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2022/12/10

2022.12.9-10 DIELE Conferenceで研究発表

表記に参加しました。

Monash University | University of York | Thammasat University
INTERNATIONAL HYBRID CONFERENCE ON DIVERSITY AND INCLUSIVITY IN ENGLISH LANGUAGE EDUCATION
9-10 December 2022

3大学で毎年回しているイベントということで、アジア・豪州・欧州の研究連携の良い例だなと思いました。

会場の様子


石川発表:Assessment of L2 English Speeches: The Influence of Rater Backgrounds


今回、楽しみにしていたのはTomlinson教授の教材開発にかかる基調講演でした。


(視聴メモ)

全般
同じクラスでも学習者はみな異なる
よい教材は、学習者による教材のlocalise/personaliseを可能にする
自分の暮らし、自分の家族、自分の経験を教科書に入れ込めるなど
米国の映画、米国の食べ物を扱う教材→ベトナムの映画、ベトナムの食べ物に変えるとベトナム学生の反応は変わる
教科書は、スクリプトを追いかけるように設計されているが、学習者がそれらを改変する機会を与える

教科書の問題
1)homogenenityを前提にする(B1学生対象など)
2)PPP型教授法(※イラストや見かけは変わっても根本は一緒)
3)学習スタイルを規定している(studial=analytical)
4)線型的発達を前提にしている
5)regularityを押し付ける(有る単元の時制は1つだけ)
6)知的な挑発(provocation)は回避される(登場人物はみなハッピー、葛藤もなく、全員バラ色の世界・・・)
7)全部のcoverageを要求する(教師の満足にはなるが学習者のニーズとは異なる)

教師の問題
1)標準化された行動を要求
2)こうあるべき、という標準的期待を持つ(話せ話せと要求すると話せなくなる)
3)最適基準(standard)は学習者個々のものなのに教員が一意に決めつけ

学校の問題
1)学習者をテストにかける(テストの時間に学びは発生しない。時間の無駄)
2)全員に同じテストを課す
3)テストのターゲットを一意に固定
→対応:競争的テストの廃止、testing to learn(テスト準備自体が学びになる、テスト自体が学びになる)、個別化された評価 ※MATSDA研究会での活動

個別化(differentiation)の価値
効果的に学ぶには、感情的/認知的に没入(engaged affectively/cognitively)することが必要
個々のタスクは、異なる形での没入をもたらす
学習者はテキストやタスクを過去の体験に接続させる必要(個々の学習者の経験は違う)学習者はrich, recycled, and meaningfulなL2 in useへの接触が必要
学習者はL2使用について自ら発見する必要
学習者はL2を自分自身のコミュニケーション目的で使用すべき

学習者に与えるべきチョイス
level, 参加、言語、方法論、教師、仲間


※Tomlinson先生は、私が神戸大の学部生だったときに、神戸大の招聘教授をしておられました。わたしは、先生の一般教養の英語を取ったことがあります。オンラインではありますが、35年ぶりの思いがけない再会、嬉しく思いました。いろいろ変化の激しい時代ですが、教師と学生の絆は長く続いていくものだな、としみじみ思います。

同期の友達に送ってもらった当時のシラバス。懐かしい!

※閉会式で、面白いことをやっていました。オンラインのサイトに参加者の名前を登録して、ルーレットを回して、当たった人に商品(まさかの学会紀要・・・)をプレゼントという企画。これ、授業で学生を当てるときに使えそうです。こちら