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2020/02/18

2020.2.18 神戸大学附属中等教育学校講話・尼崎市立日新中学校講話

今年初めての降雪があったこの日は,午前,午後,2つの学校で講演・講話を行いました。

神戸大学附属中等教育学校4年生課題研究Ⅰ(卒業研究入門)講演会
令和2年2月18日(火)10:45~12:15
講演:石川慎一郎先生
演題:「社会と私を接合する探究~リサーチとは何か~」


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尼崎市立日新中学校職員研修会
令和2年2月18日(火)2時15分~5時
講演:石川慎一郎先生
演題:「数学におけるアクティブラーニングとは?」

当日は,「円周角の定理の逆適用」を実生活に応用する,というAL型のすぐれた授業を拝見させていただき,その後,協議会の場で,授業改善や,今後の校内での授業研究の進め方について講演を行いました。

円周角の定理の応用場面としてよく出てくるのが座席決定問題です。たとえば,映画館でスクリーンが見やすい座席の範囲は,通例,スクリーンを前にした弧の中に入りますが,この時の弧は,円周角の定理を使うことで作図で求められます。


こうした授業を組む場合,授業者は「映画が見やすい最適の座席を探そう!」という問いを立てがちですが,そうすると,「座席の好みはさまざま」とか「肩がこるから後ろがいい」とかいった意見が百出し,作図はできても,問いの解としては放散します。

私見ですが,中高のAL授業では,安易にopen endに持ち込むのではなく,解は絶対的な固定解としたほうが効果が高いように思います。その授業で到達したい解(生徒に至らせたい認知的状態)をあらかじめ明確に定義し,そこに確実に到達できるよう,backward designで活動を組んでいくことがAL授業の成果を最大限引き出すコツと言えるでしょう。

上記の場合で言うと,「観客として最適の座席を探そう」ではなく,「ホール支配人として,一番高い入場料を取れるSS席の範囲を数学的に決定せよ」といった問いであれば,解が収束し,生徒の学びがより焦点化したかもしれません。