違うが流用可能,2ケ100円で安い)と本立て(2つ200円になるので割高)の2種,(b)については,A3額縁(フレームがあって丈夫そうだが200円)とA3の堅めのクリアファイルの2種,(c)についてはクリップ大を購入しました。また,(b)に関して,クリアファイルは立てると自重でたわんでくることがわかったので補強用に針金を入れることし,それも購入しました。1セットのコストは200円~400円ぐらいです。


ヒャッキンでの購入物一覧


教室設置(額縁+収納台座使用 300円)


教室設置(クリアファイル+収納台座使用 200円)


教室設置(クリアファイル(針金補強)+本棚使用 300円)


 実験してみて,ある程度のパーティション効果(「いちおう対策している」という心理的安心感の醸成?)はあるものの,実際に学生がペアで話す場合は,二人の口の位置は,デスク真上ではなく,それより後ろ側(椅子側)になり,つまりは,発話時の完全なパーティションとするには,デスク上設置ではなく,椅子の後ろのほうからスタンドを立ててそこから上部からつるすようにしないと難しいことがわかりました。また,この位置にパーティションを立てると,中間モニタが非常に見えにくくなるという欠点があることもわかりました。
 一方で,当初は,アクリル板を立てても誰が消毒するのかという議論を内部で延々とやっていたのですが,常時マスク着用の場合,学生に話させても,目に見える飛沫が板につく,ということはありませんでした。

 授業終了後,余った部材を使って,研究室のゼミ用の机のパーティションとしました。ただ,ゼミも遠隔継続中で,いつものように学生が部屋に来るのはいつになることやら・・・という印象です。

研究室(ゼミ用のデスクの中央をパーティション3つで仕切る)

 授業実施後,2週間は不安な気持ちもあったのですが,とくに問題なく,1か月近くが無事に経過しましたので,ご報告まで。(報告日12/10)

2020/11/07

2020.11.7 International Symposium on Applied Linguistics Researchに参加・発表

下記の学会に参加し,研究発表を行いました(online)。

1st International Symposium on Applied Linguistics Research: Language Studies: Practical Implications for the Society (主催:ALLAB, Prince Sultan University)

7 November 2020 


聴講メモ

Professor Norbert Schmitt (University of Nottingham, UK) "Vocabulary Size Requirements and Principles of Teaching Vocabulary"


英語の現状
・英語話者:1500年代は400万→1900年代に1.2億→2018年には3.4億+10億のNNS
・世界で出版される本のうち英語は25%
・人気トップ1000万種のウェブサイトのうち英語は56%
・英語は34%(日本語は16%)
・55か国中73%で,国内の映画の興行成績トップ7種はすべて英語
・Scopus登録誌のうち英語は80%
・IELTS(2013年)受験者は130か国,200万人

必要語彙量
・オーラルは定義難しい
・テキスト読解で95%達成するには(レマ換算),小説で5,800語,若者小説で4,600語,新聞で6,800語,雑誌で8,200語,論文で5,200語。98%にすると8,600~14,300語必要(Schmitt, Gardner, Davies & Schmitt, in prep)
・リスニングで95%達成するには,会話1500語,講義2700語,ラジオ3500語,トークショー400語,sitcom(テレビドラマ)2900語。98%だと3100~6500語

必要語彙量と読解度
・読解度の調査(5%の語彙をブランクにしたテキストを読ませるなど)
・リーディング カバー率で90-94%の間はほぼフラットで変化しない(読解度50%)。95-100%までカバー率が上がると理解度もほぼ線形で上昇60-73%まで)(Schimitt, Jiang, Grabe 2011)
・リスニング NSの場合カバー率90~100%にかけて理解度80-100%,NNSは低い。


語彙の指導(語彙を知っているということ)
・語形:変形が難しい場合も(persist/ persistence, persistent, persistently)。MA学生でもこうした語彙のすべての語形を知っているわけではない
・コロケーション:coffeeの形容詞としてstrongはOKだが,*powerfulや*heavyはだめ。rainの形容詞としてheavyはよいが*powerfulはだめ。?strongは不自然。
・文脈知識:explicitの学修だけでなくexposureが必要


語彙習得は段階的(incremental)
・スペル:まったくだめ,何文字かわかる,音はあってる,正しいスペル。段階あり。
・派生:nation--> national--> nationalization...
・発音,スペル,意味,文法,連語,レジスタ,頻度,連想等の各レベルについて段階を測定する必要がある
・既習知識の強化(記憶は当初急速に減り,その後も徐々に減っていく),発達進展,語彙知識の多面を習得する上では,語彙のrecyclingが重要
・復習(revision session)の間隔を徐々に広げる(直後,1日後,1週間後,1か月後,半年後)ことで記憶の維持が可能
・grieve/ receive→ [i before e, except after c]のようにexplicitで覚えることも大事
・ptardine/ tcharal -->直観によって非語と判断できる

連語
・phatic phrases(あいさつ), backchannel(相槌),談話の構成(in conclusionなど),専門用語的(血圧:140 over 60 cleared to land)
・高頻度連語はexplicitに教えて,加えてexplosureで補強
・Paul Nation:意味志向インプット,意味志向アウトプット,言語志向の学修,流暢性訓練の4区分に等しく強調を置くべき

結語 "May the lexicon with you"

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下記の内容について発表を行いました。

題目:Influence of L1, L2 Proficiency, and Task Types on Lexical Features of L2 Speeches by English Learners in Asia: A Study Based on the ICNALE Spoken Dialogue


私の最近の関心の一つは,L1(地域)とL2習熟度のいずれの要因が学習者の語彙的産出を決定しているのか,ということです。ICNALEの新モジュールであるインタビューモジュールで収集したカンバセーションデータ(認知的により平易な試験官との質疑応答)と,ロールプレイデータ(認知的な負荷の高い相手を説得する発話)における高頻度語彙(100語/50語)を分析し,この点を検証しました。


今回のデータに限って言えば,学習者の語彙使用・語彙選択は,L2習熟度の違いではなく,圧倒的にL1(地域)で固まるという結果が得られました。アジア各国の学習者の中で,日本人学習者の語彙使用は相対的に言えば韓国やタイの学習者と似ています(※これは別のICNALEデータを使った分析結果とも一致し,ある程度再現性のある結果と言えます)。また,母語話者は必ずしも学習者から独立した語彙使用を行っているわけではないことも示唆されました。これはなかなか面白い結果ではあるのですが,このデータが示唆するのは,英語発話における語彙使用について言えば,「〇×人はどこまで行っても〇×人」ということであり,英語教師としてはかなり複雑な気分になります。。。


もう1つ興味深く聞いたkeynote

Prof. Dr. Christina Gitsaki (Zayed University, Dubai, UAE) "Issues in Applied Linguistics: Gulf Perspectives"

・アラブ圏ではアラビア語が話せないアラブ人も
・母語が第2言語になる恐怖
・AILAは各国1組織だけが入れる。中東圏からはイスラエルとトルコしか入っていない
・AILA2014における1195の研究発表のうち,アラブ圏研究者のものは10だけ(0.83%)
・アラブ圏の応用言語学者の声は世界に届かない








2020/11/06

2020.11.6 神戸大学国際文化学研究科コロキアムⅢでゼミ生が報告

表記の学内行事が開催されました。


これは博士課程3年生を対象に行われるもので,11月冒頭に提出した「博士予備論文」の内容をふまえて質疑応答と審査が行われます。首尾よく審査を通過すれば1月の博士論文提出,博士論文審査につながっていきます。

今回は3名の発表がありましたが,石川ゼミから下記の学生が発表を行いました。例年は学内で実施しますが,時節柄,本年はzoom実施となりました。






2020.11.6 兵庫県立兵庫高校創造科学科で講演

表記で講演を行いました。

演題:課題を解決する作法


 探究などのリサーチでは,課題を発見し,課題の解決を提案することが求められますが,示される提案が,自身が冒頭で示した問題と実際には合致していないということがよくあります。これは論理的な齟齬で,問題に対する直接的な解決(当該の問題を確実に解消する個別的・固有的なアプローチ)と,疑似解決(もしかしたらそれで問題が解決するかもしれないが解決しないかもしれない抽象的・一般的なアイデア)を区別して考えることが重要だと言えるでしょう。

 高校生の探究については,その効果がはっきりしないという根強い批判もあり,探究をさせるぐらいなら教科学習をしっかりやるべきという意見も聞きますが,私見では,教科学習だけでは,前述したような論理的思考(というより「思考の作法」)をうまくはぐくむことは難しいのではないかと思われます。探究で得られた思考の作法は生涯残るものです。この意味において,仮に「偏差値アップ」といったわかりやすい成果がすぐに出ないのだとしても,高校生が一定の時間をかけて探究活動に取り組む意義はきわめて大きいと考えます。



2020/11/04

2020.11.4 神戸市外大講演会(コモントーク)聴講

【日 時】2020年11月4日(水)14:00-15:00
【開 催】Zoomミーティング

講師 Michael HOLLENBACK 先生
演題 The Native Speaker Problem

聴講メモ
・NS概念の起源:ideal speaker-listener in a completely homogeneous speech community (Chomsly, 1965, p.3)
・prestige standardsとしての英米
・NSは講義で5億人だが,トーゴとかギニアは英語がmonolingualだがNSとみなされない。インドやフィリピンも同じく。
・英米偏重は,言語の価値ではなく政治的な力による
・英国の中にも方言(Wales, Scotland, England....)が各種存在。米国も文法・語彙・発音が地域によって違う。
・speech community:特定の年齢・性別・人種・階級・文化を前提とする
・理想的NS:英or米,都市,白人,男性,中年,上級(大学卒)
・求人広告の差別:NS(※国籍で決定される)に限る
・教科書や各種テストも米語などのstandardsを前提に
・日本人の見方:白人=英語NS=白人・・・(循環概念)
・NSという概念は人種や性別を含む社会的membership。つまり「NSレベルの英語力」は達成不可能な目標。
・linguistics anthropology(言語は構造というより,文化的・社会的なもの)
・7言語で世界の公用語の75%(※戦時中の領土と関係)
・言語政策の影響(小学校英語,SGH, トビタテ留学JAPAN,Global 30)
・recommendations
1)英語の多様性や方言を教える
2)英語以外も教える
3)アイヌ・琉球語などを教える
4)国籍に基づく英語教師の採用制度を変える
5)標準英語テストへの依存を減らす
6)正確性ではなく,言語意識(language awareness)と理解度(comprehension)に基づく評価の導入

感想
・主張には同意するが,例えば中学校で多言語教育をするとして,時間や教師の確保はどうするのだろうか? 極端な話,週4時間の英語を隔週1回にして,その分他の言語を教えることは本当に良いことなのだろうか?理念的問題と実利的問題のバランスのとり方は?

2020/10/30

2020.10.30 尼崎市立武庫東中学校で講演

表記で講演を行いました。

演題:中学校における新しい学習評価:変わることと変わらないこと




新指導要領では評価の観点が4から3に変更されるため,現場の先生方は評価の技術的側面に関心が向きがちですが,この問題を考える際には,テスティング研究や我が国の教育政策における評価指針の変遷の過程や,評価における態度の位置づけ等に関して,大きな見取り図を持っておくことが重要だと考えます。このたびの新しい評価基準は評価論などの考え方に照らしてもおおむね妥当なもので,とくに科目間での観点のズレが解消された点は個人的には正しい変化であったと考えています。

2020/10/27

2020.10.27 言語系学会連合声明について

言語系学会連合より,日本学術会議問題について,声明が出されました。

私は言語系学会連合を構成する諸学会のうち,5つの学会の正会員であり,そのうちの2つでは役員も務めています。しかし,この件について,(私の知る限り)関連する5つの学会で,構成員全体の意見聴衆を行ったという事実はありません。

言語系学会連合の構成団体の構成員(つまりは同連合の構成員)であるところの私個人はこの件について,連合の声明を支持する立場にありません。

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声明の内容によらず,どんな団体にも様々な意見があり,それらを1つにまとめて団体の意見として表明するのは非常に難しいものです。しかし,いったん外に出てしまえば,それは団体構成員全員による一致した見解だとみなされるでしょう。ということで,無意味だとは思いますが,少なくとも私は意見が違いますよ,という小さい声をあげておきます。

2020/10/24

2020.10.24 日本混合研究法学会第6回大会で発表

下記でシンポジウム発表を行いました。


第6回日本混合研究法学会年次大会(JSMMR2020)
混合研究法への展望 ~質と量を越えて~ 

開催日:2020年10月24日(土)・10月25日(日) @オンライン開催
大会ホームページ:http://www.jsmmr.org/conference/jsmmr2020/



当日は,量的研究をやっている研究者と質的研究をやっている研究者がそれぞれの課題などを発表し,MMRの立ち位置を考えるという趣旨で,個人的には大変楽しませていただきました。



石川メモ
混合研究法(mixed methods research:MMR)の概要

5大原則
1)RQに対して量的・質的データを収集して分析
2)ともに厳密な(rigorous)手順を踏む
3)両者を統合する
4)混合研究デザインに組み込む
5)理論・哲学で研究を枠づける
・ポスト実証主義 postpositivism/ postempiricism(旧実証主義と違って,実験者と実験対象の相互影響やバイアスを加味。量だけでなく質も。決定・要素還元・実証・仮説検証)
・社会構成主義 constructivism (理解・多元・社会的・歴史的・仮説生成)
・変革的 transformative (政治的・公正・協働・変化志向)
・実用主義 pragmatism (結果重視・問題解決重視・多元的・実社会志向)

3つのデザイン
1)収斂デザイン convergent(量・質並行)
2)説明的順次デザイン explanatory sequential (量→質)
3)探索的順次デザイン exploratoey sequential(質→量)
※ジョイントディスプレイ(図解)

4+1の技法(仮に質=A,量=Bとする)
1)融合(merge): A+Bを組み合わせる
2)説明(explaining): AでBを説明
3)積み上げ(building): AでBを拡張
4)埋め込み(embedded):AはBの一部
5)メタ推論(meta-inference):AとBから推論

2003/2018の変化
1)typology以外の研究デザインも
2)デザインは事前決定から,研究の中での生成へ
3)基本デザインは3つ+3つの複合形
4)timing/priorityよりもintent
5)統合とmeta inferencesの重要性


感想
・5大原則のうち1~3は常識的なもので完全に合意できる
・原則4~5は,おそらくは質的研究を特徴付ける研究作法を持ちこんだものだと思うが,この部分がクリアできないと「MMでない」ということになると,他分野との協働は難しそうにも感じる
・ジョイントディスプレイという発想は非常に魅力的なもので,たとえばコーパス言語学で行う語義の再定義などでも,クラスター分析などで行った語義の再整理と,そのもとになった頻度データを棒グラフなどで同時に示すことが行われており,これも振り返ってみればジョイントディスプレイと言えなくもないような気も。
・ただ,言語研究の場合,社会学的な意味での「インタビュー」というのはふつう行わないので,質的データのソースはNSの内省調査ということになるのだろうか?だとすると,一般的なコーパス研究とは距離感がある「NS個人の言語直観による規範」のようなものをコーパスデータと等価なものとして並べるような気もして,このへんもなかなか悩ましい。
・MM学会は創設して日が浅く,活気にあふれ,みんなで新しいことを学ぼうという意欲と前向きのエネルギーにみちあふれていた。コーパス言語学も25年前はそうだったと思うが,コーパスという手法が普及し,処理が平易化された中で,手法に軸足を置く学会的な組織がどうす進むべきか,いろいろと考えさせられた。。。



2020/10/23

2020.10.23 Incorporating Corpora in Teaching” Symposium聴講

下記をオンラインで聴講

Incorporating Corpora in Teaching” Symposium
Friday 23 October 2020 from 9.30 to 15.0
Organised by Professor Terry Walker and Associate Professor Rachel Allan


Zoom発表(第1発表より)


聴講メモ

★Spreading the net: Empirical studies in data-driven learning
Alex Boulton (University of Lorraine)
・DDL研究論文489本を集めて250万語コーパスを作成,コーディング付き。
・DDL研究は経年的に増加,有名雑誌にも掲載増える

★Redefining DDL for the 21st century digital learner
Fanny Meunier (UC Louvain)
・DDLは普及しているが,書き言葉のコンコーダンスライン分析に留まっている
・話し言葉などより幅広いデータを含めたDDLの再定義が必要

★Developing a critical agenda for learning-driven DDL
Pascual Pérez-Paredes (Universidad de Murcia / Cambridge Language Sciences)
・DDLの使用は大学では増えるものの,その実践範囲はまだ限界的。5つの課題。
・(1)学習者の役割は受け身的で,学習成果や目的はは曖昧
・(2)エラー分析が中心のため,学習者の能力の不足や欠損を強調することになるが,この方向はSLAの潮流(nonnativenessの再定義)と対立
・(3)コーパスデータ以外の利用の可能性。
・(4)気づき(noticing)に関する研究の不足
・(5)より幅広い言語学習理論との接合の不足。

★Uses of a learner corpus for student teachers
Christer Geisler and Christine Johansson (Uppsala University)
・Uppsala Learner English Corpus (ULEC):スウェーデンの中学生・高校生の英作文
・30万語(中学生7.1万語,高校生21.4万語)
・ウェブにテーマ(課題)が提出され,その下のボックスに作文を執筆(※スペルチェック機能などはなし)
・大学教員養成課程でのSLA/教授法/誤用分析での指導や,卒研データとしても使用
・分析事例
・スペルミスが多い(becouse/becuseなど)。STTRで職業校・学問校の10歳作文・11歳作文を比較すると,職業校のほうが値が高い(??)。中高生作文の名詞句の質的比較など(同じghostがテーマでも名詞句がだんだん長くなる)。
・USE (Uppsala Student English) やICLEを加えて卒論を書く学生も。

★Bringing a focus to the importance of patterning in language acquisition through corpus use
Anne O’Keeffe (Mary Immaculate College, University of Limerick, Ireland)
・SLAでは実例に触れることが重要。Usage-Basedの習得モデル。
・高頻度の形と意味の結合に注目すべき
・COCA,Michigan Corpus of Upper-level Student Papers (MICUSP)による実例。

★Using very large corpora to teach Modern English (1500–1900)
Erik Smitterberg (Uppsala University)
・大学院の初期英語・中英語のクラスで,評点の45%をコーパスミニ研究に充当
・COHA使用
・学生が取り上げた英語史研究テーマは,doの助動詞使用(do a look:DO-periphrasis), not縮約,its/his選択,GET受け身,許可のcanなど。

★#LancsBox in language teaching
Vaclav Brezina (Lancaster University)
・LancsBox 5.1.2のデモ的紹介。教室利用の可能性。
・Treetagger (Schmitt 1995)による自動POS付け。
・統計処理結果のビジュアル表示。

★Data-driven learning from a text editor
Ana Frankenberg-Garcia (University of Surrey)
・DDLは普及しつつあるが,使っているのはDDLに関心のある研究者=教師のみ。
・DDLの使い方は,学習者がエラーを探して自己修正するだけに留まる。
・DDLをエディタに組み込んだ,コロケーション自動サジェスチョン型英作文プラットフォームColloCaidの紹介(Frankenberg-Garcia et al. 2019)
・学術文に多い600語を選び,それらと共起しやすいコロケーション3万例のデータを実装。
・エディタ上で,英文を書いていくと,単語には波線が表示され,それを押すとコロケーション候補が一覧表示される

★Introducing the book Academic writing with corpora: A resource book for data driven learning
Tatyana Karpenko-Seccombe (University of Huddersfield)
・オンラインコーパス(Lextutor Concordancer, BNC-English corpora, SkELL(Sketch Engine for Language Learning) and MICUSP)をアカデミックライティングに活用する方法を述べた新著の内容紹介
・IMRD(Introduction, Methods, Results, Discussion) の解説も

★Using corpora to inform instruction: Three practical approaches
Randi Reppen (Northern Arizona University)
・コーパスの教育活用の3つの方法。
(1)既存のコーパス言語学の知見を指導する。高頻度語リストから,高頻度lexical bundleへ(談話のサインポスト,テキストのオーガナイザとして機能)
(2)BYUの"word and phrase.info"などのオンラインリソース使用。レジスターの差を意識付けすることも可能。
(3) Antconcなどを使って学習者自身がコーパス検索

★Reserved for research? Normalising corpus use for teachers
Rachel Allan (Mid-Sweden University)
・DDLは長く広まらなかったが,教師教育にコーパスが組み込まれるようになり,状況変化の可能性も。
・勤務先の教職学生は卒論でコーパス使用するが,彼らはコーパスを研究ツールとみなしがち
・新たにオンラインツールで小規模コーパスを使う実践を行わせ,教案に反映させる

★Teaching about spoken English with the British National Corpus 2014: Introducing BNClab
Dana Gablasova (Lancaster University)
・新旧のBNC Spokenをオンライン検索できるBNClabの紹介
・英語発話の時代変化だけんでなく,年齢・性別・社会階層・地域などのパラメタ比較も・新旧BNCデータを用いた学習者向け教材も公開。データから「発見」させることを重視。


2020/10/20

2020.10.19 キャンパス秋景

一部対面再開と言うものの,相変わらず人気のないキャンパス。。。

研究室の建物前には金木犀が咲いていた。

@神戸大国際文化学研究科 国際コミュニケーションセンター棟前


2020/10/06

2020.10.06 兵庫県立神戸甲北高校探究特別講演会

表記で,2年生の生徒さん向けの講演を行いました。

演題:「探究活動を加速しよう:リサーチをデザインする」



講演は,代表生徒さんの中間報告を聞いた後,私がロジック面についての質問をする,という形で進めました。甲北の生徒さんは,探究の基礎力がしっかりしており,代表生徒さんもいろいろと工夫した報告をしてくださいました。ただ,今後のさらなる展開を考えると,一般的な助言として,下記のようなことが言えそうです。

1)大きく抽象的なやりたいことを,「現実的な小さいレベル」に落とし込む
2)原因と結果のモデルを意識する(Aという原因によってBがどう変化するか/ Bを向上させるために最善のAはなにか)
3)AとBとも,その内容を明確に定義する(ぼんやりした抽象概念に依拠しない)
4)AとBとも,計量を意識する(数えられないものは価値が測定できず,比較もできない)

甲北の皆さんの研究のさらなる発展を願います。

.............................................................

 神戸甲北高校の立地する神鉄北鈴蘭台駅に行くには,(A)兵庫区の新開地から神鉄に乗り換えか,(B)三宮から神戸市営地下鉄で谷上まで行き(※この間「北神急行」区間),神鉄に乗り換え,という2つのルートがあります。

 これまでは(B)の北神急行区間の料金が非常に高かったのですが,神戸市は,北区への人口誘導の意図もあって,北神急行を市営化し,本年6月から,運賃を580円から280円に引き下げました(記事)。今回,はじめて(B)ルートを利用しましたが,三宮・谷上間は約10分で,北区へのアクセスがかなり向上したように感じました。

 ただ,近くなったという「気分」にはなったものの,実際には,(A)ルートと,値下げ後の(B)ルートは,費用・時間がほぼ同じになったというだけで(参考),積極的に北区に人口を動かす施策としては弱いのではないかとも感じました。

 一方,地下鉄三宮駅には,値下げを記念してか,北区をPRするシールが随所に貼ってありました。





北鈴蘭台は,山が間近に迫る地域で,歩いていても六甲ハイキングの気分が味わえます。


 神戸市は指定市の中では人口減少が大きく,北区含め,市内全域をどう盛り上げていくか,課題が山積です。このことは,神戸に立地し,神戸の都市イメージからプラスの恩恵を受けてきた神戸大にとっても直接的な問題となります。

※当日の模様(同校HPより転載:出典






2020/10/03

2020.10.3-4 英語コーパス学会(JAECS)2020年度大会

2日間にわたってオンラインで開催されました。当日は40本の発表,300名を超える参加(登録者延べ数)があり,盛会でした。


石川は,開会式と総会で,会長挨拶を行いました。

開会式でのあいさつビデオより




2020/10/02

2020.10.2 京都光華女子中高 授業改革打ち合わせ

夏以来,京都の光華女子中高に継続的に関わり,同校の授業改革のお手伝いをしています。今回は,担当者3名が来訪され,意見交換を行いました。

私の方では,Deep Active Learning授業を設計する際に使用できる教案のテンプレート案をお示しし,こうした補助具の活用可能性について討議しました。

石川(2020) DAL型授業設計用セルフチェックシートV1.0の一部


2020/10/01

2020.10.5 研究メモ:日本の教員数(最新)

研究メモ:日本の教員数と女性比率(出典: 文科省「文部科学広報」2020年9月号より(元データ))

.............................................
学校種・教員数(女性比率)

幼稚園等 21万人(93%)
小学校     42万人(62%)
中学校等 25万人 (43%)
高校等 23万人(32%) 
特別支援 8万人(61%)
大学 18万人(25%)
.............................................

※学校基本調査より
※本務者のみ
※人数は1,000人以下で切り捨て
※義務教育学校は中学校に,中等教育学校は高校に加算
※女性比率は1%未満切り捨て。中学校・高等学校の比率を記載
※専門学校・各種学校等は含まない


観察いろいろ

・日本にいる「学校の先生」は,大学教員を含めて,ざっくり140万弱程度。ほぼ京都市の人口程度に等しい。
・私塾なども含めた「先生」はざっくり330万人。職種別人数で言うと第8位(出典
・医師(歯科医含)は43万人(うち医師の女性比率は22%)(出典

2020/09/29

2020.9.29 国立国語研究所 NINJALサロン参加

下記に参加しました。

第214回NINJALサロン
日時:2020年9月29日(オンライン)

横山 詔一 (言語変化研究領域 教授),前田 忠彦 (統計数理研究所 准教授),野山 広 (日本語教育研究領域 准教授),福永 由佳 (日本語教育研究領域 研究員),高田 智和 (言語変化研究領域 准教授)
「国語研と統数研の連携起点「日本人の読み書き能力1948年調査」の現代的意義」


先般,計量国語学会で聞いた発表の続編的な内容で,前回同様,知的にスリリングなものでした。今回は,私のほうでも,予習をしていたため,いろいろな質問をさせていただくことができ,終了後,メールなどでご教示いただけたこともあって非常に有益でした。以下,2つの講演を聴講した際の個人の感想メモです。

1) 識字である(でない)というのはそもそもどういう状態を言うのだろう? 識字はwritten languageに限定した概念なのか? たとえば話せるが読めない,読めるが話せない,などはどう考えるべきか?

2) 識字かどうかを調べるとした場合,どのような問題が有効だろう?「あ」と見て,aと発音できること? aという発音を聞いて「あ」だと認識できること? 「あ」だと書けること? たとえば語義・文法・語用論などの知識はどこまでが識字の範囲内なのか?

3) 識字概念と,Chomskyのcompetenceの関係はどうだろうか?

4) テストの得点を考える場合,スコアに関わらず,常に,±方向をともいn加味した誤差という形でとらえるのがいいか,あるいは,スコアの低い人にはもっと良かった可能性を,高い人にはそれほどよくなかった可能性を措定するほうがよいか?

5) IRTモデルの4パラのうち,偶然であたってしまった確率(当て推量による正解)と,偶然で間違えてしまった確率(うっかりミスによる不正解)の重みの関係性はどうなのか?


※当日配布されたデータの確認検証(石川による作図)

横軸・得点(0-90)/縦軸:各年代層における人数比率(%)



2020/09/25

2020.9.25 神戸大学「外国語教育セミナー」での報告

下記に参加し,報告を行いました。

神戸大学 大学教育推進機構国際コミュニケーションセンター第30回外国語教育セミナー
テーマ「外国語遠隔授業のコツ:前期の実践でうまくいったこと・いかなかったこと~後期開始に備えて~」

日時:2020年9月25日(金)0930~1100
場所:Zoom
プログラム
第1部 遠隔外国語指導の実践報告(0930~1020ごろ)
※報告者(1人5~10分で報告)
木原恵美子准教授(英語)
石川慎一郎教授(英語)
廣田大地准教授(フランス語)
朱春躍教授(中国語)
安田麗講師(ドイツ語)
第2部 ディスカッションと情報交換(1020~1100ごろ)
司会:石川慎一郎


自身の授業実践については,前期の遠隔での工夫をお話しし,授業評価の結果などを報告しました。前期については,昨年度までの対面指導時とほぼ同じ結果となっていました。


報告(ビデオ実施)の中でも申したのですが,私のクラスは遠隔(オンデマンド)形態で行っています。研究と違って,積み重ならず,ただ毎時間消えていくだけだと思っていた授業についても,毎回ビデオとして「形に残せる」というのは実は非常に大きなことで,自身の授業改革に取り組む新しい動機づけになっています。



2020/09/19

2020.9.19 計量国語学会大会参加・司会

 表記大会(リンク先)に参加し,座長を務めました。


座長をさせていただいたのは以下の発表です。

7. 求職場面で使われる日本語の特徴を捉えるための計量的アプローチ(亀井 信一)
8. 異文化間能力の育成を目指す計量テキスト分析:ドイツ・セルビア・日本の学生を対象に(村田 裕美子・トリチコヴィッチ ディブナ・李 在鎬)
9. I-JASを用いた習熟度と接続詞の使用に関する調査:論理的文章執筆の支援システムの構築に向けて(李 在鎬 ・ 伊集院 郁子・青木 優子 ・ 長谷部 陽一郎・村田 裕美子)
10. 1948年に実施された日本人の読み書き能力調査の得点分布をどう解釈するか(横山 詔一 ・ 前田 忠彦 ・野山 広 ・ 福永 由佳 ・高田 智和)

どの発表も興味深いものでしたが,とくに10番の発表は,忘れられていた資料を丁寧に調査することで,我が国における統計調査や識字調査の歴史を浮かび上がらせたもので,単なる計量国語学の枠を超え,知的興奮を覚えるすばらしいものでした。

なお,本学会ではゼミ生(D2鄧琪さん)も発表させていただきました。


この会は,完全オンラインの大会として設計されており,(1)参加費の徴収,(2)当日の学会,(3)懇親会,(4)slackでの質問対応含めて,すべてが合理的に電子化されていました。電子化された大会の場合,やりとりが行いにくいという欠点がしばしば指摘されますが,本会については,個々の発表課題について,Zoom上で,また,slack上で,中身の濃い討議が繰り広げられ,参加者として大いに満足しました。同時に,オンラインでここまでできるなら,「そもそも大会を対面でやる必要はあるのか」という疑問が浮かんできたことも事実です。たとえば,対面学会の参加者がざっと80名だとして,また,会場が仮に東京だとして,かつ,参加者の半数が地方から上京したと考えます。安く見積もっても,一人当たり,往復の交通費は平均で2万円程度。単純に40人分とすると,合計で80万円近くが浮いたことになります。こうなってくると,仮にコロナが収まったとしても,学会の大会を対面に戻す積極的な動機を見出すのは難しいかもしれません。。。各学会はこの問題に来年度以降どのように対応するのでしょうか。。。


2020/09/14

2020.9.14 英語コーパス学会役員会参加

表記に参加しました(Zoom)。

雑感:コロナ禍の中,様々な学会が電子化を加速させています。もはやZoomでの学会開催も日常となりました。大会開催や,紀要の刊行など,これまでの学会の主要事業がことごとく電子化・オンライン化していけば,その先にどのような学会の姿があるのか,そこにおいて何が学会に求められるのか(学会なるものが引き続き求められるのだとして),いろいろと考えないといけない問題が山積みのように思います。

2020/09/12

2020.9.12 大学英語教育学会(JACET)中部支部オンライン大会参加

表記に参加しました

大学英語教育学会 第 35 回(2020 年度)中部支部大会
オンライン時代における大学英語教育
●日時 Date: September 12 (Saturday) 2020 10:30-16:00
●場所 Site: Zoom

下記を聴講しました。

基調講演
A New Normal in Tertiary English Education in Korea in the COVID-19 Era
Haedong Kim (Hankuk University of Foreign Studies, Korea)

メモ(文責:石川)
●韓国の英語教育の現状~英語学習への過熱を止める~
・English Village 現在では下火に
・Korean English Ability Test 2009-2015。廃止。
・公立校にENSを招へいするEPIK (English program in Korea) 1995-2011。廃止。
・Education Broadcasting System 暗記型学習広まる
・入試改革 CSAT2010
  ・相対評価から絶対評価による大まかなレンジ判定へ
  ・最上位成績(90%+)を取れる人数が4%から5~10%に激増(2020:7.4%)
  ・入試としての受験者識別力が下がる
  ・生徒は英語は簡単,学習不要と感じ始める
・大学の英語専攻学生は,2014年の8800人から2018年には6500人まで26%減少
・TOEFLスコアは2013以降低下(一貫して下がるのはアジアで韓国のみ)

●こうした状況下での大学英語教育の変遷~コロナショック~
・大学生のオンライン授業満足度(※高いが受け続けると下がる)
  ・春(84%)→夏(50%)
  ・夏 オンラインは対面より非効率的(56%)
  ・対面へのニーズが強まる
・ある大学での英語授業形態への学生の希望 
  ・ミックス(40%)>オンデマンドビデオ(28%)>リアルタイムオンライン(13%)≒オンデマンド音声(12%)
・学会参加者の非同期オンライン発表選択率(2020 KATE)
  ・招待講師53%,一般参加45%(圧倒的人気)

コメント
・一連の改革は,「国民最上位層の英語力」という点ではマイナスだが,「経済格差による英語学習機会の不平等是正」という政策目標達成という点ではプラス。
・英語教育が政権交代で一変する状況は是か非か?
・国民全体の英語力の低下というのは,主観を超え,実証可能なデータとして出ているか(というか出すことはそもそも可能か?)
・日本にも参考になることが多いinformativeな講演だった

2020.9.12 【学内告知】神戸大における石川担当後期授業の対面指導について

 2020/9/12現在

石川が担当するAcademic English Communication(月2~4,水1~2)受講生各位

上記授業については「一部対面」授業となっていますが,本学外国語第1(英語)教育部会申し合わせをふまえ,対面指導の回数は,1クオータ(全8回)中,1回(7週目を予定)のみとなります。なお,対面指導への出席については,

(1) 希望者のみとする
(2) 希望しない学生には課題などを課し,評価において不利にならないよう配慮する

という基本方針で対処します。

たとえば,現在,通学可能圏外に滞在しており,他の授業においても対面出席義務がない場合などは,この授業への出席のためだけに来神する必要はありません。

2020/09/10

2020.9.10 兵庫県立長田高等学校人文数理探究類型講演会

表記で講演を行いました。

講師:石川慎一郎

演題:探究への招待:世界と私をつなぐ


長田高校の皆さんは,毎年,すぐれた探究をされ,最終成果を英語で発表します。これまでの先輩たちの経験を受け継ぎつつ,1年生の方々が,3年間かけてどのような研究を展開してくれるか,今から楽しみです。


2020/08/25

2020.8.25 京都光華中学校・高等学校教員研修会

表記でアクティブラーニング導入にかかる講演を行いました。

講師:石川慎一郎(神戸大学)

(午前の部)講演:DAL を核にした新しい中高授業の創出

(午後の部)講話:DAL 授業を磨くヒント:~授業実践をふまえて~


当日は,Society 5.0につながる社会変容とその中で必要とされる新しい能力,また,新しい能力を育成する手段としての,思考創発型の「深い」アクティブラーニング(DAL)の重要性についてお話しました。講演後も熱心な質問があり,京都光華教育のさらなる展開と発展が期待されます。



一般に,「アクティブラーニング」というと,open-endな「自由に考えてみよう」式のものをイメージする方が多いのですが,実は,そうしたアプローチでは生徒の思考を深めることはなかなかむつかしくなります。むしろ,UbDの発想を組み込み,ゴールを明確に設定し,その達成を評価する手段を先に決めてから,アクティブラーニングのタスク設計(とくに問いの設計)を行うことが重要と言えるでしょう。


講演スライドより(※スライド中に引用した図版の典拠はこちら


2020/08/22

2020.8.22 「言語と統計2020」

8/24 記載 

無事に終了しました。約80名のご参加があり,対面の会と変わらず盛会でした。参加の各位に御礼申し上げます。

オンライン発表風景(神戸大M安さんの発表より)

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最終更新日 2020/8/21

下記の要領で2020年度の研究発表会を実施します。

グループ外のみなさまの聴講希望も受け付けておりますので,ご希望の方はこちらからお早めにお申し込みください。(※定員に達しました。多数のお申し込みありがとうございます)


統計数理研究所言語系共同研究グループ2020年度第1回合同研究発表会
「言語と統計2020」(セミナーシリーズ Vol. 15)

日時:2020/8/22(土)0930~1700ごろ
形態:Zoom開催
指導講話:統計数理研究所 前田忠彦
事務局:神戸大学石川慎一郎研究室 iskwshin@gmail.com
聴講:無料。要申し込み。申し込みサイト(先着順)

(1) 各人15分発表(zoom上でのライブ発表予定)
(2) セッション内の全発表が終了後,セッションごとに研究討議。前田先生ご講評,聴衆からの質疑と返答など。
(3) 以下,発表題目は仮題です。当日までに変更の可能性があります。
(4) 参加者は出入り自由(再入場される場合はURLをクリックしてお入りください。司会・発表者以外は原則camera off/ mic offで)
(5) 聴講者の皆様からの質問・コメントはGoogle Formで収集します。いただいた質問・コメントは発表者に渡しますが,直接の回答ができない場合がございますこと,あらかじめご了承くださいませ。
(6) これまでの「言語と統計」開催記録についてはこちらをご参照ください。

プログラム(★修正があります★ 2020/8/21)

開会あいさつ 0925~ 石川慎一郎(神戸大)

第1セッション 0930~1100 (セッションチェア 石川慎一郎)
0930-0945 堀家利沙(神戸大学M)「日本人高校生と英語母語話者の統制英作文に見るgo+Xコロケーション:対照中間言語分析の観点から」
【概要】ICNALEの英語母語話者作文データと,同等のトピックで独自に収集した高校生英作文を比較し,高校生のgo+Xコロケーションの特徴を解明する。

0945-1000  佐々木恭子(神戸大学M)「高校生の英作文に見るbecause使用:頻度・文中位置の観点から」
【概要】JEFLL高校生英作文argumentativeデータとICNALE Written Essaysの母語話者データを用いて,日本人高校生と母語話者の意見表明作文でのbecause使用を量的・質的に比較し,形式に焦点を当てそれぞれの特徴を明らかにする。

1000-1015  中西淳(神戸大学D)「日本人英語学習者コーパスにおける前置詞誤用の記述的研究-at・in・onの基本前置詞に注目して-」
【概要】誤用情報の付与された学習者コーパスを用い,日本人英語学習者が誤用する前置詞at・in・onを調査する。

1015-1030  植田正暢(北九州市立大学)「意味クラスの情報を利用した二重目的語動詞の定量的分析の試み」
【概要】TBA

1030-1100 質疑応答

(休憩)

第2セッション 1110~1220 (セッションチェア 宮崎佳典)
1110-1125 石田麻衣子(神戸大学附属小/神戸大M)「小学生のための基本名詞コロケーションリスト作成手法の検討:ADJ/ N + schoolを例に」
【概要】小学校では様々な基本名詞を指導するが,多くは単語1語の提示のみにとどまり,そのコロケーションを示す機会はほとんどない。本研究は,小学校英語教育で扱う基本名詞について,主要なコロケーションパタンを網羅したリストを作成するという目的のもと,そのために必要となる手法を検討する。具体的には,COCAをはじめとする複数のコーパスを用い,「ADJ/N+school」の代表的なコロケーションパタンを特定し,教育的観点から評価を加える。

1125-1140 八野幸子(帝塚山学院大学)「理科との連携による教科等横断的視点を取り入れた英語教育のための語彙研究-植物に関する文脈に出現する語彙を中心に-」
【概要】2020年度より小学校教育においては新学習指導要領が完全実施となり、この学習指導要領においては、教科等横断的視点を取り入れた取り組みが推奨されている。
本発表では、理科との連携による小学校外国語活動・外国語科で利用可能な語彙について発表者編纂の植物コーパスを分析した結果について報告する。

1140-1155 石川有香(名古屋工業大学)「日本人工学専攻大学院生による国際Discourse Community参入の阻害要因は何か?」
【概要】TBA

1155-1220 質疑応答

<昼休憩>

第3セッション 1320~1450 (セッションチェア 藤枝美穂)
1320-1335  安美彦(神戸大学M)「日本語における条件節:名詞+「と・たら・なら・ば」の使用実態の計量的解明」
【概要】日本語書き言葉による「名詞+条件節」の使用を計量的に調査し,現代日本語における条件節の具体的な使い分けを大規模コーパスを用いながら解明する。

1335-1350  鄧琪(神戸大学D)「外来語とその類義漢語の使い分け:「ストップ」と「停止」を例にしたコーパス調査」
【概要】本研究は「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を用いて、使用頻度、年代、品詞性、共起語などの観点から、外来語「ストップ」とその類義漢語「停止」の使い分けを明らかにする。

1350-1405  中尾桂子(大妻女子大学短期大学部)「BCCWJにおける論述系レジスターの「だ。」」
【概要】論述系の文章の中の「~だ。」で終わる文の使用状況を確かめ,論述内の断定的表現について考察する。

1405-1420  石川慎一郎(神戸大学)「日本語絵描写作文課題における使用動詞を手掛かりとした発達の段階性および習熟度推定の可能性―I-JASのSW1課題データを使った検証―」
【概要】I-JASのSW1課題に出現した動詞を手掛かりとして,クラスター分析により,学習者の発達過程における段階の推定を行う。また,重回帰分析により,動詞頻度を手掛かりとした簡易な習熟度推定の可能性について検討する。

1420-1450 質疑応答

第4セッション 1500~1605 (セッションチェア 小山由紀江)
1500-1515  肖錦蓮(神戸大学D)「書き言葉と話し言葉の差を踏まえた日本語重要ヘッジの抽出と陳述緩和機能の再考」 
【概要】本研究では、書き言葉と話し言葉に共通して出現する高頻度のヘッジを抽出し、母語話者アンケートで得られたデータをもとに、ヘッジの陳述緩和性について再考する。

1515-1530 張晶鑫(神戸大学外国人特別研究員)「日本語の「の」と中国語の「的」の比較研究:『中日対訳コーパス』を用いた計量調査」
【概要】日本語の「の」と中国語の「的」は置き換えられる場合が多いが,置き換えられない場合はしばしば問題が生じる。本研究は『中日対訳コーパス』を用いて両者の対応関係を計量化することを目指す。

1530-1545  井上 聡(環太平洋大学)「大学教育で目指すべき「遠隔授業ならでは」とは?」
【概要】令和2年4月,大半の大学が遠隔授業への移行を迫られる中,Twitterで「遠隔授業は質が落ちるので学費を返金すべきだ」との声があがった。本研究では,学生アンケートで得られた記述コメントをもとに,対面授業との違いに基づいて,「オンライン授業ならでは」の性質について説明したい。

1545-1605 質疑応答

第5セッション 1615~1700 (セッションチェア 岩根久)
1615-1630 黄晨雯(大阪大学D)「中国ミステリー小説をめぐる計量的分析ー程小青と鬼馬星の作品を中心に―」
【概要】本研究では、中国20世紀以降の著名なミステリー作家である程小青と鬼馬星の作品を対象に主成分分析やトピックモデリング手法を適用し量的分析を行う。

1630-1645 福本広光(大阪大学D)「19世紀小説における分離不定詞の頻度および用法に関する一考察」
【概要】19世紀アメリカ小説のデータを基に、分離不定詞の頻度変化の要因について分析したうえで、ケーススタディとしてMark Twain作品に見受けられる分離不定詞の特徴・用法に関して量的考察を行う。

1645-1700 質疑応答

1700 閉会

1700~1715ごろ 交流会(参加者間での自由歓談。希望者のみ参加)

2020/08/21

2020.8.21 学習者コーパス国際シンポLCSAW5 (2020)

2020/8/21 終了しました。
午前の部・午後の部あわせて,延べ160名のご参加がありました。多数のご参会に感謝申し上げます。

オープニング(1)


オープニング(2)(ICNALEの各モジュール開発と過去のLCSAWテーマ)

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神戸大石川研究室では,科学研究費補助金の支援を受け,第5回のLCSAW(Learner Corpus Studies in Asia and the World)を開催いたします。

英語や日本語のL2学習者による産出の評価,および,学習者コーパス研究における評価データの扱いについてご関心のある皆様の聴講参加を受け付けております。聴講申し込みサイトより必要事項をご送信ください。先着順での受け付けとなります。

                 記

第5回学習者コーパス国際シンポジム LCSAW 5 (2020)

〇日時:2020年8月21日(金)午前9時50分~午後5時ごろ
〇形態:Zoom上で実施
〇主催:神戸大学石川慎一郎研究室(※科研費20H01282の支援による)
〇テーマ:「L2学習者の作文・発話をどう評価すべきか:学習者コーパス研究における評価データ収集の意義と課題」
〇開催趣旨:近年,各種の学習者コーパスがリリースされ,学習者コーパス研究(LCR)が広く実施されるようになってきましたが,研究の進展につれ,コーパスに含まれる作文や発話に対する直接的な評価データを求める声も強まっています。もっとも,学習者のL2産出物の評価については,何をモデルとすべきか,どのようなルーブリックを作るべきか,holisticとanalyticをどう位置づけるべきか,だれを評価者とすべきか,評価者をどうトレーニングすべきか,評価者の判断のブレにどう対処すべきか,アウトプットを見るべきか,あるいは,産出の背後にある意欲・態度・関心を見るべきか,人手評価と自動評価の関係をどう考えるべきか,学習者の習熟度・産出物の質・産出物の言語特性の3者の関係をどうモデル化すべきか,など,多くの論点が残されています。本シンポジウムでは,英語や日本語などのL2産出の評価に関わる研究者が各自の研究成果を紹介し,今後,この問題を考える上での見取り図を提供することを目指します。
〇発表言語:日本語,英語
〇論文集:発表論文集を刊行予定(2020年12月予定)
〇発表数:発表13本(招待8,公募4,主催者1),研究討議4本
〇聴講参加申込:参加費は無料。聴講申し込みサイトより登録。定員まで先着順で受け付け,ご参加いただける方には開催日の1週間前までに接続URLをお送りします。
〇問い合わせ:石川 iskwshin@gmail.com

1)発表順・発表題目・概要は当日までに変更の可能性があります。
2)招待発表(●)は20分,公募発表(〇)は15分です。
3)過去のLCSAWの開催記録はこちら,発表論文集はこちら

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LCSAW 5 (2020) プログラム(7/21版)

0955~ 開会のことば 石川慎一郎

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第1部:L2英語ライティングの評価
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1000-1020
●小島 ますみ(岐阜市立女子短期大学准教授)
「L2ライティング力の予測変数:これまでどのような研究が行われてきたか」
第二言語(L2)ライティング研究者達は、学習者のライティング評価を予測するために、これまで様々な変数に着目してきた。それらの変数には、テクストの言語的特徴を始め、学習者のL2言語知識、適性や動機付けなどの個人差を含む。本発表では、これまでどのようなL2ライティング評価予測変数が着目されてきたかについて、経年的かつ量的に概観するとともに、今後どのような研究が必要かについて提言を行う。なお、本発表はライティング力と相関する要因を扱ったメタ分析の研究成果の一部である。

1020-1040
●川口 勇作(愛知学院大学講師)
「英作文評価と英語ライティングプロセス研究」
L2ライティング研究では、書き手のライティングプロセスと英作文の評価・書き手の熟達度との間に関連があるといわれている。英作文における評価とプロセスの関わりについて、現在取り組んでいる研究課題や、英語ライティングプロセスコーパス構築の試みなどを紹介しながら、学習者コーパス研究への貢献という観点を交えて議論する。

1040-1100
●小林 雄一郎(日本大学講師)
「L2ライティングにおけるL1の影響ーメタ談話の観点から」
アジア圏英語学習者のライティングにおけるメタ談話標識の使用傾向・発達傾向を比較し、L2の談話的側面の評価について考察する。

(休憩)

1110-1125
〇畔元(あぜもと) 里沙子(九州大学D)
「ICNALEにおける日本人英語学習者のコロケーション産出:母語の影響の観点から」
ICNALEにおける同一トピックでの日本人英語学習者と英語母語話者のコロケーション産出を比較し学習者の母語の影響についての考察を述べる

1125-1140
〇Jan Wira Gotama Putra(東京工業大学D)
「Annotating Argumentative Structure in EFL essays with TIARA
Writing good argumentative texts is one of the goals in education. It requires reasoning and effective framing of our opinions. But these skills do not come naturally, and thus need to be taught. This talk outlines our effort to automatize the analysis of argumentative structure in EFL essays (through the ICNALE corpus), which is useful for education. We introduce TIARA annotation tool that is developed for such tasks. 

1140-1220
研究討議1 「L2英語ライティングの評価をめぐって」
小島・川口・小林・畔元・Putraの各氏 (進行:石川)

1220-1310
昼休憩/意見交換会1(自由参加)

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第2部 L2英語スピーキングの評価
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1310-1330
●横内 裕一郎(弘前大学助教)
「CAF指標を用いたルーブリックの 構成概念妥当性(外的側面)の検証」
本発表では、ルーブリックの概念について説明を行い、さらに、実際のデータを用いてCAFの指標を使った構成概念妥当性の外的側面の検証を行う。その上でEBB scaleによる評価とCAFの関係性に見えてきた傾向を紹介する。

1330-1350
●猫田 英伸(島根大学准教授)
「高等学校での「話すこと(発表)」の指導の効果測定」
高校2年生を対象として1学期をかけて話すことの指導を行い、無作為抽出生徒30名の3時点(事前、事中、事後)での録音音声を、量、質の両面から評価、分析した。

1350-1405
研究討議2 「L2英語スピーキングの評価をめぐって」
横内・猫田の両氏 (進行:石川)

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第3部 L2日本語ライティングの評価
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1410-1430
●伊集院 郁子(東京外国語大学教授)
「作文コーパスの構築から評価研究へ:作文評価の普遍性と多様性を探る」
現在、コーパスから抽出した日本語意見文に対する評価データを収集し、評価を左右する要因を多角的に分析したうえで、意見文評価ルーブリックを作成し、レベル別サンプルとともに公開することを目指している。本発表ではその研究成果の一部を紹介する。

1430-1445
〇安達 万里江(関西学院大学講師)
「L2日本語作文の内容に関する評価研究 ―ルーブリック改訂前後の評定・評価理由の比較―」
本研究は,日本語学習者コーパス「I‐JAS」の作文3編を用い,日本語教員11名によるルーブリック改訂前後の内容に関する評定・評価理由データを比較する。

1445-1500
〇鄧 琪(神戸大D) 
「学習段階の変化が日本語学習者の外来語使用に及ぼす影響:「日语学习者书面语语料库」を用いた縦断調査」
本研究は「日语学习者书面语语料库(日本語学習者書き言葉コーパス)」を用いて,量と内容という2つの観点から,中国語を母語とする日本語学習者の作文における外来語使用状況の段階的変化の解明を目指す。

1500-1520
研究討議3 「L2日本語ライティングの評価をめぐって」
伊集院・安達・鄧の各氏 (進行:石川)

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第4部 L2産出評価研究の展望
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1530-1550
●近藤 悠介(早稲田大学准教授)
「学習者言語の評価に関する問題」
学習者のパフォーマンス評価に関して、発表者がこれまで直面したいくつかの問題について話します。

1550-1610
●李 在鎬(り じぇほ)(早稲田大学教授)
「計算モデルは,人の評価にどこまで近づけられるか」
コーパス解析によって得られた計算モデルで言語能力を予測する研究例を紹介する。具体的には,作文に含まれるテキスト特徴量から言語テストの得点を予測する研究,教師の評価を予測する研究を紹介する。

1610-1630
●石川 慎一郎(神戸大学教授)
「習熟度+産出+産出評価=?:学習者コーパス研究の新展開」
最近の学習者コーパスには,学習者の習熟度データを含むものが増えてきた。習熟度と産出のデータがあれば両者の関係をモデル化することができる。しかし,いわゆる「良い作文」や「良い発話」の構成要素を明らかにするには,これらに加え,産出に対する直接評価のデータが不可欠である。もっとも,L2産出の評価については,(a)何をモデルとすべきか,(b)誰を評価者とすべきか,(c)どの観点で評価すべきか,(d)評価のぶれをどう扱うべきか,といった古くて新しい問題が山積みである。本発表では,これらを整理しつつ,学習者の産出に対する直接評価データを体系的に収集するICNALE Global Rating Archive(GRA)プロジェクトの構想を示す。

1630-1650
研究討議4 「L2産出評価研究の展望をめぐって」
近藤・李の両氏 (進行:石川)

1650 閉会

1700-1730 意見交換会2(自由参加)