演題 小学校中学年における英語指導の在り方~理念から固める~
講師 石川慎一郎(神戸大学教授)
講演では,授業を視察した後,改善のヒントについてお話しました。大変工夫されたすばらしい授業でしたが,タスクを工夫することでさらなる改善も可能だと思われます。
英語を多く使う,楽しいコミュニケーションを行う,といったことはもちろん大事ですが,小学校英語の実践では,それらに負けず劣らず,タスクがコミュニケーションとしてまっとうなものになっているかどうかが問われます。
たとえば,「数字を教える」という教師側のミッションがあり,「カレーを作るので八百屋に野菜をあわせて3個買いにいく」というタスクを考えるとします。工夫されたタスクと言えますが,いっぽうで,
1)そもそも(スーパーでなく)「八百屋」に行くという概念が今の小学生にリアルだろうか?
2)多くの店では野菜はパックにいつか入って売っており数を指定して買うということはリアルだろうか?
3)カレーを作るのに肉でなく野菜だけの買い物を行わせることはリアルだろうか?
4)そもそもなぜ英語で野菜を買いに行くのだろう?今はどこにいるのだろう?
というような素朴な疑問も残ります。これらの点が子どもの側で真の意味で腑に落ちていないと,コミュニケーションは,一気にトレーニングに転落します。
要は,数を使わせたいという授業の狙いと,採用したタスクが論理的に整合しているかどうかがポイントということになりそうです。
こちらの学校の実践は大変ハイレベルなので,年明けの次回訪問を今から楽しみにしています。