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2020/11/04

2020.11.4 神戸市外大講演会(コモントーク)聴講

【日 時】2020年11月4日(水)14:00-15:00
【開 催】Zoomミーティング

講師 Michael HOLLENBACK 先生
演題 The Native Speaker Problem

聴講メモ
・NS概念の起源:ideal speaker-listener in a completely homogeneous speech community (Chomsly, 1965, p.3)
・prestige standardsとしての英米
・NSは講義で5億人だが,トーゴとかギニアは英語がmonolingualだがNSとみなされない。インドやフィリピンも同じく。
・英米偏重は,言語の価値ではなく政治的な力による
・英国の中にも方言(Wales, Scotland, England....)が各種存在。米国も文法・語彙・発音が地域によって違う。
・speech community:特定の年齢・性別・人種・階級・文化を前提とする
・理想的NS:英or米,都市,白人,男性,中年,上級(大学卒)
・求人広告の差別:NS(※国籍で決定される)に限る
・教科書や各種テストも米語などのstandardsを前提に
・日本人の見方:白人=英語NS=白人・・・(循環概念)
・NSという概念は人種や性別を含む社会的membership。つまり「NSレベルの英語力」は達成不可能な目標。
・linguistics anthropology(言語は構造というより,文化的・社会的なもの)
・7言語で世界の公用語の75%(※戦時中の領土と関係)
・言語政策の影響(小学校英語,SGH, トビタテ留学JAPAN,Global 30)
・recommendations
1)英語の多様性や方言を教える
2)英語以外も教える
3)アイヌ・琉球語などを教える
4)国籍に基づく英語教師の採用制度を変える
5)標準英語テストへの依存を減らす
6)正確性ではなく,言語意識(language awareness)と理解度(comprehension)に基づく評価の導入

感想
・主張には同意するが,例えば中学校で多言語教育をするとして,時間や教師の確保はどうするのだろうか? 極端な話,週4時間の英語を隔週1回にして,その分他の言語を教えることは本当に良いことなのだろうか?理念的問題と実利的問題のバランスのとり方は?