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2017/09/30

2017.9.30 計量国語学会第61回大会出席@武蔵大

表記に出席しました。例年にも増して発表数が多く充実した一日となりました。


開会の辞 荻野綱男  10:00-10:05
研究発表会(一) 座長 伊藤 10:05-12:05
1.集団学習を用いた森鴎外作品における著者内変異の検出        木村美紀・木下幸太
2.語彙豊富さの指標の評価に関する研究の問題点と改善方法     鄭弯弯・金明哲
3.絵本 335 冊からみた幼児の疑問詞出現順序の検討      糸奈津江・玉岡賀津雄
4.水村美苗の『続明暗』に関する文体計量分析           李広微・金明哲

休憩 12:05-13:00

研究発表会(二) 座長 山崎 13:00-14:30
5.語の長さの n-gram を用いた『うつほ物語』各巻の分類          土山玄
6.接続詞の直後に読点が打たれる条件 ―決定木を用いた分析―       岩崎拓也
7. 太宰治の前期作品における1 文中の読点の使用頻度の検討   尾城奈緒子・金明哲
 
総会  14:30~14:50
 議長選出
 第一号議題 2015年度決算の承認を求める件    荻野紫穂
 第二号議題 庶務報告ほか            伊藤雅光

休憩 14:50-15:00

研究発表会(三) 座長 長谷川 15:00-16:30
8.多変量解析を用いた日本語初級文法項目の出現レジスターの分析     中俣尚己
9.リーダビリティからみたやさしい日本語ニュースの定量的分析  田中伊式・李在鎬
10.文構造に基づく文の難易度を示す評価指標導出の試み          大野博之・稲積宏誠
  
休憩 16:30-16:40

研究発表会(四) 座長 奥村 16:40-18:10
11.助動詞の出現頻度による方言分類 ―全国方言談話データベースを資料として―
入江さやか・金明哲
12.ブログにおけるキーワードの書き込み頻度時系列の物理学的な観点での解析
渡邊隼史・佐野幸恵・高安秀樹・高安美佐子
13.蕪村俳句の個人用データベース作成 —計算機屋の試み—                和田英一
 

閉会の辞 荻野綱男 18:10

懇親会 18:30-20:30

 




2017/09/29

2017.9.29 英語コーパス学会理事会

午後5時より,関西学院大学において表記会議がありました。

英語コーパス学会では,今年度から「研究会(special interest group:SIG)」方式を導入します。

石川は,他の発起人の先生方とともに,コーパスに基づく語彙研究会(SIG on Lexicology)を立ち上げました。

おりしも,以下のような本が刊行されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/B075XKG8WS

こういった研究を日本でも広げていくプラットフォームになればと思います。

2017/09/28

2017.9.28 石川ゼミ秋の歓迎会

神戸メリケンパークオリエンタルホテルにおいて,神戸大石川ゼミ2017年度秋季新入生歓迎会を実施しました。


10月から研究生として来日された王さん(台湾出身)と,短期研修でゼミに滞在されるパクさん(韓国)の2名をお迎えし,現役ゼミ生との交流のひと時を持ちました。

10月が始まれば,D生とM2生はそれぞれの論文執筆の追い込みになります。健闘を祈りたいですね。


2017/09/27

2017.9.27 兵庫県立長田高校人文数理探究類型研究指導講演

午前中の附属中等での講演に引き続き,午後は,長田高校で同様の趣旨の講演会を行いました。

高校生卒業研究のための4つの理念

午前と同じく,高校生の研究構想発表を聞き,それに対して改善を助言していきます。

一般論として,高校生の研究が成功するためには,プロの研究者ではなく一介の「高校生である」という弱みを,強みに変えるテーマ設定が重要です。

たとえば,

A(文系):高校生自身を対象にした研究
B(理系):忙しい大人にはできない膨大な実験量(n=500, n=1000)

のような点が前面に出てくれば,大人も注目する研究になりうる可能性が高まります。

要は,大人が知りたくても絶対に知ることができない現代日本の高校生の実態を「中の人」の目線で分析するような研究であれば,価値が高いと言えるでしょう。変に背伸びした研究よりも,素朴な疑問や関心を大切にしつつ,使い古された言葉ですが,高校生「の・による・のための」研究こそが,実は,多くの関心を集める研究になるのです。


2017.9.27 神戸大学附属中等教育学校KP4講演

同校が進めている卒業研究(Kobe Project:KP)に関して,4年生(高校1年生)全員に向けて講演を行いました。


講演では,最初に5人の生徒による自身の卒業研究の構想発表を聞いた後,私のほうから,各々のプランの論理的問題点や改善の方策について助言を行いました。

研究では,どんな場合でも,問題を分解し,扱う内容を細かく定義することが重要です。

たとえば,「ポイ捨てをなくす看板とは」といったテーマであれば,

1)設置場所
2)設置数
3)看板のサイズ
4)看板の色・デザイン
5)看板に書く文言

など,多くのパラメタが関与してきます。

こうしたパラメタを広く浅く扱うだけでは,なかなか面白い結果は出てきません。自身の関心をふまえて,扱うパラメタを1つに絞ることが研究の深さを引き出す上で効果的です。

もし私なら,たとえば,5)に着目し,以下のように条件統制を行ったテキストを被験者に読ませ,それぞれを読んだ後で「指示に従おうと思った」スコアを聞き,言語タイプと心理的効果の間にある種の数学的モデルを組むといったことをするでしょう。

【細かさ】:ごみは分別せよ/ごみは4種に分別せよ
【丁寧さ】:ごみは分別せよ/ごみは分別してください/ごみは分別していただけないでしょうか/誠に恐れ入りますがもしよろしければごみは分別していただけないでしょうか
【罰則】:ごみは分別せよ/ごみを分別しない場合校内推薦ポイントから5点を減じます
【感謝】:ごみは分別せよ/ごみを分別していただければありがたいです/助かります/恩に着ます
【視点】:ごみを分別していただけると当方としてはありがたく思います/ごみを分別していただけると業者の方もきっと感謝されます/ごみを分別していただけないと当方が迷惑します/ごみを分別していただけないと業者の方が迷惑されます
【時制】:ごみを分別してくださるとありがたいです/ごみを分別してくださってありがとうございます/いつもごみを分別してくださってありがとうございます。

研究は広く浅くより,狭く深く。この点を高校生に伝えていきたいですね。

2017/09/26

2017.9.26 東京外大 言語教育(CERE)国際ワークショップ

東京外国語大学言語教育(CERE)国際ワークショップ
2017年9月26日(火)15:00-19:20
場所 東京外国語大学 語学研究所(研究講義棟4階419号室)

プログラム
15:00-15:10
挨拶 富盛伸夫(科研代表者)

15:10-15:50
「EUにおけるCEFR改訂の最新動向について」根岸雅史(東京外国語大学教授)

16:00-16:40
「東京外国語大学の言語教育プロジェクト、CEFR-J x 27の現在と展望」投野由紀夫(東京外国語大学教授)

17:00-17:40
「タイ語教育スタンダード化に向けてのCEFR導入の課題」ウィッタヤーパンヤーノン(齋藤), スニサー(東京外国語大学特任外国語教員)

17:50-18:30
「アジア諸語へのCEFR導入に関わる諸問題 −ミャンマーでの言語教育調査から−」岡野賢二(東京外国語大学准教授)、トゥザ・ライン(東京外国語大学博士後期課程)、富盛伸夫(東京外国語大学名誉教授)

18:40-19:20
「総合討議 −CEFRの受容と適用可能性をめぐって−」

表記ワークショップ(の前半の部)に参加しました。CEFRについては,4月刊行の拙著でも詳しく紹介したのですが,現在大幅なリニューアルが進んでいるということで,その最新情報を学ぶために参加しました。

リニューアルの内容については興味深い点がたくさんありましたが,最も印象に残ったのは,いわゆる母語話者理想主義の排除です。Can-doの中に出てくる母語話者モデルの大部分が消えることになりそうです。応用言語学において母語話者理想主義は常に悩ましいトピックでしたが,CEFRの出す回答にこの問題を建設的に考えるヒントがあるかもしれません。



2017/09/25

2017.9.25 附属中等教育学校SGH運営指導委員会

神戸大学附属中等教育学校SGH(Super Global High School事業)第1回運営指導委員会

日 時 平成29年9月25日(月) 13:30~16:30
内 容 報告・協議項目
 (1)本事業に係る生徒の成果発表(課題研究、国際交流事業等)
 (2)本事業全体構想及び平成28年度までの中間報告について
 (3)平成29年度の取組状況について
 (4)意見交換

校内の研究委員会の代表として表記に出席しました。附属のSGHは2年目に入って著しい成果をあげてきましたが,今後の課題は,海外体験の拡大化,卒業研究の深化の2点に要約できるのではないかと思います。

現在,複数の高校のSGHに関わっていますが,どの高校にとっても,大学教員を呼ぶのは,費用の上で大きな負担になります。神戸大にいる1,500人(?)のプロフェッサーを無償で呼べるという圧倒的な利点を活かして,これらの課題を克服していってほしいと思います。

2017/09/23

2017.9.23 神戸大学大学院オープンキャンパス

表記イベントに出席しました。



入学を希望される方と面談していて思ったのは,「外国語教育研究」をイメージではなくリアルにとらえる必要性です。なんとなく外国語教育を研究したい,という気持ちが出発点になることは悪くないですが,その段階にとどまらず,そこから自分の関心にどう具体的な形を与え,修士なれば2年,博士なれば3年の研究計画に落とし込んでいけるかが勝負と言えるでしょう。



2017/09/21

2017.9.21 附属小学校グローバル教育研究部会@明石・附属小

明石市にある附属小において,表記関係者と現在開発中のカリキュラムについて会議を行いました。

附属小では小学校2年から(いわゆる)英語教育を行っていますが,2~3年は「せかい領域」,4~6年は「グローバル科」として学校設定科目に準じた扱いを行っています。

ただ,これまでは,これらの科目が通常の英語とどう違うのか,そのコンセプトが明確ではありませんでした。

今回の改革では,「せかい領域」にトピックスタディを,「グローバル科」にエリアスタディの視点を導入し,言語指導と内容指導を統合させたCLIL型のカリキュラムを開発することになります。

これによって,身近な他者理解から世界の様々な国の人々の理解へと進む視野の段階的拡張が実現すればと願っています。

           学校全体におけるグルーバル教育の体系図(案)

2017/09/14

2017.9.14 兵庫県立伊丹高等学校SGH生徒向け講演

表記の学校において,1年生全員(約200人)に講話を行いました。

講話の前半は,英語で,論理思考の開発について話し,後半は,同校が進めるSGHの研究のテーマ設定の改善について,日本語で話しました。

講演風景


研究活動では,何らかの社会的問題に対し,調査を経て,何らかの解決を示すわけですが,「問題」が緩いと,同様に緩い「解決」しか出てきません。

 研究指導では,解決(提案)の面ばかりが強調されますが,より重要なのは,その提案できちんと解決できるように問題の側を細分化し,クリアに定義すること,と言えるでしょう。キーコンピテンシーなどの議論において,問題解決能力と問題発見能力がしばしば同時に論じられるのもこのためです。

 こうした指導は,従来の日本の教科指導でほぼ完全に脱落していた部分です。今後,SGHなどの実験的取り組みが終終わったあと,こうした「論理思考」の指導を日本の中等教育にどう根付かせていくか,逃げずに議論する時期が来ていると感じます。

2017/09/13

2017.9.13 尼崎市立武庫東中学校公開授業指導

表記で授業視察と講話を行いました。

視察したのは,アクティブラーニングを志向する理科と社会の授業で,いずれも「マナボード」をうまく使い,グループでの討議を深め,クラスで共有させていました。

http://www.izumi-cosmo.co.jp/manaboard/

こうした取り組みは大学などでも導入できるかもしれません。

教員向け講演の様子





2017/09/12

2017. 9. 12/ 15 検定教科書音声教材作成

大阪梅田のスタジオにおいて,高校用英語検定教科書Big Dipper English Communication(Book 2)のための音声教材録音を行いました。


教科書サイト
https://www.chart.co.jp/goods/kyokasho/30kyokasho/eigo/data/dipper-com.pdf


収録では,特に新出単語について,教科書が規定する標準発音と実際の母語話者ナレーターの発音が一致しているかどうかを確認します。

 たとえば,OKについて言うと,アクセントをオウとケイの両方に均等に置く場合,前に置く場合,後ろに置く場合などがあります。

ジーニアス英和

研究社英和中

 もちろんアクセントは文脈によって変化するわけですが,辞書の第1記述を仮に標準発音とするならば,ジーニアスに従えば均等アクセントで,英和中に従えば後ろアクセントで収録することになります。母語話者はある種の感覚というかフィーリングで発音しますので,様々な齟齬が出てきます。収録ではこうした細かいチェックをすべての語について行いますので,ナレーターにとっても,音声監修者にとっても,精神的に消耗する作業です。

 もう1つ,よくある問題が,強勢の置かれた母音の「ア」の音です。

ジーニアス英和

研究社英和中

 この場合,ジーニアスに従うと「カーンサントレイト」のような発音に,研究社に従うと,「カンサ(ス)ントレイト」のような音になります。たしかに非常に強い強勢を置くとそんな音になるのですが,ナレーターは,単語を単独で発音する場合,そこまで強勢をはっきり意識しません。そのため,結果として,「"コ"ンセントレイト」(コに少しアクセント)のような音になります。この場合,どこまで辞書の基準に合わせて取り直すのか,非常に悩ましい判断です。






2017/09/09

2017.9.7-9 GloCALL国際大会において研究発表@ブルネイ工科大学

学会:PCBET/GloCALL Joint International Conference 2017
テーマ:"Towards a Communicative Learning Environment"
日時:2017/9/7-9

発表演題:
Shin'ichiro ISHIKAWA (Kobe Univ)
How Learners' L2 English Essays are Edited: A Study Based on the ICNALE-Proofread






発表では,9月に公開されたICNALE-Edited Essays(ICNALE Proofreadより改称)を紹介し,アジア圏ELF学習者の受容的語彙サイズ,および,英語作文における語および3語連鎖の使用状況について量的に分析した結果を報告しました。


2017/09/05

2017.9.5 国立国語研究所言語資源活用ワークショップ2017で発表

表記研究会で口頭発表を行いました。

http://pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/lrw2017.html

石川慎一郎(神戸大)
学習者コーパス研究における標本数の問題
A Reconsideration of the Needed Sample Size in Learner Corpus Studies


学習者コーパスでは小さなnで議論を行う場合が多いですが,発表では,はたしてどの程度のnであれば信頼できるのか,逆に言えば,手元のnはどの程度の標本的妥当性を持っているのか,学習者コーパス研究者間での一定の共通理解が醸成される必要性について言及しました。なお,同日付で刊行された予稿集には同じ題目の論文(英文)が掲載されました。

2017/09/04

2017.9.4-5 統計数理研究所言語系共同研究グループ夏季合同研究発表会@大阪大言語文化研究科

表記で,ゼミメンバーが発表しました。(※石川は9/4のみの参加)

石川慎一郎(神戸大)総語数と総人数:コーパス研究における標本数問題の再考

中西淳 (神戸大学大学院) 日本人英語学習者のライティングに見る意味ネット ワークの発達-in, on, atに注目して-

張晶鑫 (神戸大学大学院) 高頻度オノマトペの音韻的特徴

隋詩霖 (神戸大学大学院) 化粧品広告言語の特性分析:日本語教材開発の観点か ら

鄧琪 (神戸大学大学院) 日本語外来語語尾長音表記の省略現象に対する一考察 ―大規模コーパスを用いた計量的調査をふまえて―



2017/09/01

2017.9.1 兵庫県立伊丹高校SGH校内発表会・運営指導委員会

表記の会に出席しました。

前半は「海外に日本の食材を生かした新メニューを提案する」というテーマに沿った生徒さんの修了発表を拝聴し,審査を行いました。

※生徒さんの発表風景(匿名化処理済み)

後半の運営指導委員会では,同校の取り組みに関して,特に評価できる点として,1)企業との連携,2)地域の重視,3)基盤理念(「三方よし」)の明確化の3点を挙げました。また,今後の課題として,1)論理性の強化,3)グローバル人としての対人配慮力の強化,3)調査研究力の強化を指摘させていただきました。

当日他の委員とも話したのですが,食は身近な良いテーマに見えて,きちんと扱うのはなかなか難しいものです。

たとえば,アメリカなりヨーロッパなりから,「日本人は魚を食っているから背が伸びない。肉をもっと食え」と言われると,多くの日本人は眉を顰めるでしょう。海外に日本食を紹介するときに,自分が無意識のうちに同じことをしていないか,ちょっと立ち止まって考えてみるセンスが「グローバル」ということなのかもしれません。