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2018/05/14

2018.5.12 迫田科研学習者コーパス研究会参加

学習者コーパス研究会5月例会に参加しました。

日時:2018年5月12日(土)10:30~12:30
場所:広島大学東京オフィス(408号)

発表
(1)発表者:砂川有里子先生・佐々木藍子「日本語の非流ちょう性─とぎれと延伸のタスク別調査─」

(2)発表者:迫田久美子先生「書くタスクと話すタスクの言語使用の違いープランニングの影響—」

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聴講メモ(文責は報告者)

2本とも,いつもながら,精緻なデータ分析と重要な問題提起を含む,非常に興味深いご発表でした。自身のICNALEのDialogue分析にも大きなヒントを得ました。

(発表1)
・とぎれ(e.g.:食い荒らされ・・・た状態に/食べようとし・・・た),延伸(e.g.:週ふつか"あ"に・・・/自信ないん"n"ですよね"え")は非流暢性マーカー
・膠着語がどうかで2つのタイプの出現に差があるという先行研究
・I-JASの日本人母語話者ではどうか?
・タスク間(ST絵描写,RPロールプレイ)で差はあるか? その機能は?
・とぎれはST>RP,延伸はST<RP,とぎれ+延伸はST>RP
・ともに文節外(つまり文節切れ目)>文節内
・とぎれは独話で起こり主として言葉探し使用が中心,延伸は会話で起こり言葉探しよりも相手を意識したストラテジー使用が中心
・(感想)STとRPの切り分けのvalidity,トピック影響の統制,タグのvalidity

(発表2)
・産出にたっぷり時間があれば文法ミスは減りそうだが減らないものも(L2英語における不規則過去,冠詞)
・L2日本語の場合,助詞と動詞の自他は習得困難
・時間のあるWと時間のないSだと,Wのほうがミスが減るだろうか?
・助詞についてはそうは減らない(S-Wともミスというものが8割)
・自他については件数が少なく計量比較はまだ不適
・エラーについては総件数,全体に対する比率の両方を見るべき(迫田・長友1988)
・S-WとW-S,モード差と順序差はカウンターバランスで確認
・(感想)人は同じ課題を2度やるときにどういう心的機制が働くのだろうか?(飽きたからおざなりにやろう? 2回目こそ頑張ろう? 同じことをミスなく書こう? 2回目だから前とは違うことに挑戦してみよう?)