特に印象的だった講演・発表等
ワークショップ 1【言語研究のための Word2Vec 入門】
講師:内田 諭(九州大学)
★Word2Vecの面白さを学ばせていただきました。ただ,講師もおっしゃっていたように,そのような結果が出てくる過程がブラックボックスという点をふまえると,学術研究の手法となりうるのかどうかは今後学界全体で考えていく必要がありそうです。
ワークショップ 2【コーパス研究の作法】
日時:10 月 6 日(土)11:00–12:00
講師:井上 永幸(広島大学)
★コーパスで高頻度ものを用例として辞書に取り込むべき,というのはよく聞くことですが,講師によれば,「アイスピック」の用例の大部分は殺人や傷害関係であるとのこと。単純な頻度万能主義の危険性に警鐘をならした素晴らしいご講演でした。
研究発表 3「英語学習者コーパス構築のためのタスク設計:特定の文法項目抽出に向けて」
発表者:工藤 洋路(玉川大学)・内田 諭(九州大学)
★単に**というテーマで作文しなさい,と言うと,こちらが分析したい文法項目が含まれないこともめずらしくありません。本発表では,いくつかのインストラクション(指示文のみ提示,詳細指示文のみ提示,指示文+モデル文提示)で作文を行わせた結果,指示文を詳しくしたり,モデル文を見せることで狙った文法項目が出現しやすくなるという実験結果が報告されました。できるだけ自然な自由作文を集めようとする,一般的な学習者コーパスの構築思想とは異なりますが,中高現場等で,文法指導の改善資料としての「コーパス」を作る上では貴重な知見と言えます。