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2019/04/20

2019.4.20 英語コーパス学会理事会・春季研究会参加

英語コーパス学会2019年度春季研究会 
日程:2019年4月20日(土)
会場:名古屋工業大学4号館1階ホール

表記に参加しました。また,語彙研究会(語彙SIG)の発表司会を務めました。SIGからの発表者は2名です。

特別シンポ:コーパス準拠型語彙研究の諸相
司会:石川慎一郎(神戸大)

第1発表:杉森直樹(立命館大学教授・研究会代表)
「EMIのための英語学術語彙リストの比較考察」

第2発表:阿部真理子(中央大学教授・研究会副代表)
「高校3年間の英語スピーキング力の発達:語彙の観点から」


杉森先生による第1発表では,石川研究室で開発した英語EAP語彙表BABILONを含む各種語彙表の比較・分析が行われ,BABILONとNew Academic Vocabulary Listの構成語彙のパタンが類似していることが報告されました。

参考:石川研究室語彙プロジェクト

英語上級学術語彙表BABILON 2000(2018年)
英語学術語彙表としては,Coxhead(2000)のAcademic Word List(AWL)が有名です。AWLはすぐれた語彙表ですが,(1)元となるコーパスが非公開で検証できない,(2)コーパスに年代や地域の偏りが含まれている可能性がある,(3)語彙選定には頻度とレンジを考慮しているものの,最終的な重要度の決定は頻度のみで行っている,(4)英語学習者の多くは接辞について十分な知識を持っておらず,派生形を独立語として扱わないのは不適切である,(5)頭字語や略号を一律に削除するのは問題がある,(6)学術英語で散見される語の中にAWLでカバーされていないものも少なくない,といった課題もあります。そこで本研究においては,AWLの課題をふまえつつ,(1’)検証可能な公開コーパスのデータを用い(OpeN),(2’)年代と地域的なバランスを考慮しつつ(Balanced),(3’)頻度とレンジを合成した学術語彙重要度指標を基準として(Integrated),(4’)派生形を除外したレマの単位で(Lemma-based),(5’)頭字語や略号も包含する幅広い語の定義を採用した上で(Broad),(6’)GSL+AWLを超えるレベルを対象に(Advanced),学術語彙の選定を行うこととし,新たに2,000語を抽出しました。Babilonとは,上記の6つの理念のアナグラムになっています。