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2016/03/24

2016.3.15-16 言語研究と統計2016



2016年3月15-16日


表記研究会でゼミ生2名とともに研究発表を行いました。


 石川 慎一郎 「勝者は誰か?―複数評価者によるL2パフォーマンス評価と順位付けの問題―」

近年のL2教育では,いわゆる受信的能力だけを評価するのではなく,スピーチやプレゼンテーションなどのパフォーマンスを行わせ,その出来栄えを総体的に評価することが広く行われるようなり,コンテストなどの形態がとられることも多い。その際,問題となるのは,総合順位の確定の手法である。本稿では,サンプルデータを用いて,各種の評点調整手法(素点,上下位値除去得点,標準得点,主成分得点)と順位調整手法(多数決,決選投票付多数決,繰り返し最下位消去,コンドルセ,ボルダ等)を概観し,それぞれの特徴を考察することとしたい。


前浜 知味 「教育的に重要な英語句動詞の特定: 異なるジャンルから得られた頻度情報の合成手法をめぐって」
日本人学習者の句動詞に対する理解に関しては不十分なものがあり, またその指導に関しても同様であると考えられる。実際, 句動詞に特化した教材というものはほとんど存在しない。そこで本研究では, 中学生及び初級レベルの高校生を対象とする英語重要句動詞リストの作成手法を探ることを目的に, 平均と主成分分析の2種の頻度合成手法を用いた句動詞リストの作成を試みた。更に, 英語教育専攻の学生を対象とした小規模アンケート調査を行い, どの手法がより教育的妥当性の高い句動詞を導き出しているのかを検証した。その結果, 2つの手法から得られた上位句動詞全体では大差が見られないものの, 個別単位では違いが見られること, 平均と主成分分析を比較した場合, 後者がより難しい句動詞を導き出すこと, 句動詞リスト作成には中学高校を一括りではなく, 学習段階に応じて統計手法から得られたリストを示したほうが有用であることが明らかとなった。


李楓 「現代日本語漢語サ変動詞の構造と用法 ―コーパス研究の日本語教育への応用―」
本研究では,コーパス言語学の視点に基づき,活用上の選好性,内部構成性,自他性,語彙的排他性など,多様な観点から漢語サ変動詞のタイプ,語法,運用などの特徴を捉え,中国人日本語学習者を対象とした効果的な漢語サ変動詞の指導法を提示する。