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2020/06/02

2020.6.2 研究書『ジェンダーと英語教育:学際的アプローチ』完成

下記が刊行されました。

石川 有香 (編著)『ジェンダーと英語教育:学際的アプローチ』  amazon

共著者:相川真佐夫/石川慎一郎 /江利川春雄 /小林直美 /原隆幸 /トニー・ブルース(Toni Bruce)/森住衛 /矢野円郁


この本で面白いのは表紙(上記)のイラストです。「ん?なにか変だな?」と感じられた方は,書店で立ち読みして,編者による「前書き」だけでも目を通してみてください。

さて,石川は,6章を担当しています。
6. Gender Differences in L2 English Persuasion Role-Plays: A Study Based on the ICNALE Spoken Dialogue

この論文では,日本人男女大学生のL2英語発話(説得型ロールプレイ)を分析し,高頻度語の使用傾向に関して,《性差と習熟度はどちらが強く影響するのか?》という問題を検討しました。

本書 p. 147より

分析では,(分析した筆者も驚いたことですが)どうやら性差らしい,という可能性が示唆されました。この点をふまえると,L2教育や教育研究をデザインする際に,学習者側のパラメタとして性差を今まで以上にきちんと考えていくことが大事になるかもしれません。ただ,男女平等や,男女共同参画という概念に照らした場合,性差に「蓋をして」それが存在しないものであるかのようにふるまうのが正しいのか,逆に,差を積極的に見出して指導の内容に変化をもたせるのが正しいのか,これはちょっとむつかしい問題です。