表記に参加し,発表を行いました。
発表題目「学習者コーパスと産出評価:ICNALE GRAプロジェクトの狙い」
中級学習者に固定した場合,日本人作文の評価は相対的に高い。
高評価は文法面の強さが支える。弱みは読み手との関与性の構築と維持か?
開会式のお話では参加申し込み者が600名。zoomで見ていると,講演などでは,400名程度の参加がありました。これだけの人数にも関わらず運営はスムーズで,学会運営面でもいろいろと学ぶ機会が多かったです。
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コーパス関係の発表のメモ(文責:石川)
★新学習指導要領下における中学生のための語彙リストの開発
佐藤 剛氏(弘前大学)
・中学教科書をコーパス化して語彙を抽出
・頻度とレンジをかけたARF(average reduced frequency)指数で調整
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Brezina (2018 p.55)よりARFについての石川メモ
・提唱者はSavicky & Hlavacova 2002
・分布度と頻度を自動で評価
・レンジに比べ,サブコーパスに分かれていなくても計算可能という利点
・v値=コーパス総語数÷ターゲット語頻度
・ARF={(ラストと1語目間距離とvの小さいほう)+(1語目と2語目間距離とvの小さいほう)+・・・(n語目・n+1語目間距離とvの小さいほう)}÷v
(計算実例)
・100万語コーパスで頻度5の単語AとB
・Aは近傍にかたまって出現しており,出現位置は第1(冒頭から1語目),第2(5語目),第3(10語目),第4(15語目),第5(20語目)
・単語Aのvは100万÷5=20万
・ARFの各項目値の計算
(a) ラスト出現位置(100万語中の20語目)から第1出現位置(1語目)までの距離=999,981 vs 20万のちいさいほう ★このときだけプラス1になる
(b) 第1から第2までの距離=4 vs 20万の小さいほう
(c) 第2から第3までの距離=5 vs 20万の小さいほう
(d) 第3から第4までの距離=5 vs 20万の小さいほう
(e) 第4から第5までの距離=5 vs 20万の小さいほう
・単語AのARF=(20万+4+5+5+5)÷20万=1.000095
・Bはコーパス全体にまんべんなく出現しており,出現位置は第1(1語目),第2(20万語目),第3(40万語目),第4(60万語目),第5(80万語目)
(a) ラスト出現位置(100万語中の80語目)から1語目出現位置(1語目)までの距離=200,001 vs 20万のちいさいほう
(b) 第1から第2までの距離=199,999 vs 20万の小さいほう
(c) 第2から第3までの距離=20万 vs 20万の小さいほう
(d) 第3から第4までの距離=20万 vs 20万の小さいほう
(e) 第4から第5までの距離=20万 vs 20万の小さいほう
・単語BのARF=(20万+199,999+20万+20万+20万)÷20万=4.99995
※Lancaster Stats Tools Onlineで自動計算可(使ってみたが,位置は自分で調べる必要あり。数値は整数値まで)
上の例Aを計算させたところ
上の例Bを計算させたところ
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★日本人英語学習者の英作文における後置修飾を含む名詞句構造の産出―学習者コーパスを用いた研究―
田中 広宣氏(東京大学大学院生)
・NICER1.3.2のEducationテーマの作文53本(1.6万語)をタグ付け
・to不定詞・分詞・関係代名詞が含まれるものを抽出し目視で後置修飾を探す
・A2,B1,B2にかけて,正確な産出を行った学生比率
不定詞は23から72%へ,分詞は8%から17%へ,関係節whoは46%から72%へ,関係節whichは46%から39%へ,関係節thatは8%から11%へ
・総使用量,正確使用量ともに増加
★英語の定冠詞選択における「一般・特定」の役割分析
高橋 俊章氏(山口大学)
・NICE/NICERで質的用例検証
★発信語彙の定着を促すICT 教材―EasyConc for FlashCard.fmp12 とBingoSheet for FlashCard.xlsm の開発と活用―
日臺 滋之氏(玉川大学)
・パフォーマンス課題実施後に英語で言いたかったが言えなかった語を書いてもらう
・EasyConc(日本語表現と英語表現が対応する日英パラレル・コーパス)
・EasyConc for FlashCard.fmp12(iOS 仕様)
・BingoSheet for FlashCard.xlsm(Windows 仕様)
・言えなかった語は「行く」「好き」など基本語だがほかの語と結合してむつかしくなる
★英検難易度に基づく多義前置詞in, on, at の語義分布と出現頻度
南部 匡彦氏(国際短期大学)
・英検コーパスを自主構築
・in/on/atの語彙区分をコーディング
・in/atは似るがonは独自(抽象・句動詞多い)
★小学校英語における読むこと・書くことへの接続―検定教科書に基づく頻度分析を通して―
星野 由子氏(千葉大学)・清水 遥氏(東北学院大学)
・小学校英語教科書コーパス+リスニングスクリプトコーパスを構築
・見る頻度,聞く頻度を計量